待ちに待ったアウトドアシーズンが到来!
フィールドの空気感を楽しむのはもちろん、アウトドアの醍醐味といえば、自然の恵みを感じながら味わう「アウトドア飯」ですよね。
そこで、数多くのアウトドア料理のレシピ本やアウトドアブランドとのコラボを手がける小雀陣二さんに、最新著『アウトドア料理大全』を参考に、「アウトドア料理を成功させるための3箇条」を教えてもらいました。
●プロフィール

小雀陣二(こすずめ じゅんじ)
1993年からアウトドア業界に身を置き、得意な料理を生かして手軽で簡単なアウトドア料理の手法やレシピを紹介。また国内外でカヤックやMTBなどのツアーを開催するほか、アウトドアブランドと組んだ商品企画や販売促進にも携わる。週末には喫茶と雑貨「雀家」の店主としての顔も持つ。
<その1>道具にこだわる

「僕がアウトドア料理を作る上で、道具は大切なパートナー。その魅力や役割を知ることで、アウトドア料理がより楽しくなり、成功に導いてくれます。僕が使う道具は、アウトドアブランドの製品、料理のプロが使う業務用、作家が作る一点ものなどさまざまで、長年かけて自分が使いやすく、所有していて心地いいものを集めてきました。
好きなのは、『扱いやすく、使うことや片付けが億劫にならないもの』『多用途で機能的なもの』。アメリカのBBQの王様、スティーブン・ライクレン氏からはアウトドア料理に欠かせないトングにはこだわるように、アドバイスをもらったこともあります。皆さんもぜひいろいろ使ってみて、自分の好みに合うものを見つけてください。道具にこだわると、よりアウトドア料理を楽しみの幅が広がります」

「ロッジ」の鋳物製鍋は使い込むほどに使いやすく馴染んできます。「エドランド」のトングは最高の相棒。鍋を吊るす「ロッジ」のトライポッドは料理の幅が広がる優れものです。
<その2>火を操る

薪の種類で火加減が変わるのもおもしろい。着火した火は、調理に最適な火力が安定した状態の熾火に育てること。
「アウトドアで料理をするときの火種には、焚き火、炭火、バーナーがあります。それぞれの特性を理解し、火をうまく操ることで、アウトドア料理を作ることができます。
たとえば、焚き火料理は薪が燃える香ばしい香りを料理にまとわせたり、焦げもおいしいスパイスの1つになります。炭火料理は薪より炎が安定し、高温をキープし、遠赤外線効果でじっくり焼くのにぴったり。炭は薪よりも扱いやすく、初心者でも火加減がしやすいのが特徴です。バーナーは家庭で作る料理とさほど変わりませんが、アウトドアゆえに風や気温などの影響を受けるので、風防がついているバーナーを選んだり、低温でも火力が落ちないガスバーナーやガソリンバーナーを使うのをおすすめします」

作りたい料理に合わせて火種を選ぶか、火種から料理を選ぶか。まずは“調理シーン”を想像することからアウトドア料理はスタート。炭火での肉料理はまず表面を焼き、遠火にして遠赤外線効果でジューシーに焼き上げるのがコツです。
<その3>フィールドを楽しむ

「僕は、突然の雨など予想外のことが起きるのもフィールドの中で過ごす醍醐味だと思っています。そのためにも準備段階でどんな調理シーンになるかを想像していくようにしています。
時には手を抜き、ドライフーズやレトルトを使ってもいいとも僕は思います。何より、気持ちのいいフィールドでゆっくり食事をする、それが一番のアウトドア料理のごちそうですから」

カヤックで漕ぎ着いた海岸では流木を集めて火をおこし、料理を作ることもあるのだとか。手間がかかりますが、焚き火を囲むリビングをどのように作るか考えながら薪を集める。自由度の高いそんな時間も、アウトドア料理を特別なものにしてくれます。
(写真◎高橋郁子、文◎鈴木志野)
●書籍情報

『アウトドア料理大全』
こだわりの道具から調理法、絶品レシピまで、小雀陣二さんのアウトドア料理とフィールドへの愛がたっぷり詰まったアウトドア料理本の決定版。
著者:小雀陣二
定価:2970円(税込)
発行:平凡社
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※今回の記事で掲載している写真は『アウトドア料理大全』からの抜粋です。