見知らぬ街で呑むときに、どうしても「お邪魔している」という意識が湧くことってありますよね。その感覚が薄い稀有な街が、酒呑みの聖地と呼ばれる立石です。

船橋という街に降り立ってみて、その立石を思い出す人はきっと多いはず。

 1日13万人以上が利用する千葉県屈指のターミナル駅・船橋は、実は昔ながら飲み屋街と現代的な繁華街が融合する不思議な雰囲気の街。近年、観光地化されつつある立石に飽きたら、京成線にもう20分ほど揺られ、船橋を訪れるのがオススメです。

 東京駅から総武線快速なら30分弱で到着できる、そこは酒場天国。今回は、はしご酒も楽しめる船橋で巡りたい名店を3軒ご紹介しましょう。コロナ禍の状況が落ち着いたら、ぜひ訪れてみてくださいね。

ザ・大衆酒場! 『増やま 本店』のコの字型カウンターで一杯

酒場の聖地・船橋で一度は行っておきたい人気「はしご酒スポット」3選

 例えば、『大衆酒場 増やま 本店』は、すりガラスと藍の暖簾、赤提灯という、見ただけで引き寄せられる佇まい。引き戸を開ければコの字カウンターが目に飛び込んできます。

酒場の聖地・船橋で一度は行っておきたい人気「はしご酒スポット」3選

 この空気感に立石の名店『宇ち゛多』を思い出す人もいるでしょう。もっともこちらは、そちらほど緊張する必要はありません。100種以上あるメニューから、好きなものを、好きなだけ、好きなときに頼めば良いのです。

●SHOP INFO

店名:大衆酒場 増やま 本店

住:千葉県船橋市本町5-6-20 北口斉藤ビル1F
TEL:047-423-7855

天然物にこだわる立ち食い寿司『吉光 船橋北口店』

酒場の聖地・船橋で一度は行っておきたい人気「はしご酒スポット」3選

 立石をなぞらえるのなら、適度にお酒が入ったところで軽く寿司でもつまみたくなってきます。そんなときは、立ち食いの『吉光 船橋北口店』へ。船橋の住宅街に暖簾を掲げる本店は、創業30年を越える高級寿司店。

酒場の聖地・船橋で一度は行っておきたい人気「はしご酒スポット」3選

 ぐっと大衆寄りになったこの店でも、そのこだわりは受け継がれています。使用するのは天然物だけ。とくに8種ほど揃う白身は、季節感と天然の旨みを感じさせる逸品揃いです。

酒場の聖地・船橋で一度は行っておきたい人気「はしご酒スポット」3選

 料理は握りのみ、酒も生ビールと3種の日替わり日本酒だけ。潔いまでにシンプルな構成は、価格以上の満足を生みます。旬魚の握りは、小ぶりなシャリと相まり、温まった胃にすんなり収まります。親方の距離感や、立ち食いの気軽さも心地よいお店です。

●SHOP INFO

店名:吉光 船橋北口店

住:千葉県船橋市本町6-4
TEL:047-424-5226

和食と燗酒を楽しむなら『美酒美燗 煮りん 船橋店』へ

酒場の聖地・船橋で一度は行っておきたい人気「はしご酒スポット」3選

 〆は『美酒美燗 煮りん 船橋店』へ。小料理屋のような、酒場のような、独特の雰囲気の店内で、こだわりの燗酒が楽しめます。

酒場の聖地・船橋で一度は行っておきたい人気「はしご酒スポット」3選

 お通しは粕汁とお猪口一杯の燗酒。まず胃を温めてから酒を楽しんで欲しいという心遣いが感じられます。このスタンスこそが、このお店の魅力。

おすすめの刺身をはじめとした料理はお酒との相性を考えた和食です。

酒場の聖地・船橋で一度は行っておきたい人気「はしご酒スポット」3選

 そして何よりこのお店の価値を高めているのが、店長・高橋葵さんの存在。いつも笑顔でよく気が付き、ユーモアもあります。燗酒と旨料理と気さくな女将。1日を締めくくるのに、これほどの店はないでしょう。

●SHOP INFO

店名:美酒美燗 煮りん 船橋店

住:千葉県船橋市本町1-14-9
TEL:047-401-1480

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 というわけで、観光地でも、オフィス街でも、住宅街でもなく、訪れる酔客を“あたたかく”ではなく“当たり前に”迎え入れる船橋は、立石に次ぐ京成線沿線第二の酒場の聖地になる可能性を秘めています。

(文◎鴫原夏来 撮影◎鈴木拓也)

※当記事は『食楽』2020年春号の記事を再構成したものです

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