クラシック音楽を聴きながら、ゴージャスな時間が過ごせると評判の喫茶店『らんぶる』。昭和生まれのレトロでおいしいメニューも気になります。
『らんぶる』は9時半からオープンしているので、モーニングタイムから訪れました。伊勢丹やマルイなどのファションビルが立ち並ぶ新宿通りから1本裏に入った通り添いにあり、赤レンガのクラシカルな外観にワクワクしながらお店に入ります。

昭和時代にたくさん誕生した名曲喫茶。1950年創業の『らんぶる』は、まさにその中心的な存在で、世代を問わずコアなファンを持つ老舗。現在の店長は重光康宏さんで、その重厚たる歴史を守り続けています。
喫煙席となっている1階は20席で、一見こじんまりした喫茶店に思えますが、地下へ降りると、外からはイメージできないほど大きなフロアが出現! 赤いビロードのソファーや大きなシャンデリアにも目を奪われます。まるで昭和時代へタイムスリップしたような、琥珀色の世界が広がっていました。

200席あるという地下フロアは上下2つに分かれていますが、断然最下のフロアがオススメです。2つのフロアを結ぶのがこの大階段。重厚な手すりと鮮やかなレッドカーペット、そして壁には木彫りのベートーベンの肖像画が掛かり、まるで異次元の世界へ来たよう。
店内では音楽に聴き入る人や新聞や本を読む人、打ち合わせをしているビジネスマンなど、皆がそれぞれゆったりと過ごしています。
サンドイッチは具材たっぷりで食べ応え満点!

「卵とツナのサンドセット」はモーニングにはもちろん、おやつやランチにもぴったり。ビッグサイズのロールパンサンド2個にサラダとコーヒーが付きます。
コーヒーは創業から同じ珈琲豆屋によるオリジナルブレンドで、変わらない味わい。すっきりとした酸味の中に、ほどよい苦味と甘みが漂います。

「これでもか!」とこぼれんばかりにサンドされたフィリングは、クリーミーな卵としっとりなめらかなツナ。どちらもパンに負けないほどの存在感を放っています。
大きめのロールパンは軽くトーストされていて、かぶりつくと外がカリッ、中はふわふわ。素朴な味わいながら、具とのハーモニーは絶妙です。何気なく添えられたキャベツのサラダも美味しい。程よい酸味のフレンチドレッシングが、シャキシャキのキャベツの旨さを引き立てています。
ビターでちょっぴり妖艶な「コーヒーゼリー」

昭和時代から引き継がれたレトロスイーツも、別腹で食べたくなります。チョコレートパフェやケーキなど悩むところですが、ここは前から気になっていた「コーヒーゼリー」をチョイス。
ゼリーは深煎りコーヒーの味そのまま! ネルドリップで淹れたこだわりアイスコーヒーを一晩寝かせて作っているそうで、ほろ苦くて弾力もしっかり。お好みでガムシロップをかけていただきます。
バニラビーンズたっぷりのアイスクリームは、新宿の老舗アイスクリーム屋さんの手づくりで、風味豊か。クリームソーダやコーヒーフロート、チョコレートパフェにも使われているそうです。

ケーキ狙いのファンも多いそうで、その味わいに興味津々。この日は思ったよりボリューミーなサンドイッチに、ケーキまでたどり着けなかったのが残念です。
そこで、ショーケースをチラッと見にいってみました。ショートケーキやモンブランなど、艶々したホイルをまとったケーキは、色っぽさはありませんが、サイズが大きめで食べ応えがありそう。一番人気は素朴な味わいの「アーモンドミルクのケーキ」だそう。次回はぜひ、味わってみたいですね。

お会計もクラシカルなカウンターで。
『らんぶる』は、新宿という街で歴史を重ねてきた名店ならではの迫力があります。おいしいコーヒーやフードメニューとともに、至福のひとときを過ごしてみませんか。若かりし頃に通った人は、あの頃の甘酸っぱい思い出が蘇ってくるかもしれません。
(取材・文◎大山ユミ)
●SHOP INFO

店名:名曲・珈琲 新宿らんぶる
住:東京都新宿区新宿3-31-3
TEL:03-3352-3361
営:9:30-23:00(L.O.22:30)
休:無し