●さまざまな業界で活躍する目利きのあの人に聞いた新連載「とっておきの手みやげ」。今回は写真家・辻 佐織さんがこっそり教えてくれた、町田と北海道の隠れた名品菓子です。
ご近所へのちょっとしたお礼に、お世話になったあの人に、遠くに住む家族へ。気の利いた手みやげを渡せたら、あげる人ももらった人も心がホクホクとするもの。迷ったときには目利きのあの人に「とっておきの手みやげ」を聞いてみたくなりませんか?
料理家、スタイリスト、カメラマンやショップオーナー、編集者など、様々な分野で活躍しているあの人にこっそり教えてもらう手みやげコーナー。

今回は、国内外を問わず数多くの場所を旅してきた経験があり、いいもの、おいしいものを見抜く目利きの写真家・辻 佐織さんに3つ、絶品のおやつを教えてもらいました。
ずっと愛したい名菓子。町田の老舗洋菓子店が作る「つくしんぼ」

辻さんは前回、素敵な器を紹介してくれたように、ずっと大切にしたいもの、大好きなあの人にあげたいもの、日常をほんのりとおいしくするものを見つける目利き。
こちらのコロンと可愛い洋菓子は、町田市つくし野にある1977年創業の老舗洋菓子店『つくし野マロン』が作る「つくしんぼ」。この知る人ぞ知るおやつ、実は町田市の名産品にも認定されているコロネなんです。

「近くにこんな、素朴でおいしいお菓子があったなんて」と嬉々と話してくれる辻さん。トレーに可愛くのった「つくしんぼ」は白い雪を被ったような出立ちで、一口齧ると、サクっ、しっとり。
「わっ、軽い。クリームが上品」
テーブルを囲む面々のほっぺが綻ぶ瞬間。
解けるように軽やかな特製パイ生地に、たっぷりのカスタードが溶け合って消えていく。甘たるさはなくて、どこまでも上品だ。
「どこかほっとするような、懐かしい味がするでしょ? しかもこんなに気軽に食べられる価格設定なんて 最高じゃない?(笑)」(辻さん)
町の洋菓子店で巡り合った、愛され続けるおやつ。
素朴な佇まいで、味は一級。込められた愛情もきっと、一級。
おもたせにして、みんなのほっぺも綻ばせたい名品おやつです。
●SHOP INFO
つくし野マロン
住:東京都町田市つくし野4-33-26
営:9:00~18:30(日曜・祝日は18:00まで)
休:月曜、第3火曜
※営業時間、お休みの詳細はHPを参照
https://tsukushino-marron.jp/
かわいくっておいしくって。北海道発『CANTUS』の焼き菓子たち

老舗の洋菓子店の間違いないおやつの次は、新しく注目店の焼き菓子を。
こちらは北海道の『CANTUS(カントス)』の焼き菓子。実は行列ができるほどドーナツ(特にねじねじツイストが人気)が話題のカフェ兼ドーナツショップなのですが、焼き菓子もとってもおいしいのです。
ご紹介するのは、米粉クッキーとビスコッティ。

「小さな工房で北海道の素材にこだわって作ってるんですね。
北海道産のゆめぴりかの米粉とバター、きな粉と和三盆を使って作られたキャンディのような装いのクッキーは、口の中でほろほろと崩れていく。その合間に上品な甘さが広がって、あっ、塩味も効いてる。なんて気の効いた味わい。
実は辻さん、『CANTUS』のクリエイティブディレクターとして、このおしゃれなパッケージもディレクションしています。前回の器のセレクトからも通じるような、可愛くてワクワクするそのデザインは、「北海道に自生している野草と、フクロウとかキタキツネとかの動物をあしらったリバティ柄にしたんです」(辻さん)
可愛いし、おいしいし。まさに、友達にプレゼントして盛り上がりたくなるおやつです。
じんわりおいしさ広がる、薄くてかたくない「ビスコッティ」

もう一つの「ビスコッティ」。
「ちまたには硬いビスコッティが多いでしょ。でもこれは薄くて硬くなく、サクッと食べれるんです。割れたらヨーグルトに混ぜたり、コーヒーに浸して食べたりしてもおいしいですよ」

全粒粉やきび砂糖などシンプルな素材に、ローストされたアーモンドの香ばしいが加わって、ところどころに岩塩も潜んでいて、噛むほどに滲みでるおいしさ。
おやつで感じる素材のおいしさ。辻さんが選ぶおやつは、丁寧な作り手の愛情も感じられるものばかりです。

●SHOP INFO
CANTUS
住:北海道札幌市中央区南6条西23丁目4-23アールブラン1F
営:11:30~18:00(土曜は12:00から)※ドーナツが売切れ次第閉店
TEL:011-211-8271
休:日・月曜
https://www.instagram.com/cantus_hokkaido/
https://cantus.base.shop/
(撮影◎辻 佐織、取材・文◎草地麻巳)
●著者プロフィール
辻 佐織
写真家。北海道出身。グラフィック広告を中心にCM撮影、雑誌やwebのエディトリアルなど幅広い分野で活躍。国内外の広告賞多数受賞。2019年、札幌にファクトリーラボ+カフェとして『CANTUS(カントス)』の立ち上げに、クリエイティブディレクター&フォトグラファーとして携わる。世界40カ国以上での撮影経験を通じて多様な風景と向き合いながら感性を深め、自然光の美しさとスタジオワークの緻密さ、両方に寄り添う眼差しを大切にしている。