ジョコビッチが地元放送局に怒りの抗議でインタビューを拒否「ファンを嘲笑し、私に攻撃的なコメントをした」[全豪オープン]

ジョコビッチが抗議でインタビューを拒否

1月19日、元世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ（セルビア／世界ランク7位）が「全豪オープン」（オーストラリア・メルボルン）男子シングルス勝利後、コート上で行われるインタビューを拒否。その行動の真意について、「現地メディアのジャーナリストがファンを嘲笑し、私に侮辱的で攻撃的なコメントをした」と説明した。

【動画】ジョコビッチがオンコートインタビューを拒否したシーン＆4回戦ハイライト

史上最多10度のタイトルを誇る全豪オープンに20度目の出場となった37歳のジョコビッチ。今大会で優勝すれば、男女を通じて史上最多25度目のグランドスラム制覇、そしてツアー通算100勝目となる。

順当に勝ち進んでいるジョコビッチは、第24シードのイジー・レヘチカ（チェコ／同29位）との4回戦も6-3,6-4,7-6(4)とストレート勝ち。同大会15度目のベスト8入りを果たし、恒例となっているコート上での勝利者インタビューが行われるはずだった。

しかし、インタビュアーで元世界1位のジム・クーリエ氏からマイクを受け取ったジョコビッチは、「今日は来てくれてありがとう。応援に感謝しているよ。また次の試合で会おう」と述べるだけ。コートの出口付近でファンにサインをして足早にコートを去った。

その後の会見でこの行動の理由について釈明。「数日前、オーストラリア放送局のチャンネル9で有名なスポーツジャーナリストが、セルビアのファンを嘲笑し、私に対して侮辱的で攻撃的なコメントをした。それ以降、彼は公に謝罪することを選ばず、チャンネル9も謝罪しなかった。したがって、公式放送局でもあるチャンネル9に対してインタビューは行わないことにした。ジム・クーリエやオーストラリアの人々には悪意はない。チャンネル9には彼らが適切だと思う方法で対応してもらいたい」と抗議の意味があるとした。

騒動の発端となったのは、17日のこと。チャンネル9の放送内でジャーナリストのトニー・ジョーンズ氏は、会場で盛り上がるセルビアファンを前に「ノバク、彼は過大評価されている」「彼を追い出せ」と述べた。

ジョコビッチは、テニス・オーストラリアのCEOであるクレイグ・タイリー氏とも今回の件で話し合ったという。「私がどう考えているのか、その理由を彼に伝えたかった。もしインタビューを拒否して罰金を科されるのであれば、それは受け入れる」と覚悟を持った行動だとした。

一夜にして騒動が広がったことを受けて、20日の朝にジョーンズ氏は、チャンネル9の番組に出演。「あのコメントは金曜日の夜のニュースのもので、私は冗談だと思っていた。それをユーモアだと。土曜日の朝、テニス・オーストラリアを通じてジョコビッチ陣営があのコメントに納得していないことを知らされた。そのため、私はすぐに連絡を取って、48時間前に失礼をしてしまったと謝罪した。今ここにいる私は、ノバクに謝罪することしかできない」とコメント。

また、「セルビアのファンに対してもいろんな意味で無礼を働いてしまった。いい関係を築いてきたと思っているが、そう解釈されていないのは明らか。ファンを失望させてしまった」とファンに対しても申し訳ない気持ちがあるとした。

全豪オープン女子シングルスを2度制しているビクトリア・アザレンカ、グランドスラム通算6勝のボリス・ベッカー氏らがジョコビッチの行動を支持。さらに、X（旧ツイッター）のオーナーであるイーロン・マスク氏も、ジョコビッチがXに投稿した動画に「従来メディアの否定的なフィルターを通すよりも、一般の人々に直接話かけるほうがずっといい」とコメント。ジョコビッチも「まったくだ」と反応している。