埼玉の川越と言えば、江戸~明治のたたずまいを残す蔵造りの街並みが有名で、“小江戸”として有名ですよね。池袋から東武東上線、もしくは西武線で約30分。
川越の魅力は街歩きだけではありません。古き良き時代を思わせる歴史的な建物で、おいしい食事が楽しめるのです。都内ではなかなか味わえない、非日常の雰囲気がたっぷりのお店がそろっています。というわけで、今回は東上線沿線に住むライターが、おすすめのお店を紹介しちゃいます!

今回、訪問したのは、大正11(1922)年にオープンした老舗西洋料理店『モダン亭 太陽軒』です。川越のシンボル「時の鐘」から徒歩3分ほど、細い路地に入ったところにあります。
現在の建物は昭和4(1929)年の施工当時の原型がほぼそのまま残る、モダンなたたずまいの建物です。淡いピンク色で塗られた色漆喰の外壁は、洋風モダン建築の中絵でも類をみない珍しいものです。角に設けられている小さなアーチの窓は、オーナーの樋口さんによると、「先代曰く、“川越まつり”の山車を見るために造られた」とのこと。この先の通りは、川越祭りの山車が練り歩くコースなのだそうです。外観・内観とも建てられた当時の姿をそのまま残していることから、歴史的な価値が認められて、国の登録有形文化財にもなっています。
レトロな洋館でランチのひと時

店内に入るとステンドグラスから淡い光が差し込みます。
さっそく、ランチをオーダーしました。人気は特大のエビフライが自慢の「モダン亭洋食セット」(2,500円・税抜)。プリップリのエビは食べ応え満点で、カツレツの衣もサクサク。ホワイトシチューにはパンをつけていただきます。右端は、トマト風味のポトフ。ボリューム満点です。

食事に大満足した後は、デザートの「アイスクリン」を。「アイスクリン」といえば、シャリシャリした舌ざわりの高知県や沖縄県のものが有名ですが、もともとは、アイスクリームをこう呼んでいたそうです。ちょっと懐かしい銀色の入れ物が、ノスタルジックですね。さっぱりした味わいが、とてもおなかにやさしいです。

戦前に流行した、ゼセッションという幾何学的な模様を使ったデザインが、天井などのいたるところに見られます。この建物は時代の最先端をゆく建物だったのです。

今回、特別に2階にある“御座敷”を見せていただきました。階段を上がるとびっくり! 1階からは想像ができない純和風の空間が広がっていたのです。ステンドグラスをはめ込んだ欄間が美しい畳敷きの大広間は、予約制で利用できます。お祝いや宴会のお席で利用する人が多いのだとか。
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おいしい洋食と、外観と内部のギャップがユニークな「モダン亭 太陽軒」。川越散策の間に、友人、カップルでぜひ訪れたいお店です。
(取材・文◎山内貴範)
●SHOP INFO
店名:モダン亭 太陽軒
住:埼玉県川越市元町1-1-23
TEL:050-5594-3574
営:ランチ火~日11:00~15:00(LO14:30)
ディナー火~日17:00~21:00(予約制)
休:月曜(祝日は営業)
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