●蕎麦が好きでお酒が好きな小宮山雄飛さんが、美味しいお蕎麦屋さん、そして蕎麦屋呑みの魅力を伝える連載。今回は東京・日本橋の立ち食いそばの名店『そばよし 日本橋本店』を訪問してきました。
今や、初めてのお店に行くのにも、スマホ1台あれば地図アプリで迷わず行ける時代。しかし、日本橋の『そばよし』に行く時は、スマホの電源を切って、ぜひとも己の嗅覚だけを頼りに行ってみてほしい!
最寄りの三越前駅を出て、東に少し向かうと、すでに鰹節のいい香りが漂ってきます。その香りのほうへ向かうと、鰹だけじゃない蕎麦つゆの美味しそうな香りが強くなってきて……

ここだ! と思う角を曲がると、そこに現れるのが『そばよし 日本橋本店』。13代続く鰹節問屋である『中弥商店』が営む立ち食い蕎麦屋さんです。
香りの発生地点は、店舗の3階にある鰹節工場。大元の商売である鰹節を、常に大量に削っているんだから、そりゃーいい香りが漂うはずです。
立ち食い蕎麦店としても24年の歴史がありますが、鰹節問屋としては日本橋に移ってからだけでも、なんと180年以上の歴史があるというから、文字通り江戸から続く老舗中の老舗です。
小宮山雄飛は「そばよし」をこう楽しむ

立ち食い蕎麦屋さんって、意外とお酒を置いてないお店が多いのですが、こちらは嬉しいことにビールがある。
ということで、昼からかきあげを別皿でもらい、これをツマミにビールをいただきます。

300円の缶ビールのアテに、140円でかきあげが食べられるって、よくよく考えてみると、そこらの立ち飲み屋さんより断然おトク! サクサク食感のかきあげが、冷たいビールによく合います。


お蕎麦は温かい三陸わかめそばをチョイス。全国に鰹節を卸している問屋さんならではのネットワークで、三陸の美味しいわかめを入荷しているそう。

こちらでお蕎麦を食べる時のマイルールは、まずはつゆを一口飲むこと。
さすが鰹節問屋さんのつゆ、しっかりとした旨みがありつつ、すっと飲めるフレッシュ感が全然違うんです。

しかも、つゆが足りなくなったら足してくれる「追いつゆ」のサービスまであるから、ありがたくいただいちゃいましょう。細めの麺が極上のつゆとからんで、立ち食いとは思えないクオリティ。

ランチ時をはずして午前10時に伺ったんですが、ひっきりなしのお客さんで常に満員状態なのも頷けます(思い出しただけで、もう食べたい)。
絶品サイドメニュー「おかかごはん」を忘れずに

そしてこちらの名物といえば、「ライス」を頼むと無料で出してくれる「粉かつお」をかけて食べる、おかかごはん。
さすが鰹節問屋の粉かつおだけあって、これが絶品なんです。

醤油を数滴垂らして食べるのも美味しいですが、最後は残ったつゆをかけて、スープごはんにするのもおすすめ。

出汁の美味しさを最後の一滴までしっかり味わってごちそうさま。気軽に行けて大満足の立ち食い蕎麦の名店です。
(撮影◎猪俣博史)
●SHOP INFO

そばよし 日本橋本店
住:東京都中央区日本橋本町1-1-7 本町山崎ビル 1F
TEL:03-3241-0884
営:7:00~20:00
休:土日祝
●著者プロフィール
小宮山雄飛
ホフディランのVo&Key担当。ミュージシャンの傍ら、グルメ番長として食のシーンでも活躍し、様々な雑誌やWEBサイトでの連載、レシピ開発なども行う。著書には『旨い!家カレー』『レモンライス レシピ』『小宮山雄飛 今日もひとり酒場』など。