アルカラス、大逆転でシナーを撃破し全仏オープン連覇


「全仏オープン」(フランス・パリ)男子シングルス決勝が6月8日に行われ、前年覇者で第2シードのカルロス・アルカラス(スペイン/世界ランク2位)が、第1シードのヤニック・シナー(イタリア/同1位)を4-6,6-7(4),6-4,7-6(3),7-6[10-2]と2セットダウンから逆転して連覇達成。グランドスラム通算5勝目を挙げた。


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昨年の決勝でアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を下して初優勝を果たした22歳のアルカラス。前哨戦のATPマスターズ1000モンテカルロ、ローマとクレーコート・シーズンで2つのタイトルを獲得し、今大会を迎えた。

大会連覇へ初戦で予選勝者のジュリオ・ゼッピエリ(イタリア/同310位)、2回戦でファビアン・マロジャン(ハンガリー/同56位)、3回戦でダミール・ジュムホール(ボスニアヘルツェゴビナ/同69位)、4回戦で第13シードのベン・シェルトン(アメリカ/同13位)、そして準々決勝で第12シードのトミー・ポール(アメリカ/12位)、準決勝で第8シードのロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/同7位)を破って、決勝に進んでいる。

決勝の相手は、今年の全豪オープンを制した第1シードのシナー。ツアーにおける対戦成績は7勝4敗としており、直近では前述のATPマスターズ1000ローマ決勝で7-6(5),6-1勝利している。

昨年は、シナーが全豪と全米を、アルカラスが全仏とウィンブルドンを制して、グランドスラムタイトルを分け合った2人。グランドスラム決勝で相まみえるのは初めてのことで、まさに頂上決戦にふさわしい舞台となった。

試合は、開始から世界トップの2人らしい見応えあるラリー戦が展開。12分のロングゲームの末にシナーが3本のブレークポイントをしのいでキープすれば、第2ゲームではアルカラスがピンチをしのいでサービスキープする。

息を吞むほどのラリーに観客は盛り上がり、また静寂が訪れる。激しい攻防の中、第5ゲームでアルカラスが高い弾道を使った守備、そして爆発力のある攻撃で先にブレークに成功するが、直後にはシナーも負けじとブレークバック。リターンが合ってきたシナーが、第10ゲームもブレークして6-4で第1セットを奪った。


これで勢いに乗ったシナーは、第2セット開始から3ゲームを連取する。アルカラスは、シナーのサービング・フォー・ザ・セットとなった5-3の第9ゲームで、テンポの速いリターンで仕掛け、ワンチャンスを活かしてブレークバック。そのままタイブレークにもつれたが、シナーの広いコートカバーリング、鮮やかなカウンターショットが光り、7-6(4)でセットを連取した。

一気に勝負を決めたいシナーは、第3セットも第1ゲームでブレーク。しかし、フラストレーションをためていたアルカラスもすぐに切り替える。下半身の粘りが落ちてきたシナーから2度のブレークに成功し4ゲーム連取。一度はシナーに追いつかれたものの、5-4のリターンゲームで攻め抜いて、6-4でセットを奪い返した。

今年1月の全豪オープン4回戦以来、グランドスラムでセットを失ったシナーだが、第4セットは持ち直してテンポよくサービスキープ。リターンゲームでプレッシャーをかけ続け、第7ゲームでブレークに成功し試合を優位に運ぶ。しかし、アルカラスも意地を見せて第9ゲームで3本のチャンピオンシップ・ポイントをしのいでキープすると、シナーのサービング・フォー・ザ・チャンピオンシップとなった第10ゲームもギアを上げてブレークバック。土壇場で追いつくと、そのままタイブレークに突入。ここでも爆発力のあるストロークでシナーを押し込んだアルカラスが、7-6(3)でセットを奪取し両拳を突き上げた。


グランドスラム決勝にふさわしい死闘。運命の最終セット、勢いが増すアルカラスが第1ゲームでブレークしてスタート。拮抗したプレーは最後まで続き、アルカラスがサービング・フォー・ザ・チャンピオンシップとなった5-4で、今度はシナーが意地のブレークバックで踏みとどまる。その後、互いにキープし10ポイントマッチタイブレークに突入。アルカラスが怒涛の7連続ポイントで先行してリードを広げ、そのまま7-6[10-2]。試合時間5時間29分の死闘を制して大会連覇を成し遂げた。

なお、大会連覇は1968年のオープン化以降8人目。2017年から2020年に4連覇したラファエル・ナダル氏以来となった。
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