レモンサワーと醤油からあげが絶品の『神楽坂からあげ製造所』は、超ハイレベルなサク飲み空間だった

2018年05月04日(金)10:00

レモンサワーと醤油からあげが絶品の『神楽坂からあげ製造所』は、超ハイレベルなサク飲み空間だった

暑さ凌ぎの“サク飲み”のはずが……

　4月某日。まだGW前だというのに、真夏日のような暑さ。夕方になっても気温が下がらず、「あちぃ～」とうだりながら神楽坂の坂道を歩いていたんです。

もうすぐ飯田橋駅というところで、不意に目に飛び込んできた看板『神楽坂からあげ製造所』。これは気になります。「からあげの大量生産でもしているのかしら…」

　店を覗くと、開店祝いのお花がたくさん飾られてあり、どうやら新しいお店のようです。さらに、“レモンサワーとからあげ”の「サク飲みセット1,000円」という魅力的すぎる貼り紙があるではないですか。舌が出そうなくらい喉が渇いていたので、もはや入らない理由がありません。そんな軽い気持ちで入店したのですが、ここで、絶品のレモンサワーと極旨の醤油からあげに出会ってしまうとは、その時は思いもしませんでした。

レモンと醤油から揚げの交互喰いが止まらない！

レモンの丸齧りが美味しすぎる！

　入店すると、細長い店内で、カウンター席中心のバルのよう。メニューを見ると、「完全無農薬レモンを使用こだわりレモンサワー」「醤油だけでなぜこんなにうまいのかこだわりからあげ」という“こだわり2トップ”が大きく書かれています。

　それだけではありません。スモークチキンや黒毛和牛のタタキ、ソースカツ、カキフライなどの一品料理から「炊きたて土鍋ごはん」（ニンニク、鯛、牡蠣などが選べる！）という本格的な〆飯まであるのです。ムムム、これはただならぬ雰囲気。

　ともあれ、「サク飲みセット」を注文です。ほどなく登場したのは、レモンサワー、からあげ4個、キャベツ＆ニンニク味噌マヨネーズのお通し付き。

まずはレモンサワーをグビッと一口。ん？　いつも飲んでいるレモンサワーと全然違う。ツーンとしたレモンの酸っぱさではなく、なんて言っていいのか、口の中で膨らんでいくようなまろやかな酸味です。

　続けて、揚げたてのからあげ。ごく薄の衣をまとっていて、小ぶりで可愛いい。パクリと噛むとふんわりと柔らかく、醤油味の優しい味。生姜やにんにくの強い刺激はなく、メニューに書いてあったように醤油だけのまろやかな香ばしさで、塩味控えめでさっぱりしています。

　お店の方が「うちのレモンは、完全無農薬なので、皮ごと食べられますよ」と教えてくれました。レモンの皮を食べるのは初めてですが、齧ってみると、皮に苦みや渋みは一切なく、むしろほんのりと甘い！

　そこで、あえてからあげにはレモン汁を絞らずに、レモンを齧り、その後、すかさずからあげを口に放り込むという交互食べ方式にしてみました。この食べ方、本当にオススメです。

　口の中がレモンの皮と実の甘酸っぱさで満たされ、その後にアツアツ＆まろやかな醤油からあげが入ってくると、美味しいもの同士が舌の上で出会う、なんとも新しい感覚です。

　あっという間にレモンサワーを飲み干し、“サク飲みタイム”は10分足らずで終了。

…物足りない。もっともっと飲みたい。からあげにいたっては、最低でもあと4個は食べたい。サク飲みのはずが、無意識におかわりをお願いしてしまったほどです。しかし、何故こんなに美味しいのでしょう？

広島のこだわり食材をフル使用！

安心安全美味しい食材はシンプルに

　そこで、店長さんにお話しを伺うと、美味しい理由がわかってきました。『神楽坂からあげ製造所』は同じ飯田橋にある『33kitchen（ミーサンキッチン）』の2店舗目にあたるそうです。そして、そのお店は広島を始めその界隈の瀬戸内の食材をふんだんに使った手料理で人気の隠れ家的居酒屋さんなんです。

　オーナー兼店主の河野さんは広島県のご出身。地元の美味しい食材を広く多くの人に知ってもらいたいと3年前に『33kitchen』をオープンしたのだそう。

「からあげ製造所は、『33kitchen』で人気メニューをピックアップしていて、いわばぎゅっと凝縮した店でもあるんです。看板のレモンサワーなどのレモンは全て広島のレモン農家の方にお願いして専用の畑で作っていただいています。完全無農薬で防腐剤もワックスも使っていないうえ、“木熟”といって木になったまま熟す方法で作っているので、瀬戸内の太陽を浴びて元気に育った力強い味わいなんです」

　また、からあげも、広島県の西部に位置する江田島からとりよせた、少し甘めの醤油を使用。

その醤油だけで、にんにくや生姜、みりん、酒などは一切使わずに、十分に美味しく作れるのだといいます。

「今から14年ほど前、広島で料理人をやっていた時に、地元の畑や牧場、酒蔵、工場などを片っ端から回って、信頼できる食材や調味料・お酒に出会い、以来、ずっと使わせていただいています。安心で安全、そして本当に美味しい食材ばかりで、シンプルな調理法で十分に美味しくなるんです。それから、料理は “引き算”が大事だなと思うようになったんです」

　ただし、その引き算のためにはやはり食材の良さをよく知り、それを生かす技術も大事だとも。なるほど。

「土鍋のご飯は、素揚げしたにんにくを入れて、鰹と昆布の醤油出汁で炊いたご飯の中に素揚げしたにんにくをポンと入れ、大葉を散らしたシンプルな料理です。これが『33kitchen』で大人気なので、こちらでも出しています」

　聞いているだけでも美味しそう！　他にも、広島の燻製屋さんのスモーキチキンや、宮島の牡蠣のフライ、広島の黒毛和牛のタタキなど、瀬戸内づくしなのです！

「メニューにそんなことを書かなくても、食べたら美味しさはわかると自信を持っているので（笑）。ぜひ食べてみてください」

　サク飲みのつもりが、とんでもなく本格的で驚きました。でも、何より気軽で美味しい、というのがこちらのウリでもあるそうです。暑い夏がもうすぐやってきます。まずは、こちらの広島のレモンサワーと醤油からあげで、暑気の“前払い”をして、夏を迎えてみてはいかがでしょうか？

（取材・文◎土原亜子）

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