水揚げされたばかりの新鮮魚介がお手頃価格で味わえると人気の“漁港めし”。漁港近くの飲食店ならどこでも漁港めしが食べられますが、ぜひおすすめしたいのが、非日常の雰囲気も楽しめる魚市場内の食堂です。
関係者以外入場禁止の食堂もあるようですが、都内からのアクセスも良好な小田原漁港の市場内に併設された『魚市場食堂』は、関係者御用達でありながら一般にも大人気の行列ができる店。ここに数量限定・一番人気の海鮮丼「小田原丼」があるそうなのです。一体なぜ、そんなに人気なのか、実態を探りに行ってみました。
数時間前まで行われていたセリの臨場感たっぷり! 現地へ潜入してみよう

飲食店が集まる小さな繁華街を抜け、最奥に位置するのが小田原漁港と魚市場です。市場の入口には食堂へ誘う案内看板が出ているのですぐわかります。

先に進むと広がるのは、大屋根で覆われた薄暗い魚市場の風景。フォークリフトや魚が入ったトロ箱をのせる台などがまだ残っていて、数時間前までここでセリが行われていた臨場感が漂います。
2階の食堂に通じる階段まで市場内を横断しますが、ここでは人よりもフォークリフトが優先。作業中の関係者がいることもあるので、周囲をよく見て気を付けて通るのがベターです。床が濡れていて滑りやすいので注意しましょう。

目指す食堂は魚市場の2階にあります。こちらの食堂、もともとは市場関係者向けに作られただけに、ボリューム満点の漁港めしが安く食べられるのが最大のウリ。観光客が多く価格は上昇傾向にありますが、周囲の他の飲食店と比べると割安なこともあり、10時の開店前から行列ができる人気店となっているのです。

数量限定の海鮮丼が待っている、はたしてありつけるでしょうか。そんなはやる気持ちを抑えつつ奥の階段を上っていきます。この年季の入った階段も、なんともいえない味があります。市場の施設概要看板によると、建物自体は今から56年前、昭和43年からここにあるようです。

食堂のシステムは、入口で食券を購入しカウンターに出し番号札を受け取り、番号が呼ばれたら取りに行くセルフ式。お茶も、食べ終わった膳を戻すのもセルフです。
この日のお目当て「小田原丼」は限定25食、間に合いました。提供数は日によって20食、45食などと異なり、12時過ぎには売り切れることが多いそうで、早めの来店をおすすめします。
ちなみにメニューの全ラインナップは、入口券売機の前に来るまで見られないので、順番がきてずらりと並ぶボタンに圧倒されてしまう可能性が大。通路に張られた一部メニューの張り紙をチェックするなど、あらかじめ食べたいメニューの目星をつけておくことをおすすめします。
朝どれの地魚にアジの骨せんべいがドーン! いよいよ「小田原丼」を実食!

店内はいかにも昔ながらの食堂という飾らない雰囲気。昭和の食堂ってこんなだったよねと、懐かしさを感じます。

ほどなく番号を呼ばれ受け取ったのがこちら、「小田原丼」です。センターに朝どれ新鮮魚介を盛りつけた丼がドーン。小田原の地魚であるアジの“骨せんべい”が盛りつけてあるのが特色で、小鉢にまぐろの煮付け(日によって異なるようです)、つみれ汁、お漬物が付いています。

この日のネタはアオリイカにイクラ、ほたてに甘エビ、アジの昆布和えに加え、本日のお魚としてイサキ、ハナダイ、カツオ、炙りサワラの9種類。どれも見るからに鮮度がよく脂がのっていて、ネタも厚みがあって大ぶり、見た目も実に豪快です。

マグロの赤身に見えますが、こちらカツオです。タタキなど表面に熱を加えていただくことが多いカツオも鮮度抜群なので刺身で味わえるのはうれしいですね。

海鮮のアクセントになっているのが、アジの頭と中落ち、尾を油でパリパリに揚げた骨せんべいです。香ばしいスナック感覚でボリボリ食べられ、アジを丸ごと余すところなく味わえます。刺身と揚げでアジを2倍堪能できますよ。

ほっとするのは、アジのつみれ汁。
それもそのはず、「小田原丼」の黒いどんぶりは地元の伝統工芸品である小田原漆器が使われ、他の丼ものよりかなり深底になっているので、それだけごはんも海鮮もたっぷり盛れてお腹いっぱいになるというわけです。ちなみにごはんは酢飯ではないのですが、その方が食べやすいと感じました。
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市場内に並んででも食べたい正真正銘の漁港めし「小田原丼」。ほかにも刺身とフライ3種を味わえる「大漁定食」、あら汁付きの「すきみ丼」、アジフライ付きの「サバ味噌煮定食」など、そそられる漁港めしが目白押しです。ぜひ、非日常感も楽しい「魚市場食堂」へ足を運んでみてください。
(撮影・文◎池田実香)
●SHOP INFO
店名:魚市場食堂
住:神奈川県小田原市早川1-6-10
TEL:0465-23-3818
営:10:00~15:00(L.O.)
休:水曜