豚の生姜焼きといえば、家庭でも定食屋さんでも定番のメニューです。先日も、定食チェーンの『やよい軒』で「しょうが焼き定食」(640円)を美味しく食べていたのですが、ふと「自分が作る生姜焼きとは、全然味が違うなぁ」と思いました。
ネットで検索すると、「生姜焼き定食」を出しているチェーン系定食屋では、主に『やよい軒』、『大戸屋』、『伝説のすた丼』の3つがヒット。3軒くらいなら一気に食べ比べられると思い、食べ歩いてみたところ、同じ生姜焼きなのに驚くほど違いがありました。
『やよい軒』は生姜焼きに出汁をかけて茶漬けで〆

最初にご紹介するのは『やよい軒』です。ご存知、“白米おかわり自由”がウリの定食屋さんで、お店には若い人がたくさん。入り口券売機で食券を購入すると、「しょうが焼定食」は640円。ご飯は、白米(無料)ともち麦ごはん(プラス30円)から選べます。

さて、ここの生姜焼きは、薄い豚バラ肉と玉ねぎ、さらにもやしも一緒に入っています。添えられたキャベツの千切りは、やや粗めのザクザクタイプ。
生姜焼きを食べてみると、かなり甘めの醤油ダレが絡んでおり、汁気は少なめ。生姜感はあまり感じられず、甘さが際立っています。味が濃いのでご飯が進みますが、途中で少し飽きてきます。そこで見回すと、無料の「だしサービス」というのが目に入りました。

『やよい軒』には、ポットに入った「無料だし」がセルフサービスで利用できるので、これを使って味変してみることに。ごはんの上に生姜焼きをのせ、さらに卓上の漬物や七味、最後にだしをかけて、「生姜焼き茶漬け」にするわけです。

結果は、これがベストマッチ! 甘さが中和され、より食べやすくなりました。あくまで個人的見解ではありますが、筆者にとっては、この「生姜焼きだし茶漬け」の味くらいがちょうどいい感じです。七味を多めにかけてピリッとさせると、さらに美味しくなりました。
『大戸屋』は上品な和定食タイプの生姜焼き

続いて和食の定食チェーン店で有名な『大戸屋ごはん処』です。卓上にある端末を使って注文するシステムで、「豚の生姜焼き定食」は890円。先ほどの『やよい軒』に比べると250円もお高いですが、ご飯は白米と五穀ごはんから選べて、どちらも無料です。

登場した「豚の生姜焼き定食」は、どことなく高級感があります。上品さを醸し出しているのが、まず、千切りキャベツ。とんかつ専門店のような非常に繊細なカットが施してあり、フワフワ。また、生姜焼きのお肉は豚バラ肉ですが、適度な厚みがあって、こんがりと炒めた玉ネギと特製ダレによって、カラメル色に輝いています。

お肉を食べてみると、適度な厚みで弾力もあり、食感は柔らか。
ちなみに今回は五穀ご飯を選びましたが、このご飯も美味しいし、お味噌汁もきちんと出汁感を感じます。やはり、値段がお高めとあって、1つ1つが丁寧に作られている気がしました。
『伝説のすた丼屋』の「生姜焼き定食」はかなりレベルが高い!

最後は、『伝説のすた丼屋』です。ご存知のように秘伝のニンニク醤油だれを使った「すた丼」で有名なチェーン店です。定食メニューもあり、「すたみな焼き定食」や「生姜焼き定食」( 飯並盛り)は640円とリーズナブル。
ちなみに、食べたことがある人はわかると思いますが、名物の「すた丼」は、並盛りでもお肉もご飯もかなりの量があります。さらにニンニクだれのパンチが効いていて、かなりパワフルな味わいです。今回は3軒目ということもあり、並盛りをチョイスしました。

しかし、登場した「生姜焼き定食」は、並盛りとはいえ、ご飯が丼にてんこ盛り。そして生姜焼きのお肉もたっぷり! よく見ると、ここの生姜焼きは、玉ネギは入っておらず、薬味として長ネギが入っているだけなので、カサ増し要素もゼロです。
さっそく生姜焼きを1枚食べてみると、豚バラ肉ながらしっかりとした厚みがあり、ぷるんと柔らかです。そしてこれまでの中で一番甘くない! 生姜がしっかり効いており、甘さ控えめの醤油だれは濃すぎず、薄すぎず、いい塩梅。実は筆者が家で作る生姜焼きも甘くないので、これが一番近いタイプ。すなわち一番好みの味でした。

味付けがさっぱりしており、お肉はフワフワ。ボリュームがあるのにどんどん食べられます。ただし、ご飯は思いのほか水分少なめで固めの食感。もしかすると、すた丼に一番合うように炊いたご飯なのかもしれません。というわけで、ご飯の上に生姜焼きをのせて食べてみると、これが大正解!

生姜焼きの旨みがご飯粒を包んで、めちゃくちゃ美味しい。お腹いっぱいなうえ、3軒中、一番ボリューミーなのに、甘ったるくなくてさっぱりしているので、個人的には一番食べやすいと思いました。
というわけで、3軒の定食チェーン店の「生姜焼き定食」は、店によってかなり性格が異なります。気軽に入れるチェーン系定食屋さんですが、どこのお店の生姜焼きの味が一番自分の好みかを知っておくと便利かもしれません。
(撮影・文◎土原亜子)