日本ではお肉やスイーツ、パンや果物など“柔らかさ”を売りにしている商品が圧倒的な支持を受けていますが、逆に固いことを思いきり全面に押し出している商品も存在しています。
そんな固い食べ物界の代表選手が、その名もズバリ「かたぱん」。

『亀井商店』はパン屋だと思っていましたが、少し様子が違います。お祭り屋台のような香り漂う店の前に立つと、昔ながらの和菓子屋といった風情。入り口付近の看板を見てみると、丸や三角などいくつか種類があるようです。
「かたぱん」はホットケーキ!? その実態を探ってみた

看板に誘われてお店に入ってみると、まず目に入るのが屋台などでも見かけるような大きな鉄板と、薄いクリーム色の生地がたっぷりと入った巨大なボウル。まるでお好み焼き屋の風情です。

メニュー表には「まるパン」「さんかく」「かたぱん」の3つだけ。どれも安かったので、1つずつ注文してみました。すると、お店の方が慣れた手つきでお玉で生地をすくって鉄板に乗せ、お好み焼きに使うようなコテで焼いていきます。

焼き上げていく様は、まるでホットケーキのよう。ここで裏表を均一に焼くと「まるぱん」の完成です。こを基本形として、丸く広げた生地を三角形に成形して焼き上げたのが「さんかく」。同じ生地を使っていますが、全然違う感じの焼き上がりとなりました。
肝心の「かたぱん」はというと、袋に入った状態で箱の中から取り出してきました。理由を聞いてみると、「まるぱんを炭火で一晩乾燥させて水分を抜いたのが“かたぱん”」ということらしいです。
なんでも「かたぱん」は昔の保存食だったらしく、防腐剤などは入ってないものの、常温で3ヶ月は保存ができるのだとか。乾燥させてない「まるぱん」でも5日ほど保存がきいて、冷凍もできるそうです。
いざ実食!「かたぱん」「まるぱん」「さんかく」の食感がまるで別物だった

まずは基本となる「まるぱん」から食べてみましょう。
見た目は小さめのホットケーキというか、どら焼きの皮を少し大きくしたサイズ。ふんわり、ムッチリとした食感で、ホットケーキと比べると生地が中までギュッと詰まっていて密度が濃い感じです。ほんのり優しい甘さと相まって、昔懐かしい味がします。
「さんかく」の食感にびっくり!

次は「さんかく」。まるぱんを折り曲げて焼いたことでどう変化したのでしょうか……。外側は大きな変化はありませんが、その中身にびっくり! トロリとした半生状態の生地が入っていました。

このトローンとした半熟状態の生地は、ダイレクトに甘さが感じられます。同じ生地を使っているのに、焼き方を変えただけでこんなに違いが生まれることに驚きますよね。
「かたぱん」は衝撃の固さだった!

さらに衝撃なのが「かたぱん」です。

「歯で噛んで割ったらアカンで」とお店の人に言われたので、手で食べやすい大きさに割っていただきます。口の中の水分で柔らかくなるのを待ってから食べましょう。急いで食べようとすると、ホントに歯の欠けるレベルの固さです。
徐々に柔らかくなっていく変化も、楽しみの一つ。少し柔らかくなったところで歯に力を入れてパリッと砕く。これを繰り返しながら食べていきます。じわじわとにじみ出る優しい甘みに癒されます。少しずつ味わっていくので、少量でも満腹感抜群! さすが、保存食ですね。
冬場に訪れると、炭火の鉄板の暖かさがクセになります。京都の意外すぎるお土産にオススメです。
(撮影・文◎けいたろう)
●SHOP DATA
カタパン屋 亀井商店
住:京都府京都市南区東九条東岩本町12-2
TEL:075-691-7276
営:10:00~15:30
休:日曜 ※6~9月半ばくらいまでは休業
●著者プロフィール
けいたろう
旅するグルメライター。大阪と京都をむすぶ京阪電車の沿線在住で、複数の旅行情報サイトにて旅とグルメのガイド記事を執筆。気になるグルメ情報があるとB級グルメも高級店も穴場のお店も有名行列店でも、とにかく幅広く取材!食楽webでは関西グルメ情報を中心に紹介しています。