「旅先で旨いものを食いたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。そこでB級グルメに精通する現役運転手・荒川治さんにイチオシのお店に案内してもらいました。
サクッ。トンカツ、天ぷら、エビフライなどなど衣付きの揚げ物を噛んだ音。最高に美味しい瞬間ですよね。今回は、そのサクサク音に続き、ふわふわ、ジュワワワ~ッという食感が押し寄せる、めちゃくちゃ美味しい「アジフライ定食」をご紹介したいと思います。
その絶品アジフライが食べられるのは、東京・板橋区、東武東上線「大山」「中板橋」の両駅から徒歩15分の場所にある『あじ○(マル)』というお店。

ご主人の前田法之さんが東京湾で釣ってきた新鮮な「金アジ」を刺身やフライにし、昼は定食、夜はつまみとして出している食堂です。ちなみに「金アジ」とは、東京湾で獲れる金色に輝くアジのこと。実は一般のアジとは大きさも味もちょっと違うんです。

金アジの特徴をご主人に聞くと、
「一般的なアジは回遊する魚ですが、金アジは東京湾内で回遊せずにプランクトンをたくさん食べているのんびりしたアジです。つまり、あまり動かずに食べてばかりいるので“メタボ”状態。大きくて丸々太っているんです。でも身がプリッとしていて、脂は甘くて、刺身、焼き魚、フライなど、どんな料理にしても旨いんですよ」とのこと。
絶品すぎるアジフライ定食に脱帽

ご主人は、3~4日に一度、朝7時から釣船に乗って、7時間かけて多いときで100尾は釣るそうです。その新鮮な金アジを、しかも注文が入ってから手早く開いて揚げてくれます。レアに近い状態で揚げ、じんわり余熱で火入れして、ふっくら仕上げるのがコツだとか。

ご主人がオススメする食べ方は、まずはそのまま。そして塩、醤油で。かじってみると、軽快なサクサクッとした音を立て、フワフワ感に口が歓喜。魚の臭みなど一切なく、脂がのっていて「これは美味しすぎませんか?」と詰め寄りたくなります。
そしてこの「アジフライ定食」は、ご飯も最高に旨いんです。新潟の農家から送られてくるというコシヒカリ100%を奥さまが土鍋で炊いており、ツヤツヤで米粒1粒1粒がふっくら。さらにお味噌汁も完璧。言うことなしの定食です。
さらに、最近始めたという、この金アジフライを使ったバーガーもオススメです。

バンズは、某有名なハンバーガー屋さんでも使用している東武練馬の『鈴木ベーカリー』の特製。ふんわり柔らかいバンズで、上にカラメルが塗られています。間には、金アジフライの味を引き立てる自家製タルタルソース。これも言わずもがな、文句なしに旨すぎます。
駅からはやや離れた場所にある『あじ○』さんですが、タクシーに乗ってでも食べに行って損はない絶品の「あじフライ」です。ちなみに、食楽webを見て来たと自己申告した方には、アジのかまの唐揚げ「とりま」をサービスいただけるそうです。この機会にぜひ行ってみてくださいね。
(撮影・文◎土原亜子)
●SHOP INFO

店名:あじ○
住:東京都板橋区大谷口上町37-13
TEL:03-6905-9777
営:月~金11:30~14:00、17:00~23:00LO
日17:00~23:00LO
休:土曜
アクセス:東武東上線「大山」「中板橋」の両駅から徒歩15分
●プロフィール
荒川治
東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。