●おいしいローカル部が見つけた地元の老舗の名店。今回は創業300年の歴史ある日本料理店『菊屋』の鰻重の魅力に迫ります。

 千葉県成田市と言えば、まず成田空港が思い浮かび、次に成田山新勝寺が思いださせれると思います。成田駅より成田山新勝寺に向かう約800mの道は表参道と呼ばれ、約60軒ものうなぎ屋が軒を連ねています。成田の近くには印旛沼があり、川魚が豊富でなかでも栄養価が高い「うなぎ」が古くから地元の食文化として親しまれてきました。

 成田山新勝寺総門より徒歩3分程のところに、『日本料理 菊屋』という成田山新勝寺門前で300年もの長きに渡り営む老舗日本料理店があります。現在の店舗も築100年を越え、明治、大正浪漫の雰囲気を楽しむことができます。

創業300年。“うなぎのまち・成田”の老舗日本料理屋『菊屋』で味わう国産鰻重が旨い!
年季の入った看板が菊屋の歴史を物語っています

 店内に入ると壁面に飾られている菊の御紋が目に入ります。これは『菊屋』の屋号の由来にもなる、成田山新勝寺より拝領したもの。成田山新勝寺は天慶の乱(西暦940年頃)の折に建立されて以来、寺紋に宮家の菊の御紋の使用を許されているお寺です。

創業300年。“うなぎのまち・成田”の老舗日本料理屋『菊屋』で味わう国産鰻重が旨い!
店内には至る所に築100年の歴史を感じる事ができます

 こちらのおすすめは「国産鰻重」。
 テーブルの上を確認すると、山椒と追加でかけるうなぎのタレの入った壺が置かれています。待つ事15分程、重箱に入った鰻重が配膳されました。

ふわっとした「国産鰻重」に舌鼓!

創業300年。“うなぎのまち・成田”の老舗日本料理屋『菊屋』で味わう国産鰻重が旨い!
配膳された重箱の蓋上には「大安好日」の文字が書かれている [食楽web]

 蓋を開けてみると、焼き上がったばかりのうなぎから、うっすらと白い湯気が立ち上ります。うなぎの色は薄い飴色で焼かれていて、味は少しあっさりめに感じました。

好みによって卓上のタレで調整できるようにしているのでしょう。関東風の焼き方でパリッした焼き上がりは控えめ、しっとりとした口当たりを強く感じます。身はふんわりとした印象で、口の中でねっとりとろける食感。炭火で焼いた控えめながらも香ばしい香りも上品さに華を添えていました。

創業300年。“うなぎのまち・成田”の老舗日本料理屋『菊屋』で味わう国産鰻重が旨い!
ふんわりと蒸し焼かれたうなぎは箸を入れるとスッと身を切り分けられる

 江戸時代中期、「成田詣」が庶民の間で盛んになると、表参道の旅館や料理店ではうなぎ料理が振る舞われる様になりました。江戸・日本橋から成田山新勝寺まで約70km。徒歩で訪れた人々にとって、参拝後のうなぎ料理はまさに長旅の疲れを癒すのに重宝され、それが「うなぎのまち・成田」につながっていきました。

風情ある表参道の街歩きも楽しい

創業300年。“うなぎのまち・成田”の老舗日本料理屋『菊屋』で味わう国産鰻重が旨い!
表参道を歩くと何百年も昔の有形文化財を見つける事もできます

 表参道のお店でさまざまな鰻重を食べましたが、お店ごとに使っているうなぎや仕上げ、タレなど同じ関東風でも違いがあります。中でも今回紹介した『菊屋』は筆者が食べた中で1番、ふっくらした焼き上がり。開店してすぐの午前中に訪れるのがおすすめです。

創業300年。“うなぎのまち・成田”の老舗日本料理屋『菊屋』で味わう国産鰻重が旨い!
成田空港から近い成田山新勝寺の表参道は多くの外国人が毎日訪れます

(撮影・文◎成田 food labo)

●SHOP INFO
日本料理 菊屋

住:千葉県成田市仲町385
TEL: 0476-22-0236
営:10:00~21:00(L.O.20:00)
休:無し

●著者プロフィール

成田 food labo
普段はサラリーマンとして働き、休日は成田市を中心にランチをメインに和洋中こだわらずに食べ歩きをしています。
@narita_food_labo
@greendestiny2000

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