「旅先で旨いものが食べたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。そこでB級グルメに精通する現役運転手・荒川治さんにイチオシのお店に案内してもらいました。

 人にはそれぞれ、ついテンションが上がってしまう食べ物がありますよね。焼肉やステーキ、からあげ、はたまたラーメンなど。私にとって、それは豚肉全般のメニューなのですが、中でもナンバー1は「とんかつ定食」です。

「とんかつ、キャベツ、ごはんに味噌汁、漬物」のたった5アイテムですが、その一つひとつが丁寧に作られた「とんかつ定食」をいただくと、ものすごくハイテンションになる自分がいます。とんかつ好きなら、みんなそうなんじゃないでしょうか?

 そして今回、ご案内したいのは、まさに理想の「とんかつ定食」を出してくれる東京・人形町にあるとんかつ専門店『富士喜』さんです。

旨い店はタクシー運転手に訊け! 人形町『富士喜』の絶品すぎる「骨付とんかつ」を食べ続ける理由

 ここの名物は「天下無双 骨つきのとんかつ」。箸ではなく骨を持ってかぶりつくとんかつなんて見たことあります?

旨い店はタクシー運転手に訊け! 人形町『富士喜』の絶品すぎる「骨付とんかつ」を食べ続ける理由

 そもそも『富士喜』さんを知ったのは、インターネットでこの「骨付とんかつ」を見たのがきっかけです。

 私の場合、旨い店探しはいつもそうなのですが、ネットの画像で惹かれたら実際に店に行き、食べてみて「旨い」と思ったら2ヶ月くらいストーカーのように通います。その間に食べ飽きず、ブレも少なく、なおかつ新鮮な発見があると、大好きな店になってしまうんです。

『富士喜』さんに訪店したのは半年ほど前です。

 実際にその「骨付とんかつ」を目の前にすると、横幅20cm、厚さ2cmはあろうかと思える巨大さ。かぶりつくと、衣がサクサクと音をたて、豚肉はふんわりと柔らかく、口中で肉汁がジュワッとあふれ出て、濃厚な肉の旨味、脂の甘みを感じます。

旨い店はタクシー運転手に訊け! 人形町『富士喜』の絶品すぎる「骨付とんかつ」を食べ続ける理由

 キャベツも新鮮でシャキシャキしていて、ご飯も炊き立てツヤツヤのコシヒカリ。さらにお新香も手作りで、塩気が強すぎずポリポリ感が絶妙なんです。味噌汁も丁寧に出汁をとっているのがわかります。ほぼパーフェクトなとんかつ定食です。

 こうして、人形町に通う日々が始まったんです。というわけで、実際にぜひみなさんに食べていただきたい絶品とんかつメニューをご紹介しましょう。

極厚ローストンカツも絶品だった!

旨い店はタクシー運転手に訊け! 人形町『富士喜』の絶品すぎる「骨付とんかつ」を食べ続ける理由

 最初のうちは、「骨付とんかつ定食」(1,680円)を食べ続けていたんですが、実は気になるメニューが他にもあったんです。

『富士喜』さんでは、岩手県産の「岩中豚」、三重県産の「愛農ナチュラルポーク」、茨城県産の「瑞穂いも豚」という、3種類の豚肉を使用しています。それぞれロースやヒレ、リブロースなどからとんかつメニューが選べたり、また2種類や3種類を食べ比べる定食もあるのが特徴です。

 とりわけ私が気になったのは、「極厚切りロース」(3,200円)。通称“極厚”と呼ばれているメニューで、常連さんらしき人たちがよく注文していました。ただ、私にとっては少々値が張るので、次の給料日に食べようと思っていたんです。

 そしてその日が来ました。

 注文して約20分弱。登場した岩中豚の「極厚切りロース」は思わず「おお!」と言いたくなる、名前通りの極厚でした。切り口は厚さ約3cmほどあり、赤ちゃんのほっぺたのような薄ピンク色、繊維のきめ細かさもよくわかります。

 お店の方におススメの食べ方を聞くと、「まずは塩と胡椒で食べてみてください」とのこと。

旨い店はタクシー運転手に訊け! 人形町『富士喜』の絶品すぎる「骨付とんかつ」を食べ続ける理由

 いただくと、脂の旨みがものすごく強く、まるで水のようにサラリとした脂なんです。

 とんかつであることに間違いないのですが、極上の豚のステーキを食べているかのような気持ちになります。さらに、この分厚さになると、パン粉の美味しさがいっそう際立ちます。肉に対して非常に薄付きで、パン粉自体もきめ細かで香りがよく、サクサクとした食感が、肉の柔らかさ、ジューシーさを引き立ててくれています。

 お店の方によると、パン粉は天然酵母のパンを使い、オーブンで焼いた特注のものを使用しているそう。大食いの私でも、この“極厚”をいただくと、かなりの満足感がありました。

 次の給料日には、三重県産の「愛農ナチュラルポーク」の「極厚切りロース」(3,200円)を食べてみようと思っています。

なんでも三重県の愛農高校の生徒が育てている豚肉だそうで、いま、豚肉界でかなり評判の銘柄豚なんだそうです。しかし、1回の仕入れで3kgしか入ってこないそうで、あっという間に売り切れてしまうそう。

 みなさんも“愛農の極厚とんかつ”を狙ってみて下さい。

(取材・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

旨い店はタクシー運転手に訊け! 人形町『富士喜』の絶品すぎる「骨付とんかつ」を食べ続ける理由

店名:富士喜(ふじき)

住:東京都中央区日本橋人形町1-5-14
TEL:03-6667-0559
営:ランチ11:30~15:30(L.O.15:00)
  ディナー月~金17:00~22:00(L.O.21:30)
  土日祝17:00~21:30(L.O.21:00)
休:無休

●プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。

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