●食で地域を元気にする「おいしいローカル部」特派員が見つけたお取り寄せ&おみやげの逸品。今回は沖縄のカフェが作る発酵の力で旨味たっぷり、体に優しいスープをご紹介します。

「少し前のことだけど、嘉手納にスープとパンのかわいいお店ができたのよ」

 筆者の沖縄在住の姉から情報が入り、4月の帰省時に2人で立ち寄ったのがスープ&ベーカリーカフェ『BONEBROTH STAND OKINAWA』です。この日は沖縄本島北部、やんばると呼ばれる地域まで出向くことになっており、その道すがらに立ち寄るにはアクセスの良い場所でした。本島を縦断する国道58号線から少しだけ脇道を入った場所に、そのかわいいお店はあります。

妻の病気をきっかけに体に優しいスープを。沖縄の小さなカフェで出会った“ととのうスープ”
『BONEBROTH STAND OKINAWA』外観

 ドアを開けると正面には焼き立てのパンが並び、右奥には発送対応していることが一目でわかる、贈答箱のディスプレイと冷凍庫が置かれています。

妻の病気をきっかけに体に優しいスープを。沖縄の小さなカフェで出会った“ととのうスープ”
全国各地から厳選した素材を使った、季節のスープが彩り豊かに並ぶ [食楽web]

「県外発送もされているのね」なんて思いなが

らスープとパンを注文。姉はビーツのスープを、私は基本の発酵チキンボーンブロスをオーダーしました。 スープ各種は、この発酵チキンボーンブロスがベースになっているとのことです。

妻の病気をきっかけに体に優しいスープを。沖縄の小さなカフェで出会った“ととのうスープ”
黄金色のクリアなスープ。全てのスープのベースに

 ボーンブロスと言えば、骨をコトコトとじっくり煮込み骨髄から染み出す栄養素や旨味を抽出したスープのこと。その工程を考えると、コクや旨味がしっかりとした味わいを想像しましたが、これは良い意味で裏切られました。滋味深くじわじわっと体に沁みるような感覚はありつつも、優しい口当たりです。

 代表の奥谷宏司さんとマネージャーの伊禮耕さんに、話を伺いました。
「何故こんなに優しい味なのでしょうか?」
私の疑問をそのままぶつけてみることに。

妻の病気をきっかけに体に優しいスープを。沖縄の小さなカフェで出会った“ととのうスープ”
右:奥谷代表、左:伊禮マネージャー

「平飼いでのびのび育った沖縄県産鶏を使用しています。鶏は煮込む前に塩麹を使用して旨味を最大限に引き出すという独自の製法で、発酵の力を加えることでより旨味を引き出しています。水はアルカリ温泉水を使うことにもこだわっています」

 それに加えて様々な香味野菜やハーブ、昆布や椎茸なども使い、丁寧に贅沢に作ったスープであることがわかります。

妻の病気をきっかけに体に優しいスープを。沖縄の小さなカフェで出会った“ととのうスープ”
厳選した鶏肉、アルカリ温泉水、塩麹、香味野菜やハーブを使用

 奥谷代表からはこんな話もさらに伺いました。
「妻が癌を患ったのをきっかけに、体に優しいスープを作ろうと思ったんです」
 私がしばし返す言葉に窮していると、こう続けてくれました。

「「店頭でパンの販売や接客を担当しているのが、その妻です」

 あぁ、そうか。
 奥様を快復へと導いたであろうスープを多くの人に届けたい想いで、手間を惜しまずに優しいスープを作り続けているのか。全てに合点が行った瞬間です。

 家族の健康を守りたい、大切な方に元気になってほしい、そして自分自身を労ることにも。自宅ではできない工程をまるっと請け負い、体に取り込みやすくおいしく仕上げてくれているスープ。

 それが、沖縄にあります。

●著者プロフィール

妻の病気をきっかけに体に優しいスープを。沖縄の小さなカフェで出会った“ととのうスープ”

玉城久美子(たまきくみこ)

1級フードアナリスト。

沖縄県那覇市出身。
「人と地域を食でつなぎ新たな価値を生む」をモットーに執筆や食文化講座を行うほか、食イベントの企画や販路拡大など、自治体や企業のマーケティング支援に携わる。

●SHOP INFO
BONEBROTH STAND OKINAWA

住:沖縄県中頭郡嘉手納町嘉手納548-4 M'sビル1F
TEL:098-956-4044
営:10:00~15:00
休:月・木・日曜
https://bonebroth-stand.com/collections/allitem

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