同じストリング、「太さが違うと何が違う?」

 
今回はストリングの「太さの違い」について説明します。今日、一般的に市販されるテニス用ストリングは、太さが「1.05mm~1.35mm」まで「0.5mm刻み」で7段階あります。もちろん、各モデルによって2種類しかないものもあれば、6種類あるものもあります。
それだけ種類があるってことは、「太さの違いに意味がある」ってこと。では、何がどう違うんでしょうか?

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■太いストリングほど「切れにくい」「しっかり感」

初めてテニスラケットを購入するとき、フレームが決まったら「ストリング選び」となるわけですが、近年では「初めてのストリングは、1.25mmから」というのが、暗黙の了解になっているようです。

昔は「1.30mmから始めましょう」でしたが、ストリング全体が細くなってきた今日では、「1.25」が中央値となりました。これは「入門者」だけに限ったことでなく、中級以上の方がラケットフレームを買い替えるときにも、「まずは1.25から」スタートすることが多いですね。

この感覚を基準に、「次に何を張るか?」を考えていきます。
いきなり「違う種類のストリングに替える」ことを考えがちですが、それはよほど自分に合わなかったときのことで、まずは「違う太さで試す」のがいいでしょう。

「1.25mm」より太いのは、微妙に太い「1.28mm」、しっかり太い「1.30mm」が選択対象となります。「1.35mm」もあることはありますが、ちょっと特殊な感じ。

では「太いと、どうなるの?」ですが、まず「切れにくく」なります。太いほうが頑丈なのは当然で、ストリングの場合、太さあたりのインパクト衝撃負担が小さくなるため、切れにくさの寿命は長くなります。

打球感としては、「ちょっと重めのフィーリング」「しっかり感」が増します。速く、強いスイングをするプレイヤーは、重厚な感じで当たって、飛び具合も自分の加減で調整しやすい『太め』を選ぶ場合が多いですね。

■細いストリングほど「よく飛ぶ」

さて次に「1.25mm以下」の『細めタイプ』ですが、太いのに比べると「軽快な打球感」で「よく飛ぶな」と感じられるでしょう。


それはストリングの「伸縮性」が高いからです。細いストリングは、太いものよりも容易に「伸縮性」が発現しやすく……つまり「伸び縮みしやすい」わけで、強烈なインパクトでなくても、ストリングが伸びてくれて、それが元の長さに戻ろうとする力で、ボールを弾き出してくれるのです。

ですから、楽にボールを打つことができます…が、「切れやすく」もなりますし、伸縮性(性能寿命)が失われるのも、太いのよりも早くなります。

昨今では、太さの自由度が高いポリエステル系ストリングが広まったため、以前では考えられない「超極細 1.05mm」というのもあります。要するに「普通のポイントじゃ飛ばないから、細くして飛ばしたい」わけですが、わざわざ「飛ばないポリエステル系ストリングと選んでおいて、飛ばしたいから細いのにする」……って、引き算して足し算するようなものですから、ポリ系よりもよく飛ぶ「ナイロン系モノフィラメント」にするほうが合理的かもしれません。

まずは、自分にとって何がベストなのかを探るため、いろんな太さのストリングを自分の感覚で試してください。
また、友人やコーチに見てもらいながら、「どっちがいい?」を判断していきましょう。

次回は「太さの表示」について説明します。

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文=松尾高司
1960年 生まれ。『月刊テニスジャーナル』で 26年間、主にテニス道具の記事を担当。試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。テニスアイテムを評価し記事などを書く、おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
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