●おにぎりブームの火付け役『ぼんご』の系譜を継ぐ新宿の『まんま』の魅力とは?

 ここ数年、おにぎりが流行しています。人気を牽引している店の一つが、東京・大塚駅前にある老舗『おにぎり ぼんご』(1960年創業)。

メディアでもたくさん報じられ、その人気のほどは、平日で2~3時間、休日は5~6時間も並ぶという行列ぶりからもわかります。

 おにぎり専門店は、お米や炊き方は言うに及ばず、トッピングの食材と種類の多さも特徴。もちろん、握り方も家庭やコンビニとは、まったく違います。そうして作られるおにぎりは、1個600円前後する高級なものもあるとか。いくらコメの価格が高騰化しているとはいえ、「う~む、所詮おにぎりだしな」と思う人もいるかもしれません。正直、筆者も行列してまで食べたいとはあまり思っていませんでした。

 ところがある日、新宿三丁目に行った際、偶然、おにぎり専門店『おにぎり まんま』という店を見かけました。外待ちしている人は4人。『ぼんご』ほどではありません。これはいい機会なので一回くらいは体験してみようと、列に並んでみたんです。

 都内には『ぼんご』で修業した方が出したお店が都内にいくつかありますが、この『まんま』もその一つ。並びながらスマホで調べたところによると、2023年にオープンし、最初は『ぼんご』の半人前ということで『ぼんこ』という店名だったそうですが、その後、『まんま』に改名したようです。

ちなみに、ぼんごの系譜を継ぐ店は、他には板橋区板橋の『板橋ぼんご』、江東区亀戸の『豆蔵』、豊島区雑司が谷の『おにぎり・とん汁 山太郎』などがあるようです。

超特大、ほろほろのおにぎり!

おにぎりブームを牽引する『ぼんご』の系譜を継ぐ『おにぎり まんま』(新宿)で人気No.1を食べたら悶絶するほど美味しかった
新宿三丁目、伊勢丹新宿店の裏手にあるおにぎり専門店『まんま』

 さて、外待ちの人数は4人でしたが、実は店内に中待ちの人も2人おり、結局、筆者は6番目でした。『ぼんご』の20~30人待ちを思えば大したことはありません。店内に入ると、カウンターが12席。まずは店内をよく観察してみました。

おにぎりブームを牽引する『ぼんご』の系譜を継ぐ『おにぎり まんま』(新宿)で人気No.1を食べたら悶絶するほど美味しかった
厨房に貼ってある注文方法

 厨房のダクトには注文方法が、そして店内の壁にも多数のメニューが貼ってあります。そして、お店の方から渡されたメニューにも、おにぎりの種類やさまざまな具材(トッピング)が写真付きで載っています。

 これなら初めてでもスムーズに注文できそう。と思ったのですが、いざ、どの具材にしようかと思うと、めちゃくちゃ多すぎて迷いました。

「梅」や「おかか」、「焼きたらこ」、「しゃけ」、「明太マヨ」といった定番ものから、「スタミナ焼き肉」、「ペペロンチーノ」、「ほっきサラダ」などの一品料理のようななもの、さらに「味の花」(鰹節とコブの甘い佃煮)、「ままけは」(山形の甘辛い味噌)といった聞いたこともないような食材まで、ざっと60種類はあるでしょうか。

 しかも、最近のおにぎり専門店はトッピングの組み合わせを楽しむのが流行りだそうで、ぜひ「具材2種入れ」を試したいのですが、何と何を選んだらいいのやら……。そんなとき、とっても参考になったのが壁に貼ってあった「最近のトッピングベストテン」と「店主の個人的ベストテン」でした。

おにぎりブームを牽引する『ぼんご』の系譜を継ぐ『おにぎり まんま』(新宿)で人気No.1を食べたら悶絶するほど美味しかった
壁に貼ってある「最近のトッピングのベストテン」と、「店主の個人的ベストテン」[食楽web]

 そのベストテンに“殿堂入り”と書いてあった組み合わせが「卵黄醤油付け+肉そぼろ」(680円)。さらに「最近のトッピングのベストテン」でランキング第1位の組み合わせは「ツナ+山ごぼう+ねぎ」(610円)でした。

 これは間違いないはず。そこでその2つのおにぎりと、味噌汁(330円)を注文してみることにしました。ちなみに計1620円。“おにぎり定食”にしては高すぎだなと思いますが、何より肝心なのは味です。

 まず登場したのはお味噌汁。豆腐が浮かび、三つ葉がちらほら。見た目はいたってフツーの味噌汁です。ちなみに味噌汁は330円(平日はおにぎり2個注文すると100引き)で、いつでもおかわり自由とのこと。

おにぎりブームを牽引する『ぼんご』の系譜を継ぐ『おにぎり まんま』(新宿)で人気No.1を食べたら悶絶するほど美味しかった
おかわり自由の「味噌汁」330円は、上には三つ葉、豆腐が浮かび、下にはなめこが沈んでいます。ちなみになめこのおかわりは+100円

 しかし! アッツアツの味噌汁を一口、ズズッと飲んでみると、「え!」と驚きました。このお味噌汁、超・超・超、美味しい! 三つ葉の爽やかな香り、高級旅館や料亭などで出てくるような深みのあるダシ、そしてやわらかい味噌の旨み。

心身にしみ渡る~。この一口で、ついさっき高すぎる、と思った自分を反省したくなったほど。

 それから数分後、いよいよおにぎりが登場です。まるで雛人形のような可愛らしく美しい姿のおにぎりです。コンビニおにぎりと比べると余裕で2倍はありそう。めちゃくちゃ大きい!

おにぎりブームを牽引する『ぼんご』の系譜を継ぐ『おにぎり まんま』(新宿)で人気No.1を食べたら悶絶するほど美味しかった
左:「最近のトッピングのベストテン」でランキング第1位の組み合わせは「ツナ+山ごぼう+ねぎ」(610円)、右:“殿堂入り”の組み合わせ「卵黄醤油付け+肉そぼろ」(680円)

 まず殿堂入りの「卵黄醤油付け+肉そぼろ」(680円)を片手で掴んでみると、握りたてであったか。そしてずっしり重いのですが、ゆる~く握られているせいか、ふわふわしていて、重みも手伝って片手だけでは崩れ落ちそうになります。そこで、両手でしっかりホールドしながら、かぶりつきました。

おにぎりブームを牽引する『ぼんご』の系譜を継ぐ『おにぎり まんま』(新宿)で人気No.1を食べたら悶絶するほど美味しかった
握っているようで握っていないともいえるほろほろ感が最高!

 卵黄醤油漬けの濃厚な黄身、甘い肉そぼろ、そしてごはんがほろほろと口の中で広がります。ぎゅっと握っていないので、ご飯粒とご飯粒の間にある空気感が絶妙。まるでお茶碗に軽くよそった極上の白米を食べているような感覚。でもやっぱりおにぎりなんです。

いやー、不思議。そして体験したことのないこのトッピングの組み合わせ。旨味と旨味がかけ合わさって、最高のひと言。さすが“殿堂入り”だけあります。

おにぎりブームを牽引する『ぼんご』の系譜を継ぐ『おにぎり まんま』(新宿)で人気No.1を食べたら悶絶するほど美味しかった
こちらは「最近のトッピングのベストテン」でランキング第1位の組み合わせは「ツナ+山ごぼう+ねぎ」(610円)。ふわふわとしたおにぎりが伝わるでしょうか!

 続いて、「ツナ+山ごぼう+ねぎ」の組み合わせ。シャキシャキのネギと歯ごたえのある山ごぼう、そしてやわらかいツナ。食感も旨味も、黄金比ともいいたくなるほど、最高のバランス! これ、絶対食べたほうがいいです。

 そしてとても不思議だったのですが、通常のおにぎり2個を食べる所要時間といえば、筆者の場合10分足らずなのですが、ここのおにぎりを食べ終わるのに、実に30分以上もかかりました。

 大きいことに加え、食感の豊かさ、味わいの深さ、感動の深さのせいかもしれません。一口食べるごとにいちいち感動するうえ、お味噌汁が美味しすぎて、なんと3回もおかわりしたせいかもしれません。

 というわけで、初めてのおにぎり専門店体験。「こりゃ、みんな並んでも食べたくなるよね」と思い知りました。

 最後にお伝えしておきますが、今回、筆者が訪れたタイミングが、たまたま行列が少なかったようで、帰る際には店頭に10人以上並んでいました。やはり並ぶ覚悟は必要そうです。でも、おにぎり専門店、未体験の方にとっては『おにぎり まんま』は穴場かもしれません。ぜひ食べてみてください。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO
おにぎり まんま

住:東京都新宿区新宿3丁目14-23 マヤビル1F
TEL:03-6457-7877
営:10:30~21:00
休:無休

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