ナダル 史上最多14度制した「全仏オープン」に別れ


5月25日に「全仏オープン」(フランス・パリ)が開幕。同大会の男子シングルスを史上最多14度制し、昨年現役を退いたラファエル・ナダル(スペイン)の功績を称えるセレモニーがセンターコートのコート・フィリップ・シャトリエで行われた。


【動画】「全仏オープン」を史上最多14度制したラファエル・ナダルを称えるセレモニー BIG4集結

ナダルにとってフランス・パリは母国ではないが、忘れることのできない地。2005年の初出場初優勝から昨年の1回戦敗退まで、通算成績で112勝4敗。前人未踏、史上最多14度の全仏オープン・タイトルを獲得した。その異次元の強さは“クレーキング”“赤土の王者”とも称される。しかし、そのナダルも昨シーズンをもって現役を引退した。

これまでの全仏オープンでの功績をたたえたセレモニーが大会初日に実施。「Merci Rafa(ありがとうラファ)」のTシャツを着た観客がナダルを出迎えた。

感動的なシーンがスクリーンに映し出され、涙を浮かべたナダルは観客に向けて言葉を発した。

「私にとってとても難しい瞬間だ。コートで過去20年間プレーしてきた後、何から話せばいいのか。楽しみ、苦しみ、勝利、敗北、何よりもここでプレーする機会を得られたことに感情があふれる」

「この信じられない物語は、2004年にローラン・ギャロスに初めて来たときに始まった。その年は怪我でほとんど歩けなかったけど、杖をついてセンターコートの上まで登ったんだ。
翌年また戻ってこようと夢見た。そして、2005年にここで初めてプレーできた。幼馴染でライバルのリシャール・ガスケと戦ったのが私のグランドスラムの初体験。その日からローラン・ギャロスがどれほど特別な場所なのかを心から理解した」

「この20年間ですべてを経験した。アンディ、ノバク、そしてロジャーのような素晴らしいライバルたちがいて、彼らは私を肉体的にも精神的にも限界まで追い込んだ。こうした関係があったからこそ、日々成長できたのです。ローラン・ギャロスは唯一無二の存在。それは歴史の一部であるというだけでなく、この大会を支えるすべての人々が笑顔で尽力してくれているからこそ、特別な場所なのです」

そして、セレモニーの終盤にはテニス界の一時代を共に築き、多くの名勝負を繰り広げてきたロジャー・フェデラー、ノバク・ジョコビッチ、アンディ・マレーがコートに登場。抱擁し、笑顔で会話を交わした後に、率直な思いを口にした。

「長い間、すべてをかけて戦ってきた後に、時間がたつにつれて何もかもが変わっていくのは信じられない。ノバクはまだわからないかもしれないけど、アンディはもうわかっているかも。ロジャーとは何度か話したことがある。
ライバルとしてお互いを見た時に感じた緊張やプレッシャー、不思議な感情。それが引退すると全く違ったものになるんだ」

「今は僕たちが達成したことすべてを誇りに思える。夢だったプロテニス選手になって、世界の最も大きな舞台で戦えた。素晴らしいライバル関係を築いたし、それは良い意味でね。僕たちは、全力で戦っても尊重し合えることを世界に示すことができた」

フランステニス連盟のジル・モレトン会長とトーナメントディレクターのアメリ・モウレスモ氏から記念のトロフィーを渡され、コートサイドにはナダルの名前と優勝回数の“14”、足型が入ったプレートが埋め込まれた。
編集部おすすめ