2018年がもうすぐ終わります。「来年は○○をしよう」という目標を立てがちな時期になりましたね。
そういえば、昨年末、“来年こそは”「結婚してみせる」とか「会社を辞めてやる」とか、「10キロ痩せて見返す」とか、壮大な目標を語っていた知人たち。果たして達成できたのかはわかりませんが、じつは、筆者も2018年になんとなくやってみたいことがありました。しかし、暮れも押し迫り、それをやっていないことに気づきました。その目標はというと……
ズバリ「コロッケラーメン」を食べること。
なんてちっぽけな、と思うかもしれません。しかし、ネットで検索してみてください。ラーメン屋さんでコロッケのトッピング、見たことありますか? ほぼ、ないはずです。
ちなみに、東武鉄道・野田駅の『東武ラーメン』にはあります。こちらは、駅中の、しかもホームにある立ち食いラーメン屋さんで、さまざまなラーメンにコロッケをトッピングして気軽に食べられます。
が、いかんせん、都内からだと遠い。たかだか、ラーメンにコロッケ入れて食べるだけなのに、埼玉県の野田まで往復2時間余りかけて行くでしょうか? 行きません。この自問自答によって、コロッケラーメンへの想いは、次第に薄れてしまったのです。
ところが、つい先日、立ち蕎麦チェーンの『ゆで太郎』の前を通った時、ふと目が釘付けになりました。なんと、蕎麦屋なのに「中華そば」(390円)があるんです。そして、当然ながら、立ち蕎麦の定番トッピング「コロッケ」(70円)があることも確認。立ち蕎麦屋で「ラーメン+コロッケ」。こういう手があったんですね。


人は、思いがけない発見をすると、一瞬うろたえがちです。スッと入って中華そばとコロッケを頼むだけなのに、一年間温め続けてきた夢だけあって、『ゆで太郎』の敷居がとても高く感じます。しかも、筆者は『ゆで太郎』に入るのも初めて。もちろん、立ち蕎麦のラーメンを食べるのも初。
意味もなく、『ゆで太郎』の周りを少々ぶらついてから、意を決して入店しました。
店内には、『ゆで太郎』創業者の美味しいお蕎麦へのこだわりが書かれたパネルがでっかく貼られていました。

挽き立て、打ち立て、茹でたて。
券売機で、「中華そば」(390円)のボタンと、トッピングの「単品 コロッケ・たっぷり薬味ねぎ」(70円)と書かれたボタンをポチっと押し、目立たないようにレーンに並びました。

蕎麦作りの職人とおぼしき人に食券を渡すと、
ゆで太郎職人:「中華そばですね?」
と確認されました。「うちはれっきとした立ち蕎麦屋だけど、本当に中華そばでいいのかね?」というふうに脳内変換されてしまいます。さらに「コロッケにしますか? ネギにしますか?」という質問も。トッピングはどちらか1つを選ばなければならないようです。もちろん、
筆者:「コロッケを」
蕎麦職人の顔が、少し曇ったように見えました。「中華そばにコロッケはないだろ…」という訝しさなのかもしれません。しかし、次の瞬間には、
ゆで太郎職人:「中華にコロッケ~、中華中華」
と大声で、中にオーダーを通してくれました。
登場したコロッケラーメンはいかに?

登場したのは、トレイにラーメンとコロッケが分かれて置かれていました。

そして、いざコロッケを投入。サクサクだったコロッケは、中華そばの醤油スープをどんどん吸い込み、ふやけていきます。これです、これがやりたかったんです。中華そばの方は、スープに衣の油がどんどん移っていきます。

あっさりした中華そばが、コロッケの脂によって、コクが増し、まろやかになる。そして、くたくたになったコロッケのジャガイモが、スープに溶け込んでいって、まさしく「コロッケラーメン」の山場を迎えました。

この味、非常に表現しにくいんですが、中華味のグラタンを食べているような感じなんですよ。そして何といっても嬉しいのは、ラーメンだけにメンマやチャーシューも入っていて豪華なこと。こんな些細なことでも、幸せな気分になれるのが「コロッケラーメン」の醍醐味。
ちなみに、うちの近所の『富士そば』や『小諸そば』では、ラーメンや中華そばはないので「コロッケラーメン」はできません。
我ながら、年末に念願の「コロッケラーメン」を達成できたことで、自信がつきました。みなさんも、やり残したことありませんか? どんな小さなことでも残り少ない2018年にぜひ挑戦してみてください。
(取材・文◎土原亜子)