「京都みやげ」と聞くと、つい甘いものを選びがちです。しかし、お酒を飲む人のなかには「甘いものは苦手」という人が少なからずいます。
そこで、新幹線の京都駅改札内のキオスクを巡って、お酒にも合いそうなお土産をピックアップしてみたところ、京都人がよく知ったあの味が酒のアテにぴったりだったんです!
京都人御用達のすき焼き屋の「牛肉しぐれ煮」は必食
京都市は牛肉の消費量が日本一なのをご存知ですか? そんな京都人の肥えた舌を満足させる老舗のすき焼き店が『三嶋亭』です。私のなかでは憧れのすき焼き店のひとつなのですが、そんな三嶋亭のお肉を使った「牛肉しぐれ煮」は日頃お世話になっている人に渡したいお土産です。

熟成された赤身肉を独自の製法で数日かけて煮込んだしぐれ煮は、一般的なしぐれ煮に比べるとふわふわです。だし、しょうゆ、砂糖、生姜で味付けされており、ほどよい甘辛さは日本酒との相性もバッチリ。もちろん白ごはんにたっぷり載せて食べるのも最高の贅沢です。

ただし、80gで1,296円なので、決して安いとは言えないおみやげ。いろんな人に配るというよりは、大切な人や自分のために買いたいひと品です。
京都ならではのお漬物のひとつ「土井の志ば漬」
京都といえば、さまざまな漬物……いや、「お漬物」があることでも有名です。京野菜の聖護院かぶらを薄く切って酢漬けにした「千枚漬け」や、同じく京野菜のすぐきを塩漬けにした「すぐき漬け」、そして今回紹介する「しば漬け」が京都ならではのお漬物。

しば漬けは、刻んだなすやきゅうりを赤紫蘇の葉を加えて塩漬けにしたもので、京都・大原の名産品です。各メーカーがしば漬けを販売していますが、個人的におすすめしたいのが『土井志ば漬本舗』の「土井の志ば漬」なんです。

しば漬けにも材料を漬けただけの「生しば漬け」と、醤油や砂糖、酢などで調味した「味しば漬け」があるのですが、酸味が好きな人は生しば漬け、少しまろやかなほうが好きなら味しば漬けを選ぶのがいいでしょう。普通のお漬物に比べるとかなり酸っぱく感じると思うのですが、これがクセになるんです。そのまま食べるなら日本酒やビールと、ピクルスのように刻んでクリームチーズに混ぜればワインにも合いますよ。
「九条ねぎ京えびせんべい」は1日1万枚売れるヒット商品
京野菜のなかには、「九条ねぎ」という青ネギの一種があります。そんな九条ねぎを使ったお土産としてヒットしているのが、『本家佳長』の「九条ねぎ京えびせんべい」です。

天然えびと九条ねぎを使ったこのえびせんべいは、2014年から4年連続でモンドセレクション金賞を受賞。なんと1日に1万枚売れるほどの人気商品なのだとか。そうとは知らずに数年前に見つけて以来、ちょこちょこ買っていたのですが、たしかにえびとねぎの風味がしっかりして、しみじみおいしいと思えるお煎餅なんです。

このお煎餅に合うのはやっぱりビール。もしくは、日本酒とちびちびいただいてもいいですし、リッチなえびの味わいは白ワインに意外と合うかもしれません。
スパイシーさがたまらない「原了郭の黒七味を使ったラスク」
10年以上、会社で渡す京都土産を探していたにも関わらず、今回初めて気付いたのが「原了郭の黒七味を使ったラスク」の存在。原了郭といえば、祇園にある1703年創業の歴史ある薬味の名店です。そして、このラスクを販売する『進々堂』は、1913年創業のベーカリーショップ。老舗同士の強力コラボにこれまで気づかなかったとは一生の不覚!

使用しているバゲットは、進々堂の代表パンでもある「レトロバゲット1924」。小ぶりでザクザクの歯ごたえのバケットに黒七味がピリッときいており、洋風なんだけど和風という不思議なスパイシーさが楽しめます。

そのままおやつとして食べるにはもったいないので、ぜひワインと合わせたいところ。少しごま油の風味があるので、ビールのお供にも良さそうです。
刺し身や揚げ物に合う下鴨茶寮の「料亭の粉しょうゆ」
下鴨茶寮の「料亭の粉しょうゆ」は、新しいタイプの調味料。もともとは『下鴨茶寮本店』で料理と一緒に提供されていたものを、2015年1月より本格的に展開しているそうです。

素材には、250年以上続く香川の老舗醤油舗「かめびし屋」の三年醸造醤油を使用。液体醤油の旨みを凝縮して粉末化し、そこに柚子と一味をブレンドしています。液体の醤油とは異なり、揚げ物などもサクサクの食感のまま食べられるのが利点。焼き物に合わせると、素材の旨味もきちんと引き立ててくれるので、料理の名脇役になります。

京都ならではのお酒のアテは、酒処でもある京都の日本酒とのマリアージュも最高。楽しかった京都旅行をお土産を食べて思い出してくださいね。
●著者プロフィール
取材・文/今西絢美
編集プロダクション「ゴーズ」所属。京都生まれ。デジタル製品やアプリなどIT関係の記事を執筆するかたわら、“おいしいものナビゲーター”として食にまつわる記事も執筆中。旅先でその土地ならではのローカルフードを探すのが好き。