●熊本の年始を彩る伝統の御國酒「赤酒」。肥後細川藩の時代から愛され続ける味わいをレポートします。
正月におせちや雑煮と並んでいただく「お屠蘇」。その歴史は古く、平安時代に中国から伝わり、江戸時代には庶民にまで広まったといわれています。一年の始まりに邪気を払い、心身を清めて無病長寿を願う、日本らしい新年の風習です。
多くの地域では清酒で作るお屠蘇が一般的ですが、熊本では肥後細川藩の時代から「お屠蘇といえば赤酒」。今もなお、新年に欠かせない味として親しまれています。
熊本市中心部から車で20分ほど。熊本市川尻に酒蔵を構える「株式会社瑞鷹(ずいよう)」は、慶応3(1867)年創業という長い歴史を持つ酒造会社です。
「瑞鷹」という名の由来も、なんとも正月らしいもの。「創業者の吉村太八が元旦の朝、蔵の門を開けたときに鷹が舞い込んできたそうです。『正月の鷹は瑞兆だ』と縁起を担ぎ、『瑞鷹』と酒に付けたのが始まりなんです」と、五代目蔵元の吉村謙太郎さんが教えてくれました。
肥後藩で守られてきた御國酒「赤酒」
赤酒の歴史は、肥後藩の時代にさかのぼります。熊本城を築城した加藤清正の入国以来、約300年もの間、熊本で「酒」といえば赤酒を指していたほど、日常に根づいた存在だったのだとか。細川藩の時代には「御國酒」として保護され、他藩の酒の流入を禁じたほど大切にされてきました。
赤酒は、平安時代から続く伝統酒「灰持酒(あくもちざけ)」の一種。基本的な造りは清酒と同じですが、麹歩合が高く水分を控えているため、糖度が高く、旨味をしっかり感じられるのが特徴です。木灰を使うことで微アルカリ性に仕上がり、酸味が少なく、まろやかな甘さが際立ちます。
「そもそも江戸時代の熊本では赤酒しか造ることが許されていなかったんですよ」と吉村さん。そんな歴史背景もあり、今も正月のお屠蘇や祝いの席には赤酒が欠かせない存在になっています。
毎年、年末になると屠蘇散を添えて赤酒が店頭に並ぶ光景は、熊本の冬の風物詩となっています。
お屠蘇のあとはカクテルや料理でアレンジを
お屠蘇で楽しんだあとは、ウイスキーをソーダで割ったハイボールに加えるのもおすすめ。赤酒ならではのまろやかさが加わり、いつもとはひと味違う香りと深みが楽しめます。
また、料理に使うと旨味とコクがグッと増すため、熊本ではみりん代わりとして赤酒を使うこともしばしば。公式ホームページでは、料理やお菓子のレシピも紹介されていますので、ぜひ試してみてください。
「赤酒」は熊本のお土産としてはもちろん、全国の百貨店やアンテナショップでも購入できます。「瑞鷹」からのお取り寄せも可能なので、今年のお屠蘇には熊本の伝統が息づく「赤酒」を選んでみてはいかがでしょうか。
●SHOP INFO
瑞鷹(ずいよう) 東肥大正蔵
住:熊本県熊本市南区川尻1丁目3-72
TEL:096-311-6275
営:10:00~17:00
休:月曜(祝日の場合は翌日休)、年末年始
https://www.zuiyo.co.jp/
●著者プロフィール
徳山理恵
地域創生食文化大使1期生・フードアナリスト。熊本生まれ。熊本育ち。現在は大阪と熊本の二拠点生活。食と旅が好きすぎて、本業の傍らライター&カメラマンとしても活躍中。









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