●伊豆大島の名物土産店「えびすや土産店」で販売される銘菓「タバカン」の魅力を、同島の観光大使も務めたフードアナリストがご紹介します。

以前、伊豆大島の観光大使を務めていた関係で、今も「何を買って帰れば喜ばれますか?」とお土産の相談を受けます。

お土産は、旅の時間や風景、想いまで手渡す“語れる一箱”であってほしい。そんな私がおすすめしているのが、伊豆大島名産の明日葉(あしたば)を使った羊羹「タバカン」です。

知人の紹介で出会い、味わいはもちろん、パッケージや背景にまで“島の今”と作り手の想いが詰まっていると感じました。伊豆大島での物語を自然と語りたくなる、そんなタバカンの魅力をご紹介します。

変わらぬ場所で変わり続けるために

伊豆大島の新定番みやげ「タバカン」。明日葉の羊羹はなぜ生まれたのか
かわいい牛柄の建物が目印

「タバカン」を生み出したのは、伊豆大島・元町港近くに店を構える『えびすや土産店』さん。1955年創業以来、島を訪れる観光客を迎えてきた老舗です。

現在は三代目のほたるさんが舵を取り、先代の味と信頼を守りながら、新しい伊豆大島みやげの形を模索しています。「“港の近くだからたまたま立ち寄る店”ではなく、“目的地として訪れたくなる店”を目指しています」とほたるさん。今回、タバカンについてお話を伺ってきました。

「同じじゃつまらない」から始まった挑戦

伊豆大島の新定番みやげ「タバカン」。明日葉の羊羹はなぜ生まれたのか
左から3代目の津崎(つさき)ほたるさん、のわるさん、流野(るの)さん

「売っているものが、どこも一緒だね」
観光客のその一言が、タバカン誕生のきっかけでした。伊豆大島のお菓子のお土産といえば牛乳煎餅が有名ですが、訪れる側にとっては似た印象のおみやげが並んでいたのです。

伊豆大島の新定番みやげ「タバカン」。明日葉の羊羹はなぜ生まれたのか
『えびすや土産店』の牛乳煎餅は1枚ずつ手焼きで、ミルク感の強さと、焼印の焦がしからくるビター感が売り。16枚入り1,600円(税込)

島ならではの素材を使い、なおかつ日持ちがして、閑散期もお店を支えてくれる次なるメイン商品をつくりたい。そう考えたときに浮かんだのが、伊豆大島名産の明日葉と羊羹の組み合わせでした。

かつては問屋から仕入れた羊羹を扱っていたそうですが、包丁で切って食べる昔ながらのイメージが強く、購入者は年配層が中心。

「もっと若い人にも楽しんでほしい」という想いから、一口サイズで手軽に食べられる形に。スポーツイベントが多い伊豆大島で、「補給食としても食べてもらえたら」という願いも込められています。

伊豆大島の新定番みやげ「タバカン」。明日葉の羊羹はなぜ生まれたのか
タバカン1個350円(税込)

商品名は明日葉×羊羹で「タバカン」に。タバカンをひと口食べると、抹茶を思わせるほろ苦さのあと、明日葉の爽やかな香りが口の中にふわりと残ります。これが思わずクセになってしまう味わいなのです。

実は、ほたるさん自身が「明日葉の甘いお菓子は苦手」だったと言いますが、タバカンは試作一回目で「これならおいしい」と即OKを出した自信作だそう。

明日葉を食べる犯人が堂々とパッケージに

伊豆大島の新定番みやげ「タバカン」。明日葉の羊羹はなぜ生まれたのか
キョンまっしぐら!!のキャッチコピーもお茶目です

タバカンの魅力は、味だけにとどまりません。

パッケージデザインは島内のデザイナーに依頼し、明日葉を食べてしまう害獣・キョンを大胆にあしらいました。「キョンを出したら面白いかなと思って(笑)」と、ほたるさん。

ポップで親しみやすいデザインは若者を中心に好評。裏面には明日葉農家や、キョンにまつわるミニ情報も記されており、旅の話題づくりにも一役買ってくれそうです。

帰ってから、また思い出す味 

伊豆大島の新定番みやげ「タバカン」。明日葉の羊羹はなぜ生まれたのか
店内は伊豆大島を代表する花である椿モチーフのグッズもたくさん

「タバカンは初めての委託製造で、わからないことだらけでした」と振り返るほたるさん。構想から発売までにかかった時間は約2年。

それでも妥協せず完成させた背景には、「他とは違うもので喜んでもらいたい」という強い想いがありました。
現在はラインナップに「シオカン」(塩の羊羹)も加わり、シリーズ展開も進行中。伊豆大島を訪れた際は、ぜひ『えびすや土産店』に立ち寄って、想いの詰まったタバカンを手に取ってみてはいかがでしょうか。

●SHOP INFO
えびすや土産店

住:東京都大島町元町1-17-1
TEL:04992-2-1319
営:8:00~17:00
休:木曜(椿まつり期間中は無休)

●著者プロフィール

伊豆大島の新定番みやげ「タバカン」。明日葉の羊羹はなぜ生まれたのか

柴田珠実

紅茶マーケター/フードアナリスト。食品メーカーで紅茶のマーケティングを担当し、年間50品以上の新商品を企画・開発。市場ニーズと味覚トレンドを読み解く力に定評がある。出身地の千葉県や伊豆大島の観光大使や、テレビ番組のレポーター経験も持ち、日本各地の食や文化を伝える活動を続けてきた。「五感に響く体験を届けたい」を信条に、食と旅、地域、文化をつなぐ表現を探求中。
@ tt.wedding.account

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