●韓国ソウルで連日行列を生むスープ料理専門店『オクドンシク』が日本初上陸。韓国の伝統スープ「コムタン」を再構築した、白濁しないスープ「デジコムタン」とは?

 東京のコリアンタウン・新大久保は、韓国のトレンドをいち早く体験できるスポットとして、若い女性を中心とした人気が衰えません。

話題のスイーツや料理などもすぐに流行を追うことができますが、SNSに映える料理が多いためか、胃袋にずんとくるテイストが多いようにも思います。

 しかしながら、韓国料理全般が辛い、重い、濃い、というわけではありません。ソウルにある8年連続ビブグルマンに掲載されているスープ料理専門店『オクドンシク』は、韓国料理のイメージを払拭する滋味深くも繊細な一杯を提供しています。

8年連続ビブグルマンのソウルの名店『オクドンシク』が新大久保に上陸。常識を覆す新コムタンスープとは
『オクドンシク』

 2025年8月上旬に日本1号店がオープン。新大久保~東新宿駅を最寄りとし、大人が腰を据えてじっくりと料理を味わえるような、18席とシンプルながら落ち着いたモダンな空間が特徴です。

8年連続ビブグルマンのソウルの名店『オクドンシク』が新大久保に上陸。常識を覆す新コムタンスープとは
今注目の料理人、オク・ドンシクさん

 手がけるのは、韓国を代表する料理人オク・ドンシク氏。慶熙大学で調理課程を修了後、一流ホテルやレストランで修行を重ね、2017年にソウル・ノニョン洞に『OKDONGSIK SEOUL』をオープン。「韓国料理を正統に進化させ、新しい形で届けたい」という味と哲学で勝負しています。その姿勢が、食を真剣に楽しむ大人に響き、8年連続ビブグルマン掲載の実力店としてニューヨーク、ソウルでも人気を呼んでいます。

コムタンの常識を覆すクリアなスープ

8年連続ビブグルマンのソウルの名店『オクドンシク』が新大久保に上陸。常識を覆す新コムタンスープとは
『オクドンシク』の命と言えるスープ

 韓国料理好きなら、スープというと「コムタン」を想像する人も少なくないでしょう。韓国の伝統的なスープ料理であり、牛の肉や骨、内臓などを長時間煮込んで作る白濁しているのが特徴です。

『オクドンシク』では、「デシコムタン」を看板メニューとして、筋肉質で脂身の少ない豚(韓国語で「デテ」)を、75~80℃の低温で丁寧に煮出したスープを提供しています。

 淡麗で透明感のある仕上がりで、じんわりと滋味深い味わい。

ナンプラーやにんにくを一切使わないのも珍しく、純粋に豚肉の質と火入れ、塩加減だけで勝負しています。

8年連続ビブグルマンのソウルの名店『オクドンシク』が新大久保に上陸。常識を覆す新コムタンスープとは
デジコムタン

 日本では、白米にスープにかけて提供されます。米のでんぷん質を取るために、ご飯はスープに2度くぐらせ、さらにとした口当たりに仕上げます。スープの上には、シルクのごとく舌ざわりのよい豚肉を複数枚、重ねています。

8年連続ビブグルマンのソウルの名店『オクドンシク』が新大久保に上陸。常識を覆す新コムタンスープとは
肉、ご飯、スープとシンプルなのに贅沢を感じる一皿 [食楽web]

 これがとにかく柔らかで、とろけるよう。最後の一滴まで温かいままいただけるのですが、ご飯がいつまでもふやけず、サラサラしているので、最初の一口目の感動を最後まで堪能でるのもお見事です。

8年連続ビブグルマンのソウルの名店『オクドンシク』が新大久保に上陸。常識を覆す新コムタンスープとは
コチュジは肉に直接つけて味わいます

副菜もまた主役級。スープを軸にしたコース仕立ての料理たち

8年連続ビブグルマンのソウルの名店『オクドンシク』が新大久保に上陸。常識を覆す新コムタンスープとは
チヂミ風の一皿

 スープを軸にしたコースのような構成で副菜も提供されます。「ヘムルワンジャ」は、エビやニラ、ネギなどを細かく刻み、豚脂で焼き上げたチヂミ風の一品は、外はカリッと香ばしく、中はふわふわ!

8年連続ビブグルマンのソウルの名店『オクドンシク』が新大久保に上陸。常識を覆す新コムタンスープとは
厚みがあり、食べ応えバツグン

「冷ジュユク」は、薄切りの豚肉をやわらかく煮て冷やしたもの。コチュジャンやごま油のソースを絡めていただく韓国式冷しゃぶといった趣です。これらの副菜がまたスープをより立体的に感じさせ、飽きる暇がありません。

Essence of Simplicityという哲学で、伝統的な韓国料理を再構築

8年連続ビブグルマンのソウルの名店『オクドンシク』が新大久保に上陸。常識を覆す新コムタンスープとは
カラトリーの美しさにも注目

「Essence of Simplicity」をブランドスローガンに掲げ、無駄を削ぎ落とし、素材の美しさと余白を大切にという哲学は空間から料理のすべてに反映されています。

 銀座や六本木ではなく、あえて新大久保という韓流カルチャーの中心地に出店するというのも『オクドンシク』の信念を感じさせるもので、静かにやさしく、それでいて一本芯の通った様は、料理の味からも実感することができるでしょう。

「食後が心地よい」韓国料理をぜひ体験してみて。

(撮影・文◎亀井亜衣子)

●SHOP INFO

8年連続ビブグルマンのソウルの名店『オクドンシク』が新大久保に上陸。常識を覆す新コムタンスープとは

オクドンシク

住:東京都新宿区大久保2丁目6番10号
営:11:00~15:00、17:00~22:00
休:月曜
https://okdongsik.net

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