2018年2月、おはぎ専門店『タケノとおはぎ 学芸大学店』が東京・学芸大学にオープンしたのをご存知でしょうか? 店名の通り、販売されているのは“おはぎ”のみ。それも7種類と決して多くありません。

さらに、東急東横線の学芸大学駅、祐天寺駅ともに歩いて15分弱と、ちょっと距離があります。

「うわ、遠っ!」と思われるかもしれませんが、開店と同時に、お客が続々と来店する超人気ぶり。わざわざ行きたくなる、リピーター続出のお店なのです。おはぎの専門店とはなかなかに珍しい形態ですが、駅から15分もかけて訪れたくなるほどの魅力は一体どこにあるのでしょうか。

 気になって取材に伺ったところ、店頭に並んでいたのは、一般的なおはぎとは一線を画すハイセンスなおはぎばかり。期待に胸を膨らませつつ人気の“秘密”を探ってきました。

行列ができるおはぎ専門店『タケノとおはぎ』は何がそんなにスゴいのか?

 駅から少し距離があるといっても、お店があるのは中央中通り商店街で、昔ながらのお店もあれば新店舗も点在し、ちょっとした街歩きも楽しめる雰囲気です。

 肝心の『タケノとおはぎ』は、シンプルな店構えで看板もなく、ガラスに貼ったポスターが看板代わり。それでも全面ガラス張りのため、通り行く人が「なんだろう?」と足を止め、土日ともなると行列ができているので、すぐにわかるはずです。実はこちら、2016年にオープンし、またたく間に人気店になった桜新町の『タケノとおはぎ』の2号店なんです。

行列ができるおはぎ専門店『タケノとおはぎ』は何がそんなにスゴいのか?

 店内はシンプルな造りで、カウンターに並ぶ7つの杉の箱の中に、整然とおはぎが並んでいます。定番のこしあん、つぶあん以外の5種類は日替わりです。

その日替わりが“変わりおはぎ”と呼ぶお店のオリジナルで、「食べてみたい!」と思わせる彩りや素材の工夫が施されています。

5種類のおはぎは一期一会。この日しか味わえない!?

行列ができるおはぎ専門店『タケノとおはぎ』は何がそんなにスゴいのか?

「もともとデリカテッセンのお店から派生して、おはぎの店が生まれました。1つ1つ単色でもワンプレートに組み合わせると色鮮やかになる。そういうお惣菜の組み合わせ方は、おはぎにも共通していて、季節や旬の食材、色合いを意識して日替わりを決めています」

 とおはぎについて丁寧に教えてくれたのは、学芸大学店を切り盛りする小川拓朗さんです。オーナーの小川寛貴さんの従兄弟で、おはぎの製造も担当しています。

きっかけは“ばあちゃん”の作った家庭的なおはぎ

行列ができるおはぎ専門店『タケノとおはぎ』は何がそんなにスゴいのか?

 小川寛貴さんは、2010年に世田谷区桜新町に『エプロンズフードマーケット』というデリカテッセンを開業し、2016年に同店の横に『タケノとおはぎ』をオープン。その2年後できたのがこちらのお店。タケノとは寛貴さんのお祖母様の名前で、お祖母様と彼女がつくるおはぎが大好きだったことから、店名に冠したそうです。

行列ができるおはぎ専門店『タケノとおはぎ』は何がそんなにスゴいのか?

「オーナーはもともとあんこが好きじゃないのに、『ばあちゃんのおはぎは好き』と言っていました。デリカテッセンはワインと洋風のお惣菜が中心なので、和がテーマのお店をもう1店舗出したいと考えた時に、そのおはぎが浮かんだそうです」

 そして、お祖母様から引き続いたおはぎと独創的なおはぎが話題を呼び、2店舗目のオープンとなりました。

行列ができるおはぎ専門店『タケノとおはぎ』は何がそんなにスゴいのか?
行列ができるおはぎ専門店『タケノとおはぎ』は何がそんなにスゴいのか?

ギフトとしても歓声が上がる、パッケージが可愛すぎる

行列ができるおはぎ専門店『タケノとおはぎ』は何がそんなにスゴいのか?

 和菓子の常識に縛られない寛貴さんの経験やセンスでアレンジされた変わりおはぎは、買い手だけではなく作り手からも好評だと拓朗さんは語ります。

「毎回作るのが楽しくて、親戚が集まっておはぎつくりをしているようなアットホームな雰囲気で作っています」

行列ができるおはぎ専門店『タケノとおはぎ』は何がそんなにスゴいのか?

 店先に選んだおはぎは、3、5、7個と奇数個を注文すると無料で曲げわっぱに詰めてくれるサービスにも心が弾みます。

ワッパを止めるマスキングテープも8種類が用意されていて、選ぶテープで雰囲気もガラリと変わります。

行列ができるおはぎ専門店『タケノとおはぎ』は何がそんなにスゴいのか?

 おはぎを売り買いするだけではなく、おはぎを通して弾む会話やお店への行き帰りの街や商店街の雰囲気、そしておはぎやラッピングを“選ぶ”楽しさが味わえる。それら全てが一つになって、「また行きたくなるお店」としてファンを増やし続けています。

行列ができるおはぎ専門店『タケノとおはぎ』は何がそんなにスゴいのか?

 熟練の和菓子職人がつくる和菓子ではなく、目指すのは家庭的な味。おはぎを一口食べれば、ほっこりした気分になるのは単に和菓子だからではなく、楽しく作られたプロセスそのものもいただいているからかもしれません。

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 取材を行っている最中も、客足が途絶えることはありませんでした。中には、「また来ちゃいました」と顔馴染みらしき人も。学芸大学のおしゃれなおはぎ店は、感度の高い人たちだけでなく、街の人にも愛される人気店でした。

(取材・文◎浜堀晴子)

●SHOP INFO

店名:タケノとおはぎ 学芸大学店

住:東京都目黒区中町1-36-6-101
TEL:03-5725-1533
営:12:00~18:00(なくなり次第終了)
休:月、火曜(8月は20日間の休業あり)
https://www.instagram.com/takeno_to_ohagi/

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