ラーメン店のサイドメニューの定番といえば餃子。しかし昨今のからあげブームで、からあげを提供するラーメン店が増えています。
ラーメン店からあげは、おかずの一つにできるのが特徴で、そのまま食べるだけでなく、スープにひたして味変を楽しみつつ食べることもできるのが醍醐味。もちろん、テイクアウトに対応しているお店も増えています。
今回は、食楽webの連載でもおなじみ、日本唐揚協会認定カラアゲニスト・松本壮平氏が、ラーメンと相性のよい美味しいからあげが食べられるお店を厳選。その5軒をご紹介しましょう。
元アイドルが作る「味噌ラーメン」と「ざんぎ」の神コラボ|麺匠 八雲 本店(堀切)

バイトAKBの元メンバー・梅澤愛優香さんが営む『麺匠 八雲(やぐも) 本店』では、北海道のご当地からあげ・ざんぎを味わえます。このざんぎ、目の前に運ばれてきた瞬間、ショウガとニンニクのいい香りが鼻をくすぐります。これだけでからあげを食べたような気分になってしまうほどの魅惑的な香りです。
衣のジャリッとした衣の歯ざわりが実にいい。驚いたのは肉がツルンとしていて、衣がなければうっかり飲み込んでしまいそうなほどスムーズなこと。噛もうとすると滑って歯と歯の間からツルリと逃げていくような感覚です。肉汁たっぷり、旨みも十分。しばらく口の中で転がしていたくなります。

ショウガとニンニクの風味を感じますが、ガツンと迫ってくるアグレッシブさではありません。むしろ優しく、そして爽やかに口からのどを満たしてくれます。
このざんぎ、盛り付けられているのは3個ですが、カラアゲニストとしてはとても足りません(笑)。もっと食べたくなって、思わずテイクアウトしてしまいました。
●SHOP INFO
店名:麺匠 八雲 本店
住:東京都葛飾区堀切3-4-13
TEL:03-6657-6880
野菜の旨みたっぷりのタンメンにピタリと合う「カラアゲ」|濃厚タンメン三男坊(蒲田)

東京・蒲田の『濃厚タンメン三男坊』。こちらの「カラアゲ」は、とても上品な印象です。とにかく衣が薄い!最近トレンドの“薄衣”です。余分な油を吸っておらず、しっかりとしていてシャリッという歯ざわり。
肉は秘伝の漬けダレに半日以上漬けて味を染み込ませているそう。生ショウガ、生ニンニクを使っており、これがさわやかな風味を演出しています。しかも肉はやわらかい。しみ出る肉汁には、漬けダレの濃厚な味が溶け込んでいて、これがまた美味しくて…。思わず肉汁だけ吸ってしまいました。

薄い衣は肉の美味しさを一切邪魔せずに、それでいて口の中では肉とバランスよく一緒になってくれます。シャリッ&フワッの食感がうまい具合に混ざり合ってくれます。衣が厚めだとこうはいきません。
一緒に食べたタンメンは野菜の旨みが溶け出したスープが美味しい。高級な中華スープを飲んでいるようで、からあげにもよく合います。鶏ガラや豚骨などがベースの、コクのあるあっさり系スープ。からあげの濃い味付けと相性も抜群です。
●SHOP INFO
店名:濃厚タンメン三男坊
住:東京都大田区西蒲田7-28-5 中島ビル 1F・2F
TEL:03-6424-7205
塩ラーメンのスープで流し込むサクサクからあげ|俺流塩らーめん(中目黒)

東京・中目黒の『俺流塩らーめん』。こちらの「からあげ」は、大ぶりで平べったい形状が特徴です。油の切れも完璧で、衣に歯を入れると「サクッ」という爽やかな音がします。
肉が上下の衣に挟まれた“サンドイッチ”状態のからあげです。口の中が衣だらけになって肉の味が半減するのでは、と思ってしまうかもしれませんが、そんな心配はご無用。衣はしっかりと薄くしてあるのがわかります。

飲み込む寸前にも鶏の旨みが口いっぱいに広がり、舌に貼り付いて離れません。衣もふっくらとしたコクのある香ばしさが感じられます。これがクセになりそう。この舌に残ったからあげの後味を、名物「俺流塩らーめん」のスープでのどの奥に流し込む瞬間がたまりません。さっぱりとした口に、次のからあげをすぐに放り込みたくなります。
肉の旨み、衣の香ばしい味わいは、ラーメンのスープで洗い流しても口の中にかすかに残っています。この余韻が最高で「また食べたい!」と思ってしまいます。
●SHOP INFO
店名:俺流塩らーめん 中目黒店
住:東京都目黒区青葉台1-28-11ブルックスビル1F
TEL:03-3760-5629
からあげ専門店並みに旨い「自家製唐揚げ」|三田製麺所

『三田製麺所』といえば、濃厚な豚骨魚介スープが特徴の人気つけ麺専門店ですが、つけ麺の美味しさは言うに及ばず、実はサイドメニューのからあげも絶品で、日本唐揚協会認定カラアゲニストである筆者も、以前からよく食べに行っています。
特にこちらのサイドメニュー「自家製唐揚げ」は絶品で、からあげグランプリ・東日本しょうゆダレ部門で金賞を受賞している、お墨付きの逸品。
このからあげ、とにかく衣がサックサクでやさしい歯ざわり。しかも余分な油が残らない、見事なまでの薄さです。歯を軽く当てただけで、衣がホロホロと崩れながら肉にめり込んでいきます。

味わいもしっかりしていて、コクも十分。砕けた衣とうまく交じり合ってくれる嬉しい食感です。旨みが溶け込んだ肉汁もたっぷり。そしてショウガの爽やかな風味にノックアウトされそうな味です。
つけ麺ともよく合い、何個でも食べられそうな美味しさです。麺のほかにもう一品ほしいというときに、ぜひオススメしたいからあげです。
●SHOP INFO
店名:三田製麺所 神田店
住:東京都千代田区内神田3-12-10 神田西口NSビル
TEL:03-5297-3883
味噌ラーメンに寄り添う醤油風味のからあげ|北海道らーめん みそ熊(王子)

JR王子駅から徒歩3分ほどの場所にある『北海道らーめん みそ熊』のサイドメニューの「から揚げ」は、衣がほんのり焦げ気味なのが特徴。しかしこれが絶妙な食感で、カリッという歯ざわりに香ばしさとコクが加わっています。味付けは濃いめの醤油味。ガブリと食いつくと、香ばしい衣と濃い味付けの肉とが渾然一体となってくれます。
このからあげ、ラーメンのスープとの相性がすこぶる良い。
お店によってはラーメンにからあげを入れた“からあげラーメン”を出すところもありますが、やはりからあげは衣が命。とくにここ「みそ熊」の軽いお焦げのからあげは、スープなどに漬さずにその食感を存分に楽しみたいですね。
●SHOP INFO
店名:北海道らーめん みそ熊 本店
住:東京都北区王子1-2-2
TEL:03-5961-2788
●著者プロフィール
松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。