月曜の夕暮れ、オープン5分前というのに早くも10人ほどの行列が! 日本最古の居酒屋といわれる『みますや』です。東京・神田駅から徒歩8分、小川町駅や淡路町駅から徒歩3分ほど。
創業当時の建物は、1923(大正12)年の関東大震災で焼失してしまったそうで、現在の建物は1928(昭和3)年に建てたものだそうです。

外観こそ経年の味わいを感じますが、店内は清潔で凛とした雰囲気。想像していたよりもずっと広々しています(写真には写っていませんが、奥に同じくらいの広さのテーブル席、お座敷があります)。飴色の電灯の光もいい感じ。

『みますや』には名物料理がたくさんありますが、まず食べてみたい逸品が、名物の「どぜう丸煮」700円(価格は2022年10月9日時点)。

どじょうを開かずに丸ごと煮込む“丸煮”は、江戸時代に生まれた調理法で、東京の郷土料理として愛されてきたそうです。下町・神田らしい一皿というわけですね。それではいざ実食!
甘じょっぱいどじょうが日本酒に合いすぎる!

注文からそれほど待たずに運ばれてきた「どぜう丸煮」。中くらいの鉢にたっぷりのどじょう、一緒に煮込まれた薄切りのゴボウ、そして卵、ネギが入っています。頭からしっぽまでまるごといただきます。

そして、どじょうの濃いめの味や肝の淡い苦味は日本酒にぴったり! 日本酒は常時15種ほど置いていますが、今回頼んだのは燗酒「白鷹」450円。みますやオリジナルのとっくりがかわいらしいですね。どじょうとの相性が良すぎてどんどん進んじゃいます。
「馬刺し」と「牛煮込」も味わうべし!

こちらはもうひとつの名物「さくらさしみ 赤身」1300円。馬刺しですね。鮮やかな赤身にニンニクをたっぷりつけていただきます。さっぱりとしていながら、噛むほどに肉の甘み、旨味がジワッと感じられて、こちらもお酒が進みます。居酒屋サイコー!

「他におすすめの料理はありますか?」とお店の方にお尋ねしたら、「ほぼ創業以来あるメニュー」として「牛煮込」600円をおすすめいただきました。継ぎ足し継ぎ足ししながらじっくり煮込まれているそうです。

お皿に山盛りの牛肉と、味が染み染みの柔らかい玉ねぎ! 味付けはシンプル。でもそこがイイ。「そうそう、これだよね~」という安心できるお味。
予約電話が鳴りっぱなし! 人々から愛され続けて120年

多種多様な肴がお手頃価格で揃っているので、数人でシェアしたほうがいろんな種類の料理を楽しめますが、何回か通って好みの料理が見つかったら、一人で一皿、二皿をつまみつつ、ゆっくり&じっくり、とっくりを傾けるのもいいなと思う落ち着いた雰囲気です。実際、一人飲みを楽しんでいるお客さんもけっこう多いです。
開店時はまだ空いていましたが、後からどんどんお客さんが入ってきます。予約の電話もひっきりなしにかかってくるので、開店時間に間に合わない場合は予約をしたほうが安心。ランチ営業も来てみたい!

ちなみに、戦時下では空襲によって火災が起きたそうですが、近所の人々が「酒が呑めなくなると困る」と一致団結して水をかけて消火してくれたそうです。120年近く愛され続けてきたお店の堂々たる風格も含めて味わってほしい絶品料理の数々、ぜひご堪能あれ。
(取材・文◎松みのり)
●SHOP INFO

店名:みますや
住:東京都千代田区神田司町2-15-2
TEL:03-3294-5433
営:11:30~13:30、17:00~22:00(LO)
休:日・祝