「ゲージは何ミリにします?」って間違いだから!


前回はストリングの「太さの違い」によって、何が違うかを話しましたが、今回は「意外に知らない大きな間違い」について説明します。ショップには驚くほどたくさんのストリングパッケージが並んでいますが、同じモデルでも「太さ違い」で陳列されるから、たいへんな数になっちゃいます。各パッケージに「太さ」が記されていますが、「1.25mm」だったり「17G」だったり、まるで違う数字が併記されています。
……あれって何なの?

【毎日セール開催中!】テニスクラシックオンラインストア(公式通販ショップ)はこちら

■太さの表記が、ブランドごとに違う

テニス用ストリングの太さについて、日本ではおもに「糸の直径」で表現します。パッケージには「1.25mm」と記され、これを略して「125」と呼んだりしますし、それをモデル名にしているものもあります。

各ブランド、各モデルに統一しているわけではありませんが、「1.24mm~1.25mm」のものを見ると、パッケージにそれぞれ「太さ」について、こんな感じで表記されています。

◎ヨネックス  「1.25mm・16L GA」
◎ゴーセン  「17GA/1.24mm」
◎トアルソン  「125 GAUGE:1.25mm」
◎プリンス  「17GAUGE/1.25mm」
◎ダンロップ  「17g/1.25mm」
◎バボラ   「125/17」
◎テクニファイバー 「17/1.24」
◎ルキシロン  「125」

それぞれ、だいたい同じ太さですが、表記のしかたがさまざまです。ここでみなさんが「???」と思うのは、『17』とか『16L』、それに『G』『GA』『GAUGE』って数字・記号でしょう。これは「ゲージ表記」で、「ミリ表記」とは、まったく別の「太さ基準」なのです。テニスショップで「ゲージは何ミリにしますか?」と訊かれることがある……というか、ほとんどみなさんがこう言います。

はっきり言って、「間違い」です! 「ゲージ=太さのこと」じゃないし、「1.25ミリゲージ」みたいに「ミリ」と「ゲージ」をいっしょくたにするなんて、こりゃもう大間違いなんです。

■「ゲージ表示」とは?

ゲージというのは一般的に『米国ワイヤゲージ規格』(American wire gauge:AWG)で、断面が円形のワイヤのUL規格です。これによると、数字が大きくなるほど、直径は小さくなります。数字どおりに太くなっていく「ミリ表示」とは、まるで逆なんですね。

テニスストリングでは、メーカーによって多少のズレがありますけど、たいたいの目安が、「18ゲージ:1.15mm」「17ゲージ:1.25mm」「16ゲージ:1.30mm」を中心に、それぞれにわずかな幅を設けて表示しています。

たとえばゴーセンでは「17」表示で「1.22mm」もあれば「1.24mm」もあります。
このように、各ゲージサイズに、それぞれの基準で幅を設けているわけですね。そんなことに拘るよりも重要なことは、「ゲージの数字が大きいほど、ミリ直径は細くなる」ということを、きちんと知っておくことです。

先の「ブランドごとの表記」を見比べると、日本企画のブランドは概して「単位を付けて、丁寧に表記」していますが、欧米ブランドでは「単位なしで数字のみ」というケースが多いようですね。店員さんは、「ゲージ」という単位を使いたいなら「16にしますか? 17にしましょうか?」と訊くべきです。ミリで表現したいのなら「糸の太さはどうしますか?」と訊ねるのが「わかっている店員さん」です。

日本のテニス界では習慣的に「ゲージとは、太さのこと」と誤解されたまま使われていますが、これからは正しい常識を知っておくべきですね。

▶【関連記事】はじめてシリーズ「ストリング選び」#4 ~太さが違うと何が違う?~

▶【関連記事】はじめてシリーズ「ストリング選び」#3 ~素材・構造の違い~

▶【関連記事】はじめてシリーズ「ラケット選び」#2 ~段階的でわかりやすい「初めてのラケット選び」~

文=松尾高司
1960年 生まれ。『月刊テニスジャーナル』で 26年間、主にテニス道具の記事を担当。試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。テニスアイテムを評価し記事などを書く、おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
編集部おすすめ