東京の下町風情が味わえる「浅草」。浅草寺や仲見世通り、日本最古の遊園地“花やしき”などの観光スポットのほか、さまざまなジャンルの老舗店がある魅力的なエリアです。

 今回訪れたのは、浅草で55年続く老舗喫茶『珈琲アロマ』。同じく浅草の老舗店である『ペリカン』の食パンを使った絶品トーストや、果物の甘みが濃縮された生ジュースなど、昭和から変わることのないこだわりのメニューは今でも愛され続けています。その魅力について、ご紹介しましょう。

お腹も心も満たされる、憩いの場

昭和39年創業! 浅草の老舗喫茶『アロマ』のオニオントーストが、半世紀以上愛される理由

『珈琲アロマ』の創業は昭和39年まで遡ります。「浅草には老舗店が多いけれど、うちももう結構な老舗になってきましたね」。そう話すのは、創業から変わらずマスターとしてお店を切り盛りする藤森甚一さん。令和2年を迎えた今も、昭和の味を守り続けています。

名物「オニオントースト」が絶品!

昭和39年創業! 浅草の老舗喫茶『アロマ』のオニオントーストが、半世紀以上愛される理由

 トーストメニューに使われているのは、浅草の老舗パン屋『ペリカン』の食パンです。「ペリカンの食パンはきめが細かくて、食感がいい。焼きたてのサクサク感がおいしいから、ずっとこの食パンを仕入れてるんです」(マスター・藤森さん)。トーストは、昔ながらのポップアップトースターを使い、こんがりと焼くのもこだわりです。

昭和39年創業! 浅草の老舗喫茶『アロマ』のオニオントーストが、半世紀以上愛される理由

 名物の「オニオントースト」は、創業前にマスターが通っていたという喫茶店のメニューから着想を得たもの。マヨネーズから手作りするなど自分流にアレンジしたところ、看板メニューとして定着したそうです。玉ねぎの甘みとピクルスの酸味、そしてマヨネーズのコクがたまらない一品です。

昭和39年創業! 浅草の老舗喫茶『アロマ』のオニオントーストが、半世紀以上愛される理由

 香り高さと酸味のきいた深い味わいが魅力のコーヒーは、こだわりのネルドリップ。マスター自らブレンドした『珈琲アロマ』だけの味わいが楽しめます。

 その淹れ方も独特です。ポットに布製のフィルターをかけ、勢いよくお湯を注いでいき、最後にフィルターをギューッと絞ります。「なぜ、ポットにドリップするんですか?」と聞いたところ、「冷めると味が変わってしまうから、温度を一定に保つために考えたんです」とマスター。ここのコーヒーはとにかくアツアツ! カリッと焼かれたトーストとよく合います。

ひんやり、とろり。濃厚な「生ジュース」も人気

昭和39年創業! 浅草の老舗喫茶『アロマ』のオニオントーストが、半世紀以上愛される理由

「うちはコーヒーだけでなく、生ジュースもおいしいですよ」。ということで、アンズの生ジュースもいただきました。『珈琲アロマ』の生ジュースは、たっぷりのフルーツ果汁を氷と一緒にミキサーで攪拌しています。口に入れると、とろりとした濃厚なフルーツの味わいが広がりつつ、喉ごしは爽やか! 感激する美味しさでした。これを目当てに訪れる常連客がいるのも納得です。

 生ジュースでは基本的に新鮮なフルーツが使われていますが、いただいたアンズ味にはドライのアンズを使用。これにより、アンズ本来の甘みと酸味がギュッと凝縮され、より濃厚な味わいになっています。

昭和39年創業! 浅草の老舗喫茶『アロマ』のオニオントーストが、半世紀以上愛される理由

 お店に訪れる人には、近所で働く常連客も多いそう。時折、「調子はどう?」「もう慣れた?」と、マスターが優しく声をかける場面も。中には、この店に連れて来たかったと、友人を連れて来た常連客もいました。

「マスターの人柄に惹かれていらっしゃる方も多いでしょうね」と話すと、「それはどうでしょうね」と照れ笑いするマスター。おいしい飲み物とトースト、それにマスターのつくり出すアットホームな空気感に、きっと誰もが癒やされる素敵な喫茶店でした。

(取材・文◎藤間紗花)

●SHOP INFO

昭和39年創業! 浅草の老舗喫茶『アロマ』のオニオントーストが、半世紀以上愛される理由

珈琲アロマ

住:東京都台東区浅草1-24-5
TEL:03-3841-9002
営:8:00~18:00
休:第2・4水曜、木曜

編集部おすすめ