東京・五反田といえば、昼はサラリーマンの街、夜は歓楽街という対極の顔を持っています。そんな五反田に、50年以上も続く名物中華屋『梅林』があります。
実は、こちらのお店の人気を不動のものにしているのが、全17種類にも及ぶ焼きそば系のメニュー。「ソース焼きそば」や「肉ソース焼きそば」「上海焼きそば」など、濃いめの味付けが一度食べたらクセになる懐かしく優しい味わいの一品なのです。

今回は、そんな看板商品である焼きそば系のメニューの中から、“隠れた人気メニュー”である「青菜のからし焼きそば」をご紹介します。このお店の一番人気は、「肉ソース焼きそば」なのですが、常連さんが必ずと言っていいほど頼むメニューこそ「青菜のからし焼きそば」なんです。
唯一無二の焼きそばが旨い理由

筆者がこのメニューに出会ったのは1年ほど前。五反田での仕事を終えたある日、中華を食べたいと思い調べて入ったのがこの『梅林』。その時は「肉ソース焼きそば」を頼むつもりで入店しました。しかし、店内で見知らぬサラリーマンが食べていた焼きそばがものすごく美味しそうで、「あれと同じものをください」と頼んだのがきっかけでした。そしてひとくち食べて以来、ずっと「青菜のからし焼きそば」の虜になっているのです。
「青菜からし焼きそば」とは、ひき肉と小松菜を炒め、あんかけ状にしたソースをモチモチの中華麺の上にかぶせた、オリジナル焼きそばです。

ニンニクと生姜で炒めたひき肉に、小松菜、自家製の鶏がらスープ、野菜と共にじっくり煮込んだ醤油、さらに辛さを際立てるために豆板醤を加えて作るこの一皿、もはやうなるしかない絶品です。豆板醤のピリッとした辛さに小松菜のシャキシャキっとした食感が絶妙にマッチした、唯一無二の味わい。

そしてその全ての味のまとめ役こそ、この店オリジナルの醤油。全体に、ほどよく和のテイストが漂う理由がこれです。
「青菜のからし焼きそば」誕生秘話

お店を切り盛りするのは、創業者である小島幸正(こじま・ゆきまさ)さんと2代目である息子の一幸(こじま・かずゆき)さんの親子。幸正さんは中華料理歴50年以上という大ベテランです。
今回紹介した「青菜のからし焼きそば」ができたのは、約10年前。その誕生秘話を、2代目の一幸さんが教えてくれました。
「ベースとなった料理は、20年ほど前、知り合いの中華屋の店主から話を聞いて作ったあんかけラーメンの「青菜からしそば」だったんです。その後、10年ほど前にお客さんから『焼きそばでも同じ餡を使ったものが食べたい』と要望があったため、焼きそばにかけて出したのが始まりです」

今年で50周年を迎えた五反田の老舗『梅林』。今やサラリーマンだけでなく、週末は家族連れや、若い女性も来店する人気店。今回紹介した「青菜からし焼きそば」を含む焼きそば17品だけでなく、麺類19品、ご飯もの12品、定食6品、点心8品と、ランチメニューだけで、全62品と種類がかなり豊富なので、毎日食べに来ても飽きないのも魅力です。

五反田で中華を語るならマストで押さえるべき、と言っても過言ではない名物町中華『梅林』。一番人気の「肉ソース焼きそば」や「上海焼きそば」も良いですが、常連客御用達の裏番メニューを、ぜひ堪能してみてください。
(取材・文◎かね太)
●SHOP INFO

店名:梅林(メイリン)
住:東京都品川区東五反田1-24-1
TEL:03-3473-2005
営:11:00~22:00(LO)、土祝日11:00~21:00(LO)
休:日