なんでもいいわけじゃない!はじめての「ストリング選び」
「はじめてのラケットフレーム」を選んだら、それに張るストリングを選ばなければなりません。「ストリングを選んで張る」に際して、選ばなければならないいくつもの“違い”があることを知りましょう。まず「素材の違い」「構造の違い」「太さの違い」、そして「張り上げテンションの違い」です。
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■素材の違い
テニス用ストリングは、基本的に「繊維を編んで作られ」ます。その繊維の違いによって、ストリングの性能は違ってくるのです。1.ナチュラルガット
製造方法:動物の腸を細く裂いて繊維状にし、それを複数束ねて接着。時間をかけて乾燥させて製造
性能特徴:極めて伸縮性が高く、強い反発性能を持つ。反発性能の持続期間が抜群に長い(性能寿命が超長い)
2.ナイロン(ボリアミド)系シンセティック
製造方法:ナイロン製の細い糸を束ねたり・巻いたりして構築。時間をかけて捩り上げるので、それなりに時間を要する
性能特徴:構造によって、反発性重視・マイルド感重視と、自由度が高い
3.ポリエステル系シンセティック
製造方法:ポリエステル樹脂を溶解して、ノズルから射出する単一糸構造。基本的には射出するだけなので、短時間で大量に製造できる
性能特徴:きわめて強い力によってのみ伸縮するので打球感は非常に硬い。伸縮性は非常に早く失われる(性能寿命が短い)
ラケットに網状に張るアレの総称は『ストリング』。ナチュラルガットの「ガット」は「天然素材の腸」を意味するため、『ガット』を総称として使うのは日本だけ。
ナイロンやポリエステルのような人工素材で作られたものは「シンセティックストリング」呼ぶのが正しく、世界中どこでも「ガット」と言うと「ナチュラルガット」と思われます。


■内部構造の違い
ナチュラルガットは、動物の腸を細いリボン状に引き裂き、それらを撚り合わせて乾燥させる構造。天然素材の伸縮性と伸縮維持力は、群を抜いて優れています。ポリエステル系シンセティックは、ノズルから出てくる樹脂を冷やして固める、単一素材の1本構造。
強烈な力をかけないと、伸縮は発現しませんが、力が伸縮域に達すると、強烈な力で戻るため、強打者にこそ適しています。またノズル孔の形状によって、多彩な断面形状の違いを作り出すことができます。
内部的な構造によって性能・個性の差が生まれるのは、ナイロン系シンセティック。太めの芯糸に細い側糸が巻き付けられるのが「モノフィラメント構造」。基本的に極細繊維を束ねてまとめているのが「マルチフィラメント構造」です。
モノフィラメントは「瞬発感・弾き感があり、爽やかな打球感」。対してマルチフィラメントは「ボールのホールド感が長く、マイルドな打球感」を特徴とします。
次回は「太さの違い」「張り上げテンションの違い」について説明します。
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文=松尾高司
1960年 生まれ。『月刊テニスジャーナル』で 26年間、主にテニス道具の記事を担当。試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。テニスアイテムを評価し記事などを書く、おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
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