歌謡曲「有楽町で会いましょう」といえば、1957年(昭和32年)に発売されたフランク永井の大ヒット曲ですが、“有楽町”と聞くだけで思わず昭和を思い浮かべてしまう人は多いでしょう。
令和7年の有楽町駅前は、再開発で大きな商業施設が建ち並び、近代的な街に様変わりしつつあります。
有楽町駅から東京駅に続くJ R駅高架下「有楽町高架下センター商店街」は、戦後の高度成長期に高架下に飲食店やスナックが多く誕生した場所であり、その雰囲気を色濃く残す昭和レトロなスポットです。

今は店の数がかなり減ってはいますが、昭和から続くお店も残っています。今回ご紹介するカレースタンド『ふくてい』もその一つです。

昭和30年(1955年)創業の歴史あるカレー屋さんです。名物料理は「ステーキカレー」。その名の通り、カレーライスの上にステーキが1枚ドーンとのったメニューです。日本の高度経済成長期の初期に誕生したお店だけあって、「ステーキカレー」を看板メニューにするのも、往時の日本を思わせる勢いを感じます。以来、バブル崩壊や経済低迷期の今もなお、このステーキカレーを出し続けているんです。

物価高騰中の昨今、お値段もお高くなっているんだろうなと思いきや、驚くべきことに通常1100円のステーキカレーが840円に値下げされていました。太っ腹!
入店する前から拝みたくなりつつ、その名物「ステーキカレー」をいただいてみることにしました。
気分が上がる「ステーキカレー」

『ふくてい』に入店してみると、昼の遅い時間にかかわらずカウンター席はほぼ満席状態。
カウンターには、ステーキソース、とんかつソース、辛味スパイス、そして「カレーホット」という真っ赤なラー油状の調味料も。これらを眺めているうちに、お待ちかねの「ステーキカレー」が登場しました。提供スピードが早い!

その名前の通り、カレーにステーキが1枚のっています。さっそく、ステーキ一枚、食べてみます。

ステーキはミディアム・レアに焼かれており、柔らかい口当たり。ひと噛みすると、肉の香りがふわっと鼻を抜け、口中ですっと消えていきます。ガッツリ噛み応えのあるステーキとは違いますが、肉の旨みは濃いです。
続いてカレーライスを食べみると、こちらは昔ながらのタイプ。とがったスパイシーさやしょっぱ辛さも一切なく、ひたすら優しく甘めの味。

ステーキにカレーソースをかけて食べると、さらに旨し。とはいえ、最近のスパイスが効いたカレーに慣れている筆者としては、もう少しパンチを効かせたいところ。

ステーキソースを肉にかけ、さらに「カレーホット」をルーにたらすと、全体の味の輪郭がシャープになって、一気に旨さが倍加しました。
ステーキとライス、ステーキとカレー、ライスとカレー、いろいろ合わせて食べる楽しみもあり、あっという間に皿は空っぽに。
ちなみに『ふくてい』の「ステーキカレー」はオンラインでレトルトも販売されていますが、そちらは1100円。そう、店で食べたほうが安い! 有楽町に行く機会があったら、ぜひ昭和レトロな高架下を散策しながら『ふくてい』のカレー食べてみてください。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO
ふくてい 有楽町本店
住:東京都千代田区丸の内3-6-7
TEL:03-5220-3313
営:11:00~22:00
休:日・祝
https://fukutei-curry.jp