新型コロナウイルスが猛威を奮っている昨今。春だというのに、外出自粛やテレワークなどで、どこか寒々しい空気を引きずって気が滅入っている人も多いのではないでしょうか。
というわけで今回は、日本唐揚協会認定カラアゲニストとして日夜からあげを食べ歩き、雑誌やテレビなどでも活躍する松本壮平さんに、美味しいからあげを家で楽しめる、テイクアウトにこだわったからあげの名店を紹介してもらいます。
『中津からあげ専門店 吉吾』の「吉吾セット」|駒込

駒込の『中津からあげ専門店 吉吾』はからあげグランプリ入賞常連店であり、オーナーはからあげの聖地・中津の出身。
イチオシは元祖からあげ。にんにく入りで、中津の醤油を使っています。肉を柔らかくする成分を含むリンゴのほか、10種類以上のスパイスなどを入れた特製のタレに半日漬け込んでいるのがポイント。たしかに肉が柔らかく、カリッとした衣とのバランスが非常にいい。にんにくなしは、しょうがの風味が際立ち、とても爽やかな味わいです。飲み込んだあとも、口中からのど元に風味が残って、しばらく余韻を楽しめます。
砂肝とやげん軟骨のからあげもオススメ。砂肝はコリコリした食感ながらも柔らかく、すぐに飲み込むのがもったいないほどの美味しさです。やげん軟骨は一羽から一本しかとれない希少部位。コリッ、カリッ! とした食感で、ビールと一緒に食べたくなる味わいですよ。
●SHOP INFO
店名:中津からあげ専門店 吉吾
住:東京都豊島区駒込2-14-8
TEL:03-6903-4233
営:11:00~23:00
休:無休
『元祖中津からあげ もり山』の「骨なしもも」|学芸大学

『元祖中津からあげ もり山 学芸大学店』は第10回からあげグランプリでグランドチャンピオンに輝いたお店です。からあげの聖地・中津の本店から送られてくるタレをベースに、数日かけて仕込んでいる、東京にいながら聖地の味を楽しめます。
「骨なしもも」(310円・100g)は天然塩を使用した塩ダレのほか、自家栽培のニンニクやショウガ、日本酒の他には余計な味付けをせず、肉本来の美味しさを大切にしており、オーダーが入ってから揚げてくれるので、アツアツをいただけるのも嬉しいところ。
コーンスターチを混ぜこんだ薄めの衣のすぐ向こうには弾力ある肉が、たっぷりの肉汁とともに待ちかまえています。フワフワ食感があっという間に口の中を支配してくれるので、なんとも幸せな気分に。ゆっくりと噛んでいくと、ニンニク、ショウガの爽やかな風味がのどから鼻に抜けていき、食欲がどんどんかきたてられる逸品です。
●SHOP INFO
店名:元祖中津からあげ もり山 学芸大学店
住:東京都目黒区鷹番2-8-21
TEL:03-3719-5730
営:11:00~20:00(L.O.19:30)
休:なし
『からあげ家 奥州いわい』の「室根からあげ」|秋葉原

秋葉原の『からあげ家 奥州いわい』は、岩手県銘柄鶏「奥州いわいどり」を使用した「室根からあげ・もも(いわいもも)」(450円)がオススメ。
衣は硬すぎず柔らかすぎず。噛むと口の中でサクッという音をたてます。衣を突破した歯がすぐに肉に突き刺さり、肉汁が口の中になだれ込んできます。ほのかなしょうがの香りが鼻から抜けてゆくのが小気味よく、飲み込んだあともノドのあたりにその風味が残り、余韻を楽しめます。味はわりと濃いめで、しょう油の香ばしさがたまらない美味しさです。
最大の特長は、噛んでも衣と肉が分離しないこと。ときどき噛んだ瞬間に衣が肉から離れてしまうからあげに遭遇します。
●SHOP INFO
店名:からあげ家 奥州いわい
住:東京都台東区浅草橋4-16-5染谷ビル1F
TEL:03-3865-8181
営:営業10:30~19:00(売り切れ次第終了)
休:年末年始休
『丸武商店』の「からあげ」|綾瀬

綾瀬の『丸武商店』はからあげ専門のお弁当屋さん。メニューも豊富でからあげ弁当のほか、チキン南蛮弁当、油淋鶏弁当、からあげ丼などの丼物も充実しています。持ち帰り用のからあげも、ピリ唐、味カレー、台湾、コンソメ、のりしお、熟成壷唐など、味のバリエーションがかなり豊富。また手羽先、砂肝、軟骨、皮など部位ごとのからあげも販売しているので、からあげ好きな人にはたまらないはず。
こちらのからあげは、しっかりした衣に美味しさの秘密があります。パリッと香ばしい衣は、肉汁に触れてもすぐにしんなりすることがなく、口の中でしばらくその香ばしさを楽しむことができます。
そしてここのからあげは冷めても美味しいのがポイント。購入して40分後に食べてみましたが、衣の香ばしさがまったく失われていませんでした。ご家庭でのおかずやお酒のお供にいいですね。
●SHOP INFO
店名:丸武商店
住:東京都葛飾区小菅4-21-9吉田ビル103
TEL:03-3838-2402
営:11:00~20:00(日・祝19:30まで)
休:不定休
『TikiTiki』の「にんにくしょうゆ味からあげ」|新小岩

新小岩の『TikiTiki(チキチキ)』の一番人気は「にんにくしょうゆ味からあげ」(100g 280円~)。衣は厳選した帯広産の粗めの片栗粉のみを使用。シャリッとした爽快な歯ごたえの衣はすぐに崩れず、肉とうまく調和します。
「宮崎チキン南蛮」(3個:450円・5個:710円)は、甘酢に通した鶏肉に、手作りのタルタルソースをかけていただきます。タルタルソースの酸味は軽め。甘酢の酸味とのバランスがとてもいい。甘酢とタルタルソースがかかった衣が舌の上でとろりと溶けていくようで、思わずごはんが欲しくなるような味わいです。
●SHOP INFO
店名:からあげ専門店TikiTiki
住:東京都葛飾区新小岩2-13-3
TEL:03-3653-2936
営:11:00~20:30
休:不定休
『孤高のからあげ』の「大山鶏のからあげ」|用賀

『孤高のからあげ 用賀店』のからあげは、通常の2~3倍はあろうかというジャンボサイズで、1個が約250g。片栗粉のみの衣はカリッとした食感です。鶏肉はブラジル産のほか、宮崎産や大山鶏を使用。ムネ肉は、時間をかけてしっかりと味付けしており、特有のパサつき感や淡泊な感じは一切ありません。味付けはしょうがベースで薄めの味付けです。
おかずとして食べられるよう、スパイシーな刺激の強い味付けはしておらず、ニンニクも不使用とのこと。
アレルギー対策として、こちらでは小麦粉や卵、乳製品も使っていないそうです。そのせいか、沿線の二子玉川や三軒茶屋などから、わざわざ車でやってきて「子どものお弁当に入れるから」と買い求めていくお客さんも多いのだそうです。
●SHOP INFO
店名:孤高のからあげ・用賀店
住:東京都世田谷区用賀4-2-1-1F
TEL:03-6320-1418
営:11:00~22:00(14:00~16:00は休憩で閉店・売り切れ次第終了)
休:なし
『チキン南蛮専門店 ろくどり』の「チキン南蛮」|八幡山

京王線八幡山駅の『チキン南蛮専門店 ろくどり』のチキン南蛮(単品)は、いずれもモモ肉を使用。タルタルソースを特製、和風、ピリ辛、チーズの4種類から、個数は4個(580円)or 6個(780円)から選べます。
タルタルソースはあっさりながらもコクがあります。甘黒酢の濃厚で深みのある味との相性は最高! 甘味と酸味に、フワッとやわらかい肉から出てくるうま味たっぷりの肉汁にからんで美味しさ倍増。それぞれのバランスがよく、普通のからあげを食べるよりも、飲み込む瞬間にのどの手前にグワッと広がるさわやかな風味がクセになりそうです。
そのほか、「秘伝の唐揚げ」(5個・580円)、チキン南蛮丼や串に刺さったチキン南蛮棒もおすすめです。
●SHOP INFO
店名:チキン南蛮専門店 ろくどり
住:東京都杉並区上高井戸1-1-7
TEL:03-5317-9255
営:11:00~14:00、17:00~21:00
休:不定休
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。