「旅先で旨いものが食べたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。そこでB級グルメに精通する現役運転手・荒川治さんにイチオシのお店へ案内してもらいます。

 今回ご紹介するお店は、東京板橋区・西高島平にあるカレー専門店『ブラウンオニオンカレーファクトリー』です。西高島平駅といえば、都営三田線の端っこの駅。すぐそばの笹目橋を渡れば埼玉県という東京23区ギリギリの地点です。駅前にはほとんど店がなく、ひと気もなし。そんな静かな駅から徒歩2分ほどの住宅街にお店はあります。

旨い店はタクシー運転手に訊け! 東京・西高島平でカツカレーの最高傑作を発見

 平日はとても静かです。でも、週末になるとびっくりするくらい店前に行列ができます。もちろんカレー専門店ですから、みんなのお目当てはカレー。ですが、それだけではありません。毎月第1日曜日には限定で登場する「カレーラーメン」目当てに長蛇の列ができたり、祝日は「ひつまぶし」(要予約)を食べようというお客で賑わっていたり。普通のカレー専門店とは違って、ちょっと不思議なお店なのです。私はここで、じつは理想的なカツカレーを見つけてしまったのです。

美味しさてんこ盛りの絶品カツカレー

旨い店はタクシー運転手に訊け! 東京・西高島平でカツカレーの最高傑作を発見

 こちらのお店のカレーは基本的に、カレー数種類を1つのプレートで味わうスタイル。メニューを見ると種類がとても多くて迷うかもしれませんが、女性スタッフがきちんと説明してくれるので心配無用です。かいつまんで言うと、「カレー2種盛り(オリジナルカレーとキーマ)」と「カレー3種盛り(野菜のみで作ったカレー2種とキーマ)」があり、そこにカツや野菜類などの副菜が載った種類から選ぶことになります。

旨い店はタクシー運転手に訊け! 東京・西高島平でカツカレーの最高傑作を発見

 例えば「3種のカレーC」は、カレー3種に、チキンカツ、かぼちゃ、なす、ピーマン、トマト、長芋、パクチーがのっています。上の画像をご覧ください。ライスが見えないほどカレーがたっぷりと盛られ、さらに皿からはみ出す勢いの副菜たち。ちなみにカレーは野菜のみを使った2種類のカレーとキーマカレーです。

 そして、私が食べてみて、非常に理想的なカツカレーだと感動したのが、「2種類のカレー ロースかつカレー」です。

旨い店はタクシー運転手に訊け! 東京・西高島平でカツカレーの最高傑作を発見

 まずカツを見てください。分厚いロースかつで、とんかつ専門店の職人が揚げたような美しい衣。豚肉の脂身と薄ピンク色の肉のバランスもよく、衣はピタッと薄づき。しかも、カレーがかかっていないので、まずはこのカツだけを味わうことができます。

サクサクッ、じゅわ~っと、口のなかで脂が溶けて、甘い~!

旨い店はタクシー運転手に訊け! 東京・西高島平でカツカレーの最高傑作を発見

 カツだけでも100点満点なのに、カレーが2種類も付いてくるなんてすごいですよね。そのカレーがまた素晴らしい。店名である“ブラウンオニオン”、すなわちカレー作りの肝とも言えるじっくり炒めたタマネギの濃厚さと、香り高いスパイスの共演です。ひき肉がたっぷり入ったキーマカレーは、辛さの中に優しい甘みも感じます。さらに、トマト、パクチーの酸味や香りが爽やかなアクセントに。カレープレートに必ず付くまろやかなミルクスープとカレーも相性抜群です。

旨い店はタクシー運転手に訊け! 東京・西高島平でカツカレーの最高傑作を発見

 カツもカレーも最高ですが、もっとも大事なことをお伝えし忘れていました。ここのカレー、実はごはんがめちゃくちゃ美味しいんです。店長の清川直一郎さんによると、お米マイスターが選んだ最高に旨い日本米を使用して、ガスで炊いているんですって。

「料理の基本をきちんとやる。当たり前のことですが、この“きちんと”は案外難しくて、何かひとつでもきちんとやっていなかったら、美味しくないと思うんです。とくにうちはご飯が美味しいってよくお客様から言われます。

だから、ひつまぶしも大好評なんですよ」と清川さん。

 西高島平は、たしかに都心から離れていますが、わざわざ行って損がない至高のカレーライスです。ぜひお試しください。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

旨い店はタクシー運転手に訊け! 東京・西高島平でカツカレーの最高傑作を発見

店名:ブラウンオニオンカレーファクトリー

住:東京都板橋区高島平5-22-12
TEL:03-5967-1477
営:水木金土日・11:00~15:00(14:30LO)
休:月・火休 ※祝日は不定休
http://brownonion.tokyo/

●プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。

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