突然ですが、筆者は韓国ノワール系の映画が好きです。残虐なシーンが多くて苦手な人も多いかもしれませんが、妙に味わい深くて爽快で、毎週のように観ています。
イケメンばかり出てくる邦画と違い、韓国映画に登場するのは汗臭そうなおっさんがほとんどなのですが、そんな男たちがしょっちゅう汁なしのカップ麺をズルズルと行儀悪くすすりまくります。特に美味しそうな顔もせず、淡々と口に運んでいるだけなのですが、観ていると、不思議とものすごく食べたくなるのです。
そんなわけで、韓国のインスタント麺事情をウェブで調べていたら、「世界ラーメン協会(WINA)」なるサイトを発見しました。なんと日本の団体で、世界のインスタントラーメン産業の健全な発展を目的に日夜活動しているそうです。その団体が調査した世界各国のインスタントラーメン消費量(2018年)によると、韓国は1人あたり年間平均消費量がぶっちぎりで世界1位。1年に、1人あたり平均74.6食も食べています。
確かに、韓国のインスタント麺といえば「辛ラーメン」を筆頭に、かなりハイレベルなものが多い気がしますよね。さらに調べていくと、韓国の若者に絶大な人気を誇っているのが、「プルダックポックンミョン」という汁なし激辛インスタント麺だということがわかりました。知ってました?

このインスタント麺、鶏肉を使用した激辛料理「火鶏(プルダック)」をモチーフにしており、 “汁のない激辛ラーメンに火鶏の辛さを” というコンセプトのもと開発されたカップ麺や袋麺の激辛シリーズ。ちなみに発売元は、韓国の老舗インスタント食品メーカー「三養食品」です。

日本では「ドン・キホーテ」などで売っていますが、かなり種類がたくさんあるようだったので、ネットで取り寄せてみることにしました。
辛すぎるけどやみつきになる麺

まずはスタンダードな激辛味を試すべく、カップ麺から作ってみました。フタを開けると、かやくと激辛ソースが付属しています。湯切り口などはないので、慎重にお湯を切ります。シンクに麺をぶちまけないよう注意。麺とお湯をザルにこぼしてカップに戻したほうが早いかもしれません。

麺と調味料を絡めると、激辛味というだけあって、見た目も真っ赤。いかにも辛そうです。麺はやや太めでもっちり。恐る恐る食べてみると、あれ? 正直言ってあまり辛くありません。「むしろ甘辛じゃないか」と調子に乗って韓国映画のようにズルズルとすすっていたら、1/3も食べないうちにじわじわと辛くなってきました。

さらに食べ進むと、容赦のない辛さが襲ってきました。
残ったのは、血みどろのような麺1/2と、床に散らばった未開封の袋麺たち。韓国映画によく出てくるシリアルキラーが死体を処理する時のように、「これ、なかったことにしようかな」と思ったほどです。

しかし、思い直してGoogleで検索しました。「激辛プルダックポックンミョンを克服する方法」です。すると、色々と先人の知恵が出てきました。この激辛麺をマイルドにするには、卵を入れる、牛乳と一緒に食べる、とろけるチーズを入れる、ごはんを投入する…等々。確かにこれなら辛さが抑えられ、美味しく食べられそうです。
しかし、そんなセコいことをせずに済む商品が、ピンク色のパッケージの「カルボプルダック麺」。

袋麺なので、鍋で麺を茹で、茹で汁を捨てて調味料を絡ませて作ります。

調味料自体がカルボナーラ味なので、そのまま食べてもマイルドらしいのですが、もう二度と口内を炎上させたくない筆者は、どこから現れるかわからない悪魔の辛さに備えて、あらかじめ粉チーズと卵を載せて食べてみました。やっぱりマイルドな味から始まりますが、次第に辛くなってきます。しかし、先ほどとは違い、辛さが一定のあたりに到達すると、クリーミーさが続いて、なんと、最後までまろやかな味で食べ終わることができました。これはイケます。

さらに調べてみたら、この「カルボプルダック麺」は、シリーズ中でも1番人気の商品だということがわかりました。韓国にも辛いものが苦手な人、いるんですね。皆さんもぜひ試してみてください。日本のインスタント麺では味わえない、異次元の辛さと旨さを体験できますよ。
(撮影・文◎土原亜子)