美味しいものが食べたい。でも体型のことも気になる…。
ビールとから揚げ。よだれが出るほど美味しい組み合わせですよね。私も居酒屋に行くと、つい惹かれて注文してしまうメニューの1つです。
しかし、最近、こんな人がいることを知って驚きました、「私、糖質制限してるんですよ」と言いつつハイボールを飲みながら鶏のから揚げをパクパク食べ、サイドのキャベツをモリモリ食べていた人です。
これはあくまでも想像ですが、「鶏肉は高タンパク質だから、揚げ物でもご飯を食べず、キャベツを食べているからいいよね」と思っているのではないでしょうか。しかし、糖質制限ダイエット=「ご飯やパンなどの炭水化物を食べないようにする」。だとしたら、糖質制限を大きく誤解しています。少し詳しくお話ししましょう。

糖質制限と脂肪燃焼の関係
「糖質制限ダイエット」は、別名「ケトン体誘導ダイエット」と言います。“ケトン体”とは、体内の脂肪が分解されてできる産物のことです。
糖質の摂取を限りなくゼロにすると、通常、糖質を使うエネルギー回路が、ケトン体を使ってエネルギーに変える回路に切り替わります。
ケトン体の回路に切り替わると、体内にため込んでいる中性脂肪が肝臓でケトン体に変えられるので体脂肪が減って痩せる…というのが「ケトン体誘導ダイエット」の狙い。
つまり、糖質制限ダイエットの大事な点は、糖質摂取をほぼゼロに抑えて、ケトン体を誘発しなくてはいけないんです。なおかつ、じつは運動しないとケトン体には誘導できないんです。
ちなみに糖質は、ご飯やパンなどだけではなく、アルコールはもちろん、ヘルシーと言われる野菜、例えばキャベツやニンジンなどの野菜・果物に豊富に含まれているんですよ。つまり糖質制限ダイエットをやるには、かなり厳密にやる必要があり、健康面から考えても、専門家に管理してもらわなければならないほど難しいものなんです。

から揚げを味方につける方法とは?

さて、から揚げの話に戻ります。から揚げの食材は鶏肉ですね。鶏肉は高タンパク質であり、糖質(炭水化物)はゼロです。ただ脂質の量は部位によって含有量が異なるので、下記をご参照ください。

から揚げの多くは鶏モモ肉を使用し、さらに衣と油が加わりますね。すると、脂質、カロリーともに約1.5倍に増え、炭水化物も加わります。

しかし、鶏のから揚げの「鶏肉」は確かに高タンパク質です。
例えばカボチャやレンコンなどの野菜の天ぷらならヘルシーと言って、たくさん食べるのは、ただただ脂質と糖質を増やし、タンパク質はほとんどないので、筋肉にとってはあまり良いとはいえないのです。

から揚げと一緒に食べると太りにくい食材
ただ、いくらから揚げが筋肉にとっては悪くないとはいえ、脂質が多いので太りやすいのも事実。そこで、から揚げの脂質を少しでも体脂肪に変えない方法を伝授します。
それは、ずばり、海藻やキノコを一緒に摂り、食後にコーヒーを飲むという方法です。

まず、海藻には水溶性食物繊維である「イヌリン」が多く含まれています。これが脂肪の吸収を阻害してくれ、さらに体内で中性脂肪が過剰に作られるのを抑制してくれます。じつはイヌリンは脂肪だけでなく、糖質の吸収も抑えてくれるんですよ。海藻はカロリーも低いのでバッチリです。

続いてキノコ。脂質をすばやくエネルギーに変えてくれる(脂質代謝)のはビタミンB2です。

最後にコーヒーです。コーヒー含まれるのはカフェインが有名ですが、それよりも多く含まれるのがクロロゲン酸です。クロロゲン酸は主に苦味と酸味の正体。
食事で脂肪を摂取すると、体内から脂肪を分解して吸収しやすくする酵素が分泌されるのですが、その脂肪分解酵素をクロロゲン酸は阻害する働きがあるんです。つまり、脂肪をカラダに吸収されるのを抑制するということ。
またカフェインは、脂肪分解を担う「リパーゼ」を活性化させて、エネルギーに変えやすくします。つまり、コーヒーは、脂肪吸収を抑制してくれるうえ、脂肪をどんどんエネルギーに変えてくれるダブル効果があるんです。
というわけで、脂質を体に蓄積しない食材を一緒に摂って、から揚げを楽しんでください。
(取材・文◎土原亜子)
●お話を聞いた方

宮本健太郎
『エベレストフィットネス』代表。日本体育大学卒 第一種高等学校教諭(保健体育)。全米ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。NSCA認定パーソナルトレーナー。大学生時代よりプロボクシングでの競技生活をスタート。競技引退後は某有名ボクシングジムのチーフトレーナーとして後進の育成に従事し、2011年から2018年3月までこの職を勤めトレーナーとしてのスキルを磨く。今季夏より独立し、ボクシング&フィットネスのジム『エベレストフィットネス東高円寺』を経営。
https://everest-fitness.jp