●アジア随一の“オーガニック食材”天国・台湾で生まれたバニラビーンズの魅力とは?

 年間を通して、果物や野菜などの農作物が豊富に育つ台湾では、この10年ほどで政府が国をあげて「オーガニック食材生産」の推進をサポート。

 その結果、今日では台湾の有機農業は認証を受けている耕地だけでも1.5万ヘクタールを超え、アジア地域においては特に一気に高い水準の“オーガニック食材生産国”へと生まれ変わりました。

 いま台湾では、そうして生まれるオーガニック食材の専門店が続々とオープンしています。そんな台湾のオーガニック食材に注目したのが、名古屋を拠点に輸入・販売を行う「TAIWAN NeeL」。台湾のオーガニック食品事情について、代表の加納貴美子さんに伺いました。

 加納さんは以前、九州の食品分析会社に勤めていました。同時期、趣味で台湾へ旅行し、そんな中で台湾のオーガニック食材の素晴らしさに気づいたそうです。

「ふだん食品の仕事をしていたこともあり、台湾旅行中も食べ物に注目していました。ちょうど台湾で有機農業を強く推進し始めた時期でもあり、台湾の『食品の安全への意識』は日本よりも高いように感じました。ただし、オーガニック食材のように丁寧に作られた『いいもの』って、なかなか大量には作りづらいもの。仮にそういったものを『日本に輸入し浸透させよう』と思っても、大企業ではなかなか実現しにくい商材だなと思いました」

 そこで加納さんは思い切って会社を辞めて小さな輸入会社と『TAIWAN NeeL』というブランドを立ち上げ、台湾産のオーガニック食材を中心に、美味しい果物や良質の雑貨などを輸入販売するようになりました。

台湾産バニラビーンズの取り組みを日本に紹介したい

アジア随一の“オーガニック食材”大国・台湾の「バニラビーンズ」に今プロの料理人が注目する理由
「TAIWAN NeeL」取り扱いの台湾産バニラビーンズ

「TAIWAN NeeL」がこれまでに輸入販売した商品は、有機農業によって作られたごま油やフルーツジャムなど。限られた取扱商品の中で意外なのが「台湾産バニラビーンズ」。そう、マダガスカルより気温が低い台湾でもバニラビーンズができるのです。

「バニラビーンズはケーキ屋さん、お菓子を作る方の間では馴染みがある食材である一方、高級品なんです。

また、バニラビーンズの産地は本来は、東アフリカのマダガスカルなどですが、数年前に干ばつが起きたりして生産量が激減し、価格が高騰してケーキ屋さんがすごく困っていました。そんな中で、台湾でオーガニックのバニラビーンズを生産する農家さんの存在を知り、ぜひ日本に紹介したいと思ったんです」

アジア随一の“オーガニック食材”大国・台湾の「バニラビーンズ」に今プロの料理人が注目する理由
実際に「TAIWAN NeeL」が輸入販売するバニラビーンズのさやを剥いて、中を見せてもらった[食楽web]

 台湾産のオーガニック・バニラビーンズを多くの人が知らないままでは消費されず、そのまま衰退してしまうかもしれないと危惧した加納さん。そこで『TAIWAN NeeL』でこれを輸入販売し、日本の消費者に紹介・提供していくことにしたそう。

バニラビーンズを使ったパイナップルジャム&プリンのレシピ

アジア随一の“オーガニック食材”大国・台湾の「バニラビーンズ」に今プロの料理人が注目する理由
「TAIWAN NeeL」のバニラビーンズを使った「たねのおやつ」のスコーン商品群。催事など限定で販売されました

 加納さんの思いに共感し、「TAIWAN NeeL」が輸入販売する台湾産バニラビーンズの優位性に注目したのが、福岡県のお菓子ブランド「たねのおやつ」。一時、催事等の限定でこのバニラビーンズを使ったスコーンなどを販売していました。つまりはプロをも唸らせるほどのバニラビーンズだったわけです。

 ただし、「プロだけでなく一般の方でも気軽にバニラビーンズを使ったジャムやお菓子作りなどはできると思います」と加納さん。そこで誰でもすぐできる、バニラビーンズを使った「パイナップルジャム」「プリン」2つのレシピを教えてもらったので、ご紹介しましょう。

パイナップルジャムの作り方

アジア随一の“オーガニック食材”大国・台湾の「バニラビーンズ」に今プロの料理人が注目する理由
バニラビーンズを使ったパイナップルジャム

◎用意するもの

・台湾産パイナップル……1個
・きび糖……パイナップルカット後の30~40%ほど(パイナップルの甘さで調整)
・バニラビーンズ……0.5本分(縦に割いて中のビーンズを包丁で出したもの)

◎作り方

1.パイナップルの皮を剥き、1cmほどのサイズにカットする

2.材料を全て鍋に入れて弱火をかけ、よく混ぜながら全体を馴染ませていく

3.(2)で水分が出てきたところでやや強めの中火にかけ、好みの水分量になるまで煮詰めて完成

プリンの作り方

アジア随一の“オーガニック食材”大国・台湾の「バニラビーンズ」に今プロの料理人が注目する理由
バニラビーンズを使ったプリン

◎用意するもの

・(カラメルソース用)きび糖……50g
・(カラメルソース用)水……25ml+25ml
・(プリン用)牛乳……300ml
・(プリン用)卵……3個
・(プリン用)卵黄……1個
・(プリン用)きび糖……60g
・(プリン用)バニラビーンズ……0.5本分(縦に割いて中のビーンズを包丁で出したもの)

◎作り方(カラメルソース)

1.鍋にきび糖と水25mlを入れて中火にかける。ヘラで混ぜながら濃い茶色になったら、さらに水25mlを少しずつ入れてよく混ぜる。

2.型に流し込んで固まるまで冷ます。

◎作り方(プリン)

1.鍋にきび糖と牛乳とバニラビーンズのさやと種を入れて火にかけ、沸騰する前に火を止める。

2.ボウルに卵と卵黄を入れ、空気を入れないように混ぜ、(1)を加え、目の細かいざるでこして型に流す。

3.(2)の表面の気泡を、キッチンペーパーで除く。

4.(3)を湯を張った天板にのせ、150度に予熱したオーブンで30-40分焼気、冷蔵庫でよく冷やして完成。

バニラビーンズは採算度外視

アジア随一の“オーガニック食材”大国・台湾の「バニラビーンズ」に今プロの料理人が注目する理由
大型流通品とそう変わらない価格設定が嬉しい

 ところで、台湾産に限らず、オーガニック食材というと、その品質の高さの一方で、大型流通の商品に比べると割高になりがちなのもまた事実。しかし、「TAIWAN NeeL」の台湾産バニラビーンズは950円(2本入)と、大型流通品と大差のない、あるいはさらに安い価格感。バニラビーンズを求める人にとってはこれもまたありがたいことでしょう。

「円安が進んでいるので正直厳しいですが(笑)、しかし、先ほどもお話しした通り、このバニラビーンズは、ある意味で台湾のオーガニック食材の素晴らしさを知ってもらう意味も込めて採算度外視で販売させていただいています。ケーキ屋さんや趣味でお菓子作りをされている方はぜひチェックしていただけると嬉しいです」(加納さん)

 これからさらに注目を集めそうな台湾のオーガニック食材に、これからも目が離せそうにありません。

(取材・文◎松田義人(deco))

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