コロナ禍でおうち時間が増えた今、いろんな弁当が注目されていますが、その中で売れに売れているという噂の『鯖の助』の弁当。土曜日は予約でいっぱいで、店頭に行っても弁当が買えないという人気ぶりです。
その秘密を探るべく、さっそく『鯖の助』へ向かいました!
お弁当屋さんとは一線を画す装いにワクワクが止まらない!

首都高7号線小松川ICを降りて高架線を東京方面へ。首都高の下、大きなトラックが通る幹線道路沿いに、もくもくと勢いよく煙をあげる小屋を発見。いわゆるお弁当屋さんというよりも、煙が上がる小屋のような佇まいに衝撃です。
店頭にはひとつも弁当が並んでいません。それもそのはず、こちらでは注文を受けてから焼き上げるというシステム。待っている間の煙の匂いでお腹が空いてきます。

店頭にはお品書きがあって、その中から注文します。メニューは、「お魚」と「お肉」に分かれています。魚の種類は、サバ、ホッケ、さんま、シャケ、イワシなど19種類。店名にもなっているサバは、みりん干しなど5種類あります。
どれも美味しそうで迷っていると、「ホッケがオススメだよ、うちのホッケはすごく大きいよ。」と、ご主人の川和さん。それならばと、いちばん人気のサバとホッケをオーダーしました。

注文してから焼き上げるので、商品によっては焼き上がりまで20分かかるものも。
「炭火焼魚 弁当鯖の助」と謳うだけあって、焼魚が名物ですが、実はお肉も大人気なんです。「炭火で一気に焼き上げた肉は、美味しいって評判がいいんですよ。ぜひ食べてみてください。」と、ご主人の川和さん。それではと、お肉から、「豚みそお肉W盛り」と「ザ・東京うし弁W盛り」弁当も追加でオーダーし持ち帰ることにしました。
冷めても美味しい「サバ弁当」

焼き立てをすぐに食べたい気持ちもガマンして持ち帰り、いよいよご対面。まずはサバからいただきます。「サバ弁当」は『鯖の助』のメニューの中でいちばん人気。多い日で200食も出るのだとか。「“サバ弁当” のサバは文化干しで、開店当初から豊洲の老舗干物店で仕入れをしています。それを炭火で焼くんだから、味は間違いないよ。」と川和さん。

弁当には、きんぴらやパスタ、おしんことおかずも充実。
圧巻の大きさ「大ホッケ開き」

弁当を見て驚いたのが、「大ホッケ開き」の大きさ。肉厚で重さは500g、20cm以上は優にありそう。それとホッケと同じ大きさのごはんの量にもびっくり。さらに、きんぴら、卵焼き、パスタ、大根おろしと充実の内容です。2人で食べてちょうど良いくらいのボリュームで、これは食べ応えアリです。

これだけ大きいホッケはスーパでは見られない逸品。ホロホロと身離れが良く噛めば噛むほど味が出てきます。サイズが大きいのでご飯とのバランスを考えずに食べられます。
肉だけで600gの大迫力!「ザ・東京うし弁W」

さあ、お次は肉部門。焼魚を目当てに行ったけど、肉料理も大人気なのだとか。
「肉好きの人に、炭火の焼肉弁当が食べたいと言われて。炭火の強火で、一気に焼いたお肉は、やってみたら美味しかった。」とメニューに加え、今では焼魚と共に大人気メニューに。
そして筆者の一押しはこの「ザ・東京うし弁W」。肉だけで600gの大迫力! ごはんの量を聞いたら、「計ってないからわからない」とのことだったので、家のお茶碗で測ってみることに。普通サイズのお茶碗で、2杯強ありました。油をひかず、炭火で一気に焼き上げるので、冷めても肉がやわらか。

シンプルな塩味で、炭火で焼いた香りと肉の旨味がよくわかり、圧倒的なボリュームを前に、「食べる」というよりも「食らう」というのがピッタリくる感じ。肉を思いっきり食らいたい時にオススメです。
ご飯が進む「豚みそお肉W盛り」

肉部門から2つめは、豚味噌のお弁当。肉は堂々500gとこちらも食べ応えがあります。豚肩ロースを5種類の味噌に漬け込み、炭火で一気に焼き上げます。

甘味のある味噌味でごはんが進みます。

ご主人の川和さんの前職は、釣り船の船長。近ごろの家庭では焼魚を食べなくなったことに気がつき、もっと魚を食べて欲しいとの思いから7年前に弁当屋を始めました。
「昔はもっと魚を食べていた。最近は家に臭いがつくとか、掃除の手間からなかなか家で作らなくなったけど、飽食つきて魚に還るってね。本当はみんな、焼魚は好きだと思って。」
それから独学で炭火と格闘、5年で一人前と言われる炭火の取り扱いに挑み、7年たった今でも「日々勉強中」と笑います。
「一気に強火で焼いた方が美味しく仕上がるけど、炭は焦げやすく、その調整が難しい。」と語ります。焼き場で見ていたら、ひっきりなしに食材をひっくり返したり、炎が上がると氷で火消ししたり、いったん取り出して余熱を加えたりと、とにかく忙しく手を動かしています。
これは食材によって、いちばん良い焼き方をしているから。このひと手間が美味しい炭火のお弁当を生み出しているんです。
●SHOP INFO

店名:鯖の助
住:東京都江戸川区篠崎町6-5-9
TEL:03-3676-3838 受付時間8:30~14:00、16:30~20:00
※人気店ゆえ予約がいっぱいで店頭では買えないこともあるので、予めの電話予約がオススメです。
営:11:00~13:30、17:00~20:00
休:日曜、祭日
※価格は全て税込
●著者プロフィール
矢巻美穂(やまき・みほ)
国内外の旅行雑誌を中心に活動するカメラマンで、撮影から執筆・編集作業まで行う。単著としてネパール、台湾、ウズベキスタン、韓国などのフォトガイドブックを執筆。近著は『はじめて旅するウラジオストク』(辰巳出版)。また、YouTubeで「旅ちゃんねる MinMin Tour」をオープン。これまで取材に行って、本当に美味しかった店や行ってよかった人気スポットを紹介。