ウイスキーブームが冷めやらぬ昨今。季節を問わず楽しめるお酒として、ますます人気が高まっています。

ブームの立役者のひとつは、ご存知、2014年のNHK朝の連続テレビ小説で放送され、注目を浴びたドラマ「マッサン」。国産ウイスキーの生みの親、竹鶴政孝氏の人生が描かれています。

 竹鶴氏が産み出した「ニッカウヰスキー」では、じつは北海道・余市蒸溜所と仙台・宮城峡蒸溜所の2か所で工場見学を毎日開催しているんです。

 マッサン人気も相まって、余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所の年間来場者数の合計は、なんと120万人! 今回はそのひとつである「ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所」へ、大人の工場見学に行ってきました。なぜこんなにも、こちらの工場見学が人気なのか、その秘密を探ってきました。

年間23万人が訪れる! 『ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所』に大人の工場見学に行ってきた

豊かな自然に囲まれた宮城峡蒸溜所

仙台駅から車で40分、ふたつの清流に恵まれた緑豊かな宮城峡蒸溜所。冬季(12月~3月)以外の土日祝には、JR作並駅からシャトルバスも運行しています。また、周辺には広瀬川に湧く名泉でこけしの里「作並温泉」や、大きな厚揚げで人気の「定義」にも近く、ドライブや散策が楽しめるスポットが充実。 「ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所」を中心に周辺観光をプラスすれば、このエリアで1日遊べるスポットなんです

 日本人に本物のウイスキーを飲んでもらいたい、との思いで、北海道・余市に蒸溜所を建てた竹鶴氏は、「異なる蒸溜所で生まれた複数の原酒をブレンドすることで、ウイスキーはより味わい深く豊かになる」という信念のもと、第二の蒸溜所にふさわしい場所を全国で探したそうです。

 たどり着いたのは、宮城県の広瀬川と新川川(にっかわがわ)が合流する森の中。清流の水でブラックニッカを割って飲んでみると、実に美味しい。加えて、竹鶴氏がウイスキー作りを学んだ地、スコットランドのローランドと似た気候や風土も、宮城峡を選んだ理由だったんだそう。

 宮城峡蒸溜所を実際に訪れてみると、豊かな緑の中に、歴史を感じる素敵なレンガ造りの建物群が悠然と並びます。

建物だけを見ているだけでも素敵な街を観光しているような気分でワクワクが止まりません。では早速、工場見学スタート!

年間23万人が訪れる! 『ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所』に大人の工場見学に行ってきた

蒸溜棟やキルン塔、約40分の蒸溜所めぐり

「ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所」に着いたら、まずはビジターセンターで受け付け。人気施設なので連休などは待ち時間もありますが、ここにはその時間も楽しい施設がたくさんあるんです。まずはエントランスホールでは、竹鶴氏が実際に使用したポットスチルやウイスキー作りの展示があり、じっくり製造過程を学べます。また、敷地内にはショップや有料試飲のコーナー、写真映えしそうな場所もたくさん。見学ツアーにはガイドさんが付き、ウイスキーの製造工程を丁寧に教えてくれます。見学の後はお目当ての3種類のウイスキー試飲タイム! 早く飲みたい気持ちを抑えて、工場見学開始です。

10:00 乾燥塔(キルン塔)

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 まずは原料を乾燥させる、乾燥塔へ。ウイスキーのスモーキーなフレーバーをつけるため、大麦麦芽を燻して乾燥させる施設です。このレンガの建物はキルン塔と呼ばれ、「パコダ屋根」という特徴的な建物で、蒸溜所のシンボル的存在です。

10:05 蒸溜塔

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 宮城峡蒸溜所の顔とも言うべき、歴史を感じるレンガ造りのキルン塔の並びにある蒸溜塔へ到着。この建物に入ると、甘い香りが立ち込めていて、その香りの良さに気持ちも高まります。

 この香りの正体は、糖化された大麦麦芽を蒸溜させた匂い。大麦麦芽というとビールを連想する人が多いと思いますが、ウイスキーの原料も同じなのです。ここでは、モルトウイスキーを作っていて、大きな蒸留釜が並んでいます。

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 いちばん手前の建物が蒸溜塔。こちらは中へは入れず、外からの見学になります。カフェ式連続式蒸溜機という、ポットスチルとはまた違った作り方で、トウモロコシを原料としたグレーンウイスキーが作られています。

10:25 貯蔵庫

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 生まれたての原酒は、樽に詰められて貯蔵庫で熟成されます。この時に使われる樽によって、味や香りに変化が出るわけです。例えば、シェリー酒の貯蔵に使われた樽を使用すると、濃密で甘い熟成香を感じる仕上がりに、バーボン樽で熟成されるとスパイシーな味わいに、というふうに、それぞれのウイスキーに適した樽で熟成させていきます。種類にもよりますが、熟成期間は数年から長いもので数十年。なかには50年ものなんていうレア物も。こうして繊細な貯蔵の準備を施し、ゆっくりと樽の中で熟成させることで、香り高いウイスキーが生まれるんですね。

10:35 試飲

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 というわけで、工場の外と中から、4か所を巡ってきました。ウイスキーができるまでの製造過程を学んだら、いよいよお待ちかねの試飲会場へ。ここでは3種類のウイスキーが試飲できます。

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 この日の試飲ウイスキーは3種類。華やかでフルーティーな香りが楽しめるシングルモルト「宮城峡」、竹鶴氏が亡き妻リタに愛と感謝を込めて作ったという渾身のブレンデッドウイスキー「スーパーニッカ」、昭和13年の発売から愛され続け、リンゴのワインにリンゴブランデーを加えた「ニッカアップルワイン」です。

実際に飲んでみると、それぞれまったく異なる味わいに驚かされます。製造工程を学んだ後ということもあり、試飲者同士で「これは樽が違うのかな?」なんて会話も弾みます。

宮城峡蒸溜所の限定みやげにも注目

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 工場見学は試飲も含めて約40分で終了。この後は併設されたショップへ行ってみましょう。こちらでは宮城峡蒸溜所のオリジナル商品コーナーがあって、ここでしか買えないプレミアムな商品がずらりと並びます。お土産にぴったりなシングルモルトの「宮城峡」のミニボトル2本セットや、「宮城峡」をシェリー酒樽で熟成させたシェリー&スイートなど、ほかでは手に入らないものも多いので、必見です。

設立50周年を記念したプレミアムなウイスキーも登場

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 さらに今年は、「ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所」設立50年というミレニアムイヤー。記念として、宮城峡醸造所で初めてつくられた50年物のウイスキーの原酒を一部使用の「シングルモルト宮城峡 リミテッドエディション2019」と、同様に余市蒸留所で作られた「シングルモルト余市 リミテッドエディション2019」も3月12日(火)に販売。風格と華やかさを感じられるプレミアムなウイスキーです。

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 ウイスキーの製造見学や試飲もできて、楽しく学べた40分。宮城峡蒸溜所ではほかにも有料で参加できる「宮城峡ウイスキーテイスティングセミナー」もあります。このセミナーでは通常の工場見学に加え、宮城峡蒸溜所で作られた5種類のウイスキーのテイスティングができ、さらに講師の解説が付きます。

 しかし何と言ってもこの工場見学は、レンガの工場群と自然が織りなす素晴らしい環境で、そこにいるだけでも楽しめるのが魅力。

オートメーション化されたガラス越しの工場では、ほとんど香りを感じることはできませんが、こちらでは製造過程の香りまで楽しめるんです。見て、感じて、味わえる“大人の工場見学”。本当にオススメです。GWにぜひ行ってみては?

●DATA

「ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所」

住:宮城県仙台市青葉区ニッカ1番地
TEL:022-395-2865(宮城峡蒸溜所ご案内係)
営:9:00~16:30(休業日を除く)
休:8月23日(金)、12月24日(火)~2020年1月7日(火)

・東京からのアクセス
車/所要時間 東北自動車道・仙台宮城ICより国道48号線を山形方面へ約25分。
無料シャトルバス/JR作並駅から宮城峡蒸溜所行きのシャトルバスを運行(往復)。【片道所要時間約7分】 運行日:2019年1月8日~2019年12月23日までの土曜日・日曜日・祝日
電車/JR仙台駅からJR仙山線作並駅まで約30分
バス/仙台駅前より市営バス作並温泉行き「ニッカ橋」下車(所要時間約60分)

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