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わたしに会うまでの1600キロ(2014)

(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
監督はジャン=マルク・ヴァレ、主演のリース・ウィザースプーンと母親役のローラ・ダーンはこの作品で第87回アカデミー賞にノミネートされています。そして原作はシェリル・ストレイドの自叙伝『Wild: From Lost to Found on the Pacific Crest Trail』。1995年、作者が26歳のとき、アメリカ西海岸を3カ月かけて縦断した体験がもとになっているといいます。
最愛の母を亡くし、夫とも離婚、薬と男に走り自暴自棄になっていた主人公シェリル。あるとき彼女は書店で見つけた旅の本『パシフィック・クレスト・トレイル』の表紙(大自然の光景)に惹かれ、総延長1600キロを歩くことを思い立ちます。アメリカ合衆国西南部のメキシコ国境からカナダ国境まで、大自然の中をひとりでひたすら歩き続ける旅。

ロッキー山脈の森と湖 (c)Shutterstock.com
まさにロードムービーですが、新鮮な大自然の映像と編集の仕立てが冴えわたっていました。広大な砂漠や山岳地帯、ちょっとした野生動物たちとの遭遇。雄大な景色は心にしみます。

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観終わって清々しく心が洗われたような気持ちになりました。こころの回復の物語。自分自身を再生させ、人生をやり直すための、体を酷使するという究極の克服法です。もう少し一緒に旅していたい気分になりました。ところでこのひとり旅で、シェリルが一番恐れたものはクマでもガラガラヘビでも孤独でもなく、男なのです。女性のひとり旅では、実はレイプや殺人が一番怖いのです。
『わたしに会うまでの1600キロ』
ブルーレイ発売中
¥1,905+税
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
「わたしに会うまでの1600キロ」公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/1600kilo/
ホノカアボーイ(2009)

ハワイのビーチ (c)Shutterstock.com
監督は真田敦さん、そして初々しい岡田将生さんの主演映画です。共演の倍賞千恵子さんがいい味を出していました。撮影はすべてハワイ島北部のホノカアという実在の小さな町で行われたそうです。ハワイならではの風景と空気感が重要な要素なのです。

マラサダはハワイで人気の揚げパン (C)Masato Abe
物語は事件やハプニングなどは起きません。失恋して大学を休学した主人公レオ(岡田将生さん)は、かつて恋人と来たことのあるホノカアを訪れ、映画技師として働くことに。彼と現地の人々との交流と暮らしを描きます。
ハワイのお菓子パン、マラサダドーナツも登場します。そして倍賞千恵子さん扮する日系女性ビーさんの作るロールキャベツやポキバーガーなどの料理も目の保養になりますね。作り方も含めてもう少し詳しく知りたくなりました。心が爽やかになれる作品です。
「ホノカアボーイ」公式サイト
https://www.toho.co.jp/movie/lineup/honokaaboy/
かもめ食堂(2006)

ヘルシンキ港 (c)Shutterstock.com
監督は『彼らが本気で編むときは、』や『めがね』など名作を作り続ける荻上直子さん。
フィンランドの首都・ヘルシンキで、日本食を提供する小さな「かもめ食堂」を営む日本人サチエの日々の暮らしと、彼女が出会う個性的な人びとの交流を描いた作品。毎日をささやかに充実させることが、幸福をもたらしてくれます。

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ヨーロッパの有名観光地ではなく、ヘルシンキの街の景色と空気が新鮮でした。もうひとつ、北欧のインテリアや椅子、テーブル、食器やキッチン道具など、シンプルで洗練されていて、見ているだけでも気持ち良くなります。
日本食は今でこそ世界的なブームになっていますが、14年前の欧米の人びとにとって、ましてやフィンランド人にとってまだ珍しい食べ物だったことでしょう。しかし丁寧に作るおにぎりや鮭塩焼き定食、から揚げ定食が美味しそうなこと。美味しい食べ物は世界共通で人を元気にし、心を豊かにしてくれますね。
ヘルシンキという新鮮な舞台を使って、自分に素直に、身の丈に合った丁寧な生き方を見せてくれました。
もちろん映画の魅力は風景だけが決め手ではありません。さまざまな要素がミックスされて心に訴えかけます。
まだまだ次回以降も旅好きのみなさんに切り口を変えて、お腹を満たしてくれる作品や有名観光地を舞台にした作品などなどご紹介できればと思います。