福岡名物といえば辛子明太子。最近では大手メーカーのものなら福岡以外のエリアでも気軽に買えるようになりましたが、福岡ローカルな辛子明太子のメーカーもたくさんあるんです。

 せっかく福岡に来たんだし、お土産に辛子明太子を買おうと福岡空港内のお店を覗いてみたものの、どれを選べばいいのかわからない……。そんな悩みを解決するべく、福岡ローカルなメーカー6社の辛子明太子を食べ比べてみました。

「稚加榮」の辛子明太子は料亭らしい上品な味わい

 福岡出身の人にオススメを聞くと必ず出てくるのが、「稚加榮(ちかえ)」の辛子明太子。稚加榮はもともと料亭を営んでおり、たらこ、お酒、鰹節、唐辛子にこだわった辛子明太子作りを行っています。

全部同じじゃないんです! 空港で買える福岡ローカルな「辛子明太子」6種類を食べ比べてみた

 海外産のたらこを使うメーカーが多いなか、こちらは北海道産のたらこを使用。新鮮なうちに稚加榮独自の塩加減で漬け込んでから福岡に運ぶそうです。

全部同じじゃないんです! 空港で買える福岡ローカルな「辛子明太子」6種類を食べ比べてみた

 ひと口食べたときにだしの味がしっかり感じられて、非常に上品な印象を受けます。辛さは控えめなので、普段は辛子明太子が苦手な人でも食べやすいでしょう。

「博多せきわ」はワインと柚子胡椒を使用

「博多せきわ」は、福岡市内で「能古うどん」を展開するせきわ物産が製造販売する辛子明太子。能古うどんの店舗ではうどんメニューにも同社の辛子明太子が出てくるそうです。

全部同じじゃないんです! 空港で買える福岡ローカルな「辛子明太子」6種類を食べ比べてみた

 一見すると普通の辛子明太子となんら変わりないのですが、ひと口食べてみると味わいはまったく異なります。せきわの辛子明太子は、オリジナルのつけダレが特徴的。

 なんと、柚子胡椒と南仏産白ワインを隠し味に加えているんです。柚子胡椒で少しピリッとしながらも、白ワインのおかげで少しまろやかな口当たりとなっています。

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 唐辛子よりも柚子胡椒を強く感じるので、お酒のアテにも間違いなくぴったりなはず。一度食べると忘れられない辛子明太子になるでしょう。

バランス重視なら久原本家が営む「椒房庵」の辛子明太子

「茅乃舎だし」など和風調味料で有名な久原本家が営む「椒房庵(しょぼうあん)」は、辛子明太子やモツ鍋、水炊きなどの博多ならではのグルメを届けるブランドです。すでに調味料に定評あるメーカーなので、購入時に安心感があるはず。

全部同じじゃないんです! 空港で買える福岡ローカルな「辛子明太子」6種類を食べ比べてみた

 つけダレには、米発酵調味料、鰹節エキス、昆布エキス、魚醤など、旨みが出やすい調味料をいろいろと使っているようです。実際、食べてみたときにあまり辛さは感じず、塩気が少し強めな印象を受けました。

全部同じじゃないんです! 空港で買える福岡ローカルな「辛子明太子」6種類を食べ比べてみた

 全体的なバランスが良く、これはまさに万人受けする辛子明太子。福岡県内でしか販売されていないのがもったいないレベルです。

「五口福」の辛子明太子は甘いのに辛い不思議な味わい

 和モダンなパッケージが目を引く「五口福」の辛子明太子。福岡の工場で漬け込まれるこちらの明太子は、ほとんどが女性たちによる細やかな手作業で作られているそうです。

全部同じじゃないんです! 空港で買える福岡ローカルな「辛子明太子」6種類を食べ比べてみた

 つけダレはだしを重視しており、長崎産の焼きあご、枕崎産の鰹節、宮崎県産の椎茸、鹿児島県産枯れ鰹節、北海道産の日高昆布を使用しています。実際に食べると、だしの味わいがわかると同時に甘みも感じます。今回食べたなかでは一番甘い辛子明太子です。

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 とはいえ、甘みと同時に辛さも来るので、なんだか不思議な気持ちになります。

甘さと辛さのバランスは絶妙で、どちらかが目立ちすぎることはありません。

辛さ重視なら「楢崎」の辛子明太子がおすすめ

 辛子明太子はできるだけ辛いほうがいい。そんな人におすすめなのが、「楢崎」の辛子明太子です。昭和25年創業の老舗の海鮮物問屋で、昔ながらのシンプルな味付けとなっています。

全部同じじゃないんです! 空港で買える福岡ローカルな「辛子明太子」6種類を食べ比べてみた

 つけダレには清酒、唐辛子など至ってベーシックなものしか使っていないのですが、実際に食べてみると他のメーカーのものより少し辛さを感じます。

全部同じじゃないんです! 空港で買える福岡ローカルな「辛子明太子」6種類を食べ比べてみた

 さらに、楢崎の明太子には別添えでスパイスが入っていました。これもなかなか個性的ですね。

全部同じじゃないんです! 空港で買える福岡ローカルな「辛子明太子」6種類を食べ比べてみた

 今回はオーソドックスな明太子を選びましたが、実は楢崎は「青唐辛子明太子」が有名。こちらも合わせて買ってみるといいでしょう。

昆布の風味をしっかり感じる「西昆」の辛子明太子

「西昆」は、昆布をはじめとする海鮮物問屋。同社の代表は昆布博士という異名を持つほど、昆布に関する知識があるそうです。そんな西昆の辛子明太子は、化学調味料や保存料、着色料などの添加物をできるだけ使わないよう心がけているそうです。

全部同じじゃないんです! 空港で買える福岡ローカルな「辛子明太子」6種類を食べ比べてみた

 この辛子明太子には昆布が使われており、食べたときにきちんと昆布の風味がわかります。

また、甘みが強く、辛さはほとんど感じません。

全部同じじゃないんです! 空港で買える福岡ローカルな「辛子明太子」6種類を食べ比べてみた

 なかなか漬け込みに昆布を使った辛子明太子は食べる機会がないはず。まさに福岡ならではの辛子明太子といえるでしょう。

全部同じじゃないんです! 空港で買える福岡ローカルな「辛子明太子」6種類を食べ比べてみた

 辛子明太子にここまで味の違いがあるというのには、筆者自身も非常に驚かされました。みなさんも福岡を訪れる際には、福岡ならではの辛子明太子を買って食べ比べてみてください。

●著者プロフィール

今西絢美

編集プロダクション「ゴーズ」所属。デジタル製品やアプリなどIT関係の記事を執筆するかたわら、“おいしいものナビゲーター”として食にまつわる記事も執筆中。旅先でその土地ならではのローカルフードを探すのが好き。

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