アルカラス、大逆転で史上8人目の全仏オープン連覇
今年2つ目のグランドスラムとなった「全仏オープン」(フランス・パリ)男子シングルスで、2セットダウンから逆転優勝を果たしたカルロス・アルカラス(スペイン/世界ランク2位)。第4セットには3本のチャンピオンシップポイントを握られていたが、自分に疑わず「1ポイントずつ、ただそれだけを考えて戦っていた」と語った。【動画】アルカラス、5時間29分の死闘制して全仏オープン連覇 ハイライト
現地8日に行われた決勝では、1セットも落とすことなく勝ち上がってきた世界1位のヤニック・シナー(イタリア)と対戦。試合序盤から激しいラリー戦が繰り広げられ、第1セットを4-6、第2セットを6-7(4)で失って、あとがない状況となる。
ここからアルカラスの大逆転劇が始まった。第3セットを6-4で奪い返したが、第4セットは先にブレークを許して、3-5のサービスゲームで0-40。シナーに3本のチャンピオンシップポイントを握られる絶体絶命となる。それでも守りに入らず、攻めの姿勢を崩さずにキープすると、直後のシナーのサービスゲームも破る。勢いに乗りタイブレークを制して7-6(3)と2セットオールとした。
勝負の最終セットは先にブレークに成功したが、5-4でシナーにブレークバックを許してしまい流れが傾きかけた。だが、ここで踏みとどまり10ポイントマッチタイブレークをものにして、1968年のオープン化以降では史上8人目となる連覇を達成。グランドスラム通算5度目のタイトルを獲得した。
試合後の会見で、「間違いなくこれまでで一番エキサイティングな試合だった。今日はすべてが詰まっていたと思う。
2セットダウンというだけでも選手にとっては厳しいが、加えてその相手は世界1位。心が揺らいでも仕方がない。実際、「第3セットの最初にブレークされた時点で、すべてが彼に有利に働いていると感じた。彼のショットはすべて決まり、エラーもなく、フレームショットすらライン上に乗るような感じ」と嫌な流れを感じていたという。だが、アルカラスはそれを振り払って戦い続けた。
「いつも自分に言い聞かせているんだ。『どんな状況でも攻めろ』と。
第4セット4-5では0-40とシナーに3本のチャンピオンシップポイントを握られたが、その時もやることは変わらない。「試合は最後のポイントを相手がとるまで終わらない。敗戦まであと1ポイントだったけど、グランドスラム決勝や他の試合でもマッチポイントから逆転した選手はたくさんいる。自分のその一人になりたかった。常に信じていたよ。1ポイントずつ、ただそれだけを考えて戦っていた」と語った。
試合時間5時間29分は、全仏オープン決勝で史上最長。トータルポイントでは、193対192でシナーが1ポイント上回っただけという接戦だった。トップ2人の戦いだからこそ、肉体的にも、精神的にも限界まで引き出すことができたのだろう。
「対戦するたびに、お互いのレベルを最高潮に引き上げる。グランドスラムで優勝したいなら、世界最高の選手に倒さなければいけない。彼はもっと強くなって戻ってくるはず。僕もこの試合から学び、どう戦えば彼にダメージを与えられるか探るよ。彼に勝ち続けることはできない。だからこそ学び続けて、またグランドスラム決勝で戦いたい」