「旅先で旨いものが食べたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。そこでB級グルメに精通する現役運転手・荒川治さんにイチオシのお店へ案内してもらいました。
焼きそば好きなら知っている人も多いと思いますが、私が大好きな焼きそば専門店は『両面焼きそば あぺたいと』。都内を中心に全8店あります。食べたことがないという人にはぜひ行ってみてほしいので、ご紹介したいと思います。
“両面焼きそば”と聞くと、横浜中華街の名店『梅蘭』の名物焼きそばのように、麺を平らに両面焼いたスタイルを想像するかもしれません。が、『あぺたいと』のは違います。
高島平本店では、厨房で作っている様子を見ることができるのでその手順を説明すると、まず、自家製の生麺を大鍋で茹でます。
それから鉄板でそばを焼いていきます。このときに、麺を平らにして、真ん中に豚コマ肉を置き、両面焼きにします。
その後、平らな焼きそばの下にもやしなどの野菜を入れて、蒸し焼きにした後、特製のソースをかけ、ヘラで優しくかき混ぜてできあがり。言葉にすると簡単に感じるかもしれませんが、このテクニックが独特でスゴいんです。
出来上がりは、一見すると普通の焼きそばのようですが、食べてみると全然違うことがわかります。
麺はカリカリ、パリパリの部分と、つるんとしている部分があり、特製ソースが絶妙に絡んでいます。
さらに、モヤシはシャキシャキとしているのに、ソースの味がしっかり入っています。私はべちゃっとした“蒸し系”の焼きそばが苦手なので、この焼きそばの食感、味わいはまさに理想の焼きそばです。
謎多き美味しさの理由
さて、なぜ、『あぺたいと』の焼きそばが“両面焼き”なのかというと、創業者の飯野雅司さんが、大分県日田市のご当地グルメ「日田焼きそば」発祥の『想夫恋』の焼きそばに惹かれ、東京に広めようと修業したからなんだそうです。そして、1988年に、東京の板橋区高島平(現在の本店)に「両面焼きそば」と銘打って開業したのです。
最初はなかなか浸透しなかったそうですが、オープンして12年後くらいから口コミで人気が出てきて、さらにテレビで取り上げられてブレイク、行列店になったというわけ。
私は、本店の高島平店や板橋店によく伺います。本店の店長・前田淳一さんとお話しする機会があり、美味しさの秘密について聞くと、実に“謎”が多いことがわかりました。前田さんは「ちょっとオカルトっぽいんですよね」と表現していましたが、まとめると主に3つ。
◆謎1:秘伝すぎるレシピ
「自家製の生麺と特製ソースは、本店の近くにある社長宅の1階に専用の場所があり、そこで作っているんですが、その作り方は門外不出のレシピ。僕ら従業員も絶対に教えてもらえません。隠すように作っているんです(笑)」(前田店長、以下同)
◆謎2:“麺茹で”が大事
「両面焼きで有名ですが、実は作り方で大事なのは麺を茹でること。
◆謎3:なるべく触らない
「また、混ぜる時も、社長は触るな、触るなと言います。つまり、ヘラでなるべく触らないようにして混ぜるんです。これも、謎のテクニックですが、そうすることで、絶妙な食感と味が生まれるんです」
といった具合。決して真似ができない職人芸ですね。『あぺたいと』だけの至極の美味しい両面焼きそばを、ぜひ、食べに行ってみてください。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO
店名:両面焼きそば あぺたいと 本店高島平店
住:東京都板橋区高島平7-12-8
TEL:03-3938-6302
営:11:00~15:00、17:00~23:00
土11:00~23:00
日祝11:00~22:00
休:月(祝の場合は翌日)
●プロフィール
荒川治
東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。









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