5月20日に練馬の住宅街にオープンしたばかりの『つけめん ラスト・ボス』。その店名を聞き、何か面白い“敵”がいそう…と、さっそく訪店してきました。


“ラスボス”はどれだ?
入店後、まずは券売機が登場するのですが、ラーメン店に伝わる「左上の法則」をご存知でしょうか? 店の看板商品・人気商品は、券売機の一番左上のメニューに配置される、という法則です。
筆者もそれに従い、『ラスト・ボス』の券売機を前にして、左上の「魚介豚骨つけ麺」850円を押しそうになりました。

しかし、ここでちょっと右に目をやると「裏ボスつけ麺 辛口」(900円)という文字が。このネーミング、性分的に放ってはおけません。そもそもここの店名は、“ラスボス”。中ボスも倒していないのに、真っ向から勝負をしかけてくるわけないはずです。そこで、こちらも裏をかき、指をスライドして、この“裏ボス”をポチッと押したんです。
裏ボスの正体は?

登場した「裏ボス」は、真っ赤な辛口のつけ汁でした。一口汁をすすると“背脂チャッチャ系”を彷彿させる、とろりとした食感。最初は辛いというより、複雑で濃厚な甘みとコクを感じます。

麺は「ラスボス麺」という名の太麺。一見普通に見えますが、よくみると面白い形状です。
最近の「つけめん」は、和風だしが効いているものが多いですが、それとは一線を画し、攻撃的で、かつ中毒性があるタイプ。卓上にある割スープも「鶏ガラとかつおだし」で、これをつけ汁に合わせると、豚骨スープが味変。味わいに深みが増し、ここに替え玉を入れたい衝動にかられます。

しかし、ここであえて、再び裏をかき別のメニューを注文することにしました。それは券売機の下方の目立たない位置にあった「ボスめし」250円です。

小さな茶碗に、ご飯、チャーシュー、生卵、ネギが載っています。さらにそこに謎のタレ。かき混ぜるとリゾットのようになり、濃厚なコクがあって、優しい味わい。
というわけで、「左上の法則」を無視して食べた2品が激ウマ。ただ、やはり気がかりなのは左上の、店イチオシ「魚介豚骨つけめん」です。実は一見、普通そうなこれこそがラスボスなんじゃ…。そこで、こちらの店主・田中晋(たなか・すすむ)さんにちょっとお話を聞いてみたんです。
あえて裏ボスにする仕掛けで大人気。

ここで、意外なことが明らかになりました。実は、こちらのお店のイチオシのメニューは、最初に食べた「裏ボスつけ麺」なんですって。
田中さんは、赤羽と新宿の“つけめん”人気店で10年修業して独立。これまでの味の集大成としてここ『ラストボス』を出店したそうです。
ベースとなる豚骨スープは、これまでやってきた味を継承し、鹿児島県産の豚骨と玉ネギ、リンゴ、キャベツといった果物や野菜を使って6時間炊き込み、濃厚に仕上げているそうです。これに魚介系のスープを足したのが「魚介豚骨つけめん」。

「確かに魚介豚骨は、優しい味で万人ウケする味ですが、うちのスープだけで、がっつり背脂と辛みをプラスした“裏ボス”は、1度食べたら記憶に残り、やみつきになるという隠れファンがたくさんいるんです。本当は看板商品にしたかったのですが、賛否が分かれる商品を初出店で左上に載せる勇気がなくて‥‥‥」と言います。

今回、筆者は“魚介豚骨つけめん”を食べませんでしたが、個人的には“裏ボス”はかなりハマりました、とお伝えしたところ……
「今お召し上がりになった“ボスめし”に入っていたあのタレは、魚介豚骨のつけ汁なんですよ」と教えてくれました。
なんと、気づかないうちに2つとも味わっていたんです! 確かに「ボスめし」の魚介豚骨のタレも濃厚で、かなり美味しかった!

実は、「裏ボスとボスめし」の組み合わせは、こちらの1番のオススメの食べ方なんですって。初来店にして “ラスボス”攻略を果たせていたとは、自分でもびっくりです。
でも、実は、まだ攻略したいメニューがあるんです。それは隣の人が食べていた「裏ボスラーメン」900円。豚骨醤油のかなりこってり系で、これも美味しそう!

みなさんも「左上の法則」を無視して、嗅覚で選んでみてください。他にも、「ごま豚骨」、「塩豚骨」など、面白そうな“つけめん”がいっぱいありますよ!
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:つけめん ラストボス
住:東京都練馬区豊玉北5-8-12 コンフォートV 1F
TEL:03-6914-7639
営:11:30~15:00
17:30~燃え尽きるまで
休:月