●全国のおいしい食材が集まる『YUWAERU(結わえる) 蔵前本店』。大好評の「寝かせ玄米」の誕生秘話と食材へのこだわり、下町・蔵前の魅力を代表取締役CEOの荻野芳隆さんに伺いました。
職人技が光るものづくりと、おしゃれなショップやカフェが集まる下町のクリエイティブスポット、東京・蔵前。そんな蔵前で連日行列が絶えない『YUWAERU(結わえる) 蔵前本店』は、オリジナルの「寝かせ玄米」がセットになった定食やお弁当を提供するほか、日本全国から厳選された食材が並ぶお店です。
「もちもちとした食感がおいしい!」と、玄米の新たな魅力に開眼する人が続出する「寝かせ玄米」の開発者であり、『結わえる』代表取締役CEOの荻野芳隆さんに、「寝かせ玄米」誕生のきっかけや食への思い、蔵前という街の魅力を伺いました。日々人気メニューを作るスタッフの方のお話とともにお届けします。
生活習慣病がない世界を目指して開発した「おいしい玄米」

――荻野さんの以前のお仕事は食に関するものではなかったそうですが、もともと食に対する関心が高かったのでしょうか?
荻野さん:趣味的においしいものを追求することは好きでしたが、それを仕事にするつもりはなく、地方活性や伝統産業の復興に興味があったんです。前職のコンサルタント時代にそういった業界に携わる中で、食生活や生活習慣が病気に与える影響を知り、現代のサステナブルではない社会を生み出している要因は、ライフスタイルそのものにあると気付きました。
――そこから健康的な食生活に興味が出たということですね。
荻野さん:そうですね。生活習慣病の多くが食生活に起因すると分かって、「生活習慣病のない世界を創りたい」と思うようになりました。そこで、食生活の中でも特に主食が与える影響は大きいと考え、完全栄養食である玄米を主食にすることを提案したんです。ただ、玄米は普通に炊くと美味しくないという課題があったため、もちもちで美味しい「寝かせ玄米」を作る特許技術を開発し、それを広める会社を15年前に創業しました。現在は、ごはんパックの製造、ECサイトでの販売、店舗運営、そして卸売りやOEM事業を手掛けています。
お米が繋いだご縁? 2009年『結わえる』を蔵前にオープン

――2009年に『結わえる』がスタートしました。お店の場所に蔵前を選んだ理由は?
荻野さん:日本の伝統的な生活文化を、現代の感覚や価値観に合わせて“結わえる”ことで、おいしさと健康を両立させ、持続可能な世の中を実現したいという思いで創業しました。
――それは確かに運命を感じますね(笑)。蔵前といえば今でこそ人気エリアですが、当時は知る人ぞ知る下町だったのでは?
荻野さん:15年前は倉庫が並ぶ、ひと気も少ない問屋街でした。それが少しずつ変わり、ものづくりやクラフト系に携わっている、同じような価値観を持つお店やお客さんが増え、今では1日では周りきれないほど楽しい街になりましたね。まだお店が少なかった頃に出会った仲間たちとは本当に気が合い、ここに来て良かったなと心から思います。
全国の「おいしくて体にも良い食材」が集まるお店

店内には物販とイートインの2つのスペースを併設。物販スペースには、甘酒などの玄米を使った商品や、黒胡麻の塩、梅干しといった玄米に合うアイテム、自宅で寝かせ玄米を炊けるキットや炊き方ガイドなどのオリジナル商品が並びます。そのほか、調味料やお酒、お菓子など、荻野さんが目指す「おいしくて体にも良い食材」が、全国各地から集められています。


おいしく食べながら体も喜ぶ、旬の素材を丸ごと使った結わえるの御膳

イートインスペースではランチとディナーを営業。ランチメニューは、寝かせ玄米に具だくさんの汁物とおかずがセットになった、日替わりの定食スタイルです。お弁当の販売もあり、毎日足を運ぶ常連さんも多いのだそう。素材やメニューについて、厨房を担当する上田辰也さんに教えていただきました。
――生鮮食材はどちらから届いているものですか?
上田さん:肉も魚も野菜もすべて国内から届きます。

――お任せということは、届くまでどんな野菜が入っているか分からないということ?
上田さん:届いたら分かるという感じです。初めて知る野菜の品種もあり、どう料理するか、調理スタッフと話し合って考えています。毎回「何が届くんだろう」と少しそわそわしますが(笑)、珍しい野菜は料理する上で面白いですし、お客さまから「これは何ですか?」といった反応をいただくこともあり、やりがいを感じます。

上田さん:以前、ラグビーボール状の西洋カボチャが届いたのですが、初めて見る野菜で甘みがあるのか無いのかもわからなくて(笑)。カボチャは、ちょっとカットしてみるというわけにもいかないので、調理するのはなかなかスリリングでしたが、美味しい仕上がりに。お客さまにも、そういった野菜との出会いを楽しんで頂けているのかなと思います。
――調理する上でこだわっていることや、寝かせ玄米について教えてください。
上田さん:調理ではゴミがあまり出ないよう、素材を丸ごと使うようにしています。野菜は皮付きのままお出しし、魚に頭が付いていれば出汁をとります。寝かせ玄米は1日平均20kgくらい炊いていて、多い時は30kg炊くこともありますね。寝かせ玄米は小豆などを入れることと、寝かせるほど玄米の栄養価が高まります。
――「これは寝かせ玄米に合う!」と思ったものは?
上田さん:先日、いくら丼を試してみたところ、とてもおいしかった! いくらといえば白米のイメージが強かったんですが、寝かせ玄米との相性が抜群でした。寝かせ玄米は意外な食材ともよく合うので、ぜひいろいろなものを組み合わせて試してみていただけたら嬉しいです。
●SHOP INFO

店名:YUWAERU 蔵前本店
https://www.yuwaeru.co.jp/honten