「炊きたての銀シャリは、いつだって最高」と誰もが言います。
確かにその通り。
そこで、ごはんの魅力を再発見すべく、“旨い銀シャリ”を看板メニューにし、お米に合う最高の料理を供する東京のお店を3店ご紹介します。
おこん(代々木上原)

前菜も〆も炊きたてのごはん
代々木上原の閑静な高級住宅街の一角に店を構える『おこん』。ここでは、お米・食味鑑定士の資格を持つ店主・小柳津大介(おやいづ・だいすけ)さんによるコース料理が供されるお店。
それは前菜から衝撃的。いきなり炊きたての土鍋ごはんが登場するんです。取材した日は、山形の青木功樹さんが作る「ミルキークイーン」と、福井の「いちほまれ」の2種類。
前者は、錦糸町の『玄米耕房かめた』で薄皮一枚残して旨味や甘味を表現する精米法。後者は、静岡県沼津『長谷川多作商店』で、粒を2.5ミリに揃えて、口どけを重視しています。まるで違う料理を食べているように印象が違うお米。

「同じお米でも精米で全然味が変わるんです」という小柳津さん。
●SHOP INFO

店名:おこん
住:東京都渋谷区西原2-48-2
TEL:03-3469-5004
営:18:00~23:30LO、土曜、日曜、祝日は予約に限り15:00~22:00LO
休:火
・・・・・・・
米ル(恵比寿)

自家製米の土鍋ごはんがメインディッシュ
目立つ看板もない恵比寿の路地に、突然、地下につながる階段が現れます。その下に広がる空間が『米ル』です。人気の焼鳥屋『中目黒いぐち』が、お米をコンセプトに出した和食店。
品書きはおまかせコースのみで、そのメインディッシュとして供されるのが、精米したて&炊きたての自慢の「土鍋ごはん」です。月替りで5種類のお米が用意されており、注文時に好みで選べます。ごはんが炊き上がるまでの間、お酒とお造りや茶碗蒸しなどを楽しんでいると、途中で「煮花(にえばな)」という椀が登場。蓋を開けると藁のような稲のような香りがふわりと漂います。

「これは、お米からごはんへ変わる炊き上がり直前の一瞬の状態なんです。お米ごとに独自の風味があり、それをまず楽しんで欲しい」と料理長の井上智博さん。
そして、いよいよ土鍋ごはんと焼き魚、さらに、ごはんのお供6品が並ぶ至福の時。井上さんの腕が光る料理は、主役のごはんを引き立てる、いぶし銀の名脇役ばかり。ポーションは小さ目でも、繊細な味で舌も心も満たされる料理ばかりです。
●SHOP INFO

店名:米ル
住:東京都渋谷区恵比寿西1-16-7 HAGIWARA BLDG.7 B1F
TEL:03-6416-9637
営:17:00~24:00
休:無休
・・・・・・・
AKOMEYA厨房(銀座)

銀シャリLOVERのワンダーランド
「一杯の炊きたてごはん」。その至福の時をテーマに、日本のお米、食材、調味料、雑貨などを提案するライフスタイルショップがこちら。銀座本店1階には厨房を併設しており、全国から厳選したお米を、御膳としていただけます。「5合炊きの土鍋5台を使い、常に炊きたてのごはんを用意しています」と店長の稲本智子さん。

特に人気なのは、昼の「季節の小鉢膳」。この日は、千葉県全体の2%しか生産されていないというコシヒカリ「多古米」。その希少なごはんを8種類の小鉢たちが引き立てます。例えば京小芋にかかった鶏そぼろの味噌、鰆の炙りの生七味醤油、おひたしに使われる塩ポン酢……。これらの食材や調味料の一部は、ショップで購入することができます。
ゆえに、食後は、米販売コーナーに立ち寄るのがオススメ。好みの分づきで加減精米をしてくれるうえ、お米に合った炊き方も紹介してくれます。さらに店内の出汁や調味料についてもスタッフが味を熟知し、話しているだけでも楽しくなる、まさにお米好きの楽園です。
●SHOP INFO

店名:AKOMEYA厨房
住:東京都中央区銀座2-2-6
TEL:050-3134-5256
営:ランチ11:30~14:00、お茶14:00~17:30(16:30LO)、ディナー17:30~22:00(フード21:00、ドリンク21:30LO)
休:不定休
(文◎土原亜子 撮影◎貝塚 隆)
※当記事は『食楽』2018年冬号の記事を再構成したものです