お正月に実家で食べる料理と言えばお節料理とお雑煮。お餅の入った椀物料理という基本コンセプトのお雑煮は、関東はすまし仕立て、関西は白味噌仕立てという大まかに区分がありますが、実は細かなバリエーションが多数存在しています。
家で食べるイメージの強いお雑煮ですが、京都の和菓子屋で冬季限定メニューとして提供されているのを発見。「実家じゃないお雑煮も食べてみたい!」と実際に食べに行ってきました。
実家以外ではなかなか食べないお雑煮を京都の和菓子屋で

関東と関西で同じ名前でも内容が異なる料理というものが日本にはいろいろ存在していますが、その代表格の一つがお雑煮。TVなどで「この地域には、こんな種類の雑煮があります」という情報もよく見かけます。
しかし、一方でお雑煮ほど家で食べるイメージの強い料理も少なく、他地域の気になるお雑煮情報にふれても、実際に食べる機会にはなかなか巡り合えません。

そこで今回は京都の白味噌のお雑煮を実際に食べられるお店を紹介したいと思います。お邪魔したのは嵐山の南の桂エリア。桂離宮の目の前にある老舗の和菓子屋『中村軒』です。

店頭で季節のお菓子を販売していて「京都の素敵な和菓子屋さん」をそのままイメージしたような佇まい。店内は中庭を望む和食屋のような飲食スペースになっています。
メニューにぜんざいやお餅、お団子が並ぶ中、白みそ雑煮を発見しました。
今までのお雑煮史上で最高に美味しい中村軒のお雑煮

お店で食べるお雑煮というのは、おそらく人生初の注文だと思います。それがこちら。

一見するとお椀に白いおダシだけに見えるこちらのお雑煮、まずはおダシからいただきます。
一口飲むと、まず感じるのは白味噌の優しい温かみ。そこにおダシの旨味がやってきて「ーっ!」と温泉に入った時のような声にならない声が思わず漏れました。そんな優しいおダシの風味。

お餅は関西風なので焼いてない丸餅なのですが、お箸で持ち上げるのが難しいくらいの柔らかくキメ細やかで、おダシにしっかり絡みます。

ほっこり食感の小芋も発見。白味噌と丸餅と小芋という関西雑煮の美しい黄金比となっていますが、中村軒のお雑煮にはさらに鰹節が添えられています。
鰹節を加えて飲むと、柔和なイメージの中にダシの旨味がグッとアップ。優しさ満開のお雑煮の表情が変化しました。
優しさをベースとしたお雑煮は食べ進めていくと幸せな気分に。上品で優しく、きめ細やかで繊細ながら包容力があり、今まで食べたお雑煮の中で1番美味しいお雑煮となりました。

和菓子屋といえば、お汁粉やぜんざいを味わうことが多いですが、お雑煮を出してくれる店が増えて欲しいと思えるお店と一杯でした。
『中村軒』では、12月から翌2月の冬の時期にお雑煮を提供している(喫茶は12月26日~1月1日休業)ので、お正月以外の冬の京都旅行の際にも立ち寄って京都のお雑煮をぜひ体験してみて下さい。
(撮影・文◎けいたろう)
●SHOP INFO
店名:御菓子司 中村軒
住:京都府京都市西京区桂浅原町61
TEL:075-381-2650
営:10:00 ~ 17:00(L.O.17:00)
休:水曜 ※喫茶は12月26日~元旦休業
https://www.nakamuraken.co.jp/
●著者プロフィール
けいたろう
旅するグルメライター。大阪と京都をむすぶ京阪電車の沿線在住で、複数の旅行情報サイトにて旅とグルメのガイド記事を執筆。気になるグルメ情報があるとB級グルメも高級店も穴場のお店も有名行列店でも、とにかく幅広く取材!食楽webでは関西グルメ情報を中心に紹介しています。