“芯を感じる剛性感”と“ブレない直進力”、それこそがテクニファイバーの神髄


テクニファイバーのラケットには、どこか「芯」がある。一球ごとのインパクトが明確で、直線的に伸びる球質を生む──そう感じさせる手応えは、偶然ではない。フランス発のストリングメーカーとして出発した同社は、長年にわたり「打球感の再現性」を追求してきた。
今回は最新シリーズを紹介する前に、テクニファイバーの「思想」「構造」「フィーリング」を整理しておきたい。

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■ストリングメーカーとして始まった“フィーリング至上主義”


テクニファイバーは、1979年フランスで創業。スタート地点はラケットではなく「ストリング」だった。世界初のポリウレタン・マルチフィラメントを開発し、「柔らかいが反発がある」「振動が少なく、打球感がはっきり伝わる」というフィーリング重視のストリングで人気を確立した。つまり、テクニファイバーはブランドの核を“打球感の設計”に置いている。このフィーリング重視の思想は、後にスタートするラケットづくりにも強く反映されていく。

■“しなり”ではなく“歪まない”──独自のフレーム哲学


一般的なラケットは、「しなる」「たわむ」ことでパワーやスピンを生む設計が多い。しかし、テクニファイバーが明言するように、「フレームが変形しにくい=インパクトがブレない」という思想を重視する。

そのテクノロジーについていくつか例を挙げてみると、断面を“ねじれに強い多角形”にしたことで、フレーム剛性を高め、ボールに負けない強い押し感を実現した「RS SECTION(T-FIGHT)」、パワー系モデルでありながら“面の安定感”を最優先した構造になっている「Frame Ergonomy(TF-X1)」、クラシックなボックス形状で軌道を描く精密コントロールを可能にする「RS Sharp Section(TF40)」。

いずれも共通しているのは、「打球時のフレーム変形が少ない」「芯の位置が明確に伝わる」「ボールの直進力が生まれやすい」というコンセプトだ。「テクニファイバーはラケットのブレが少なく、直線的な弾道を生む」という評価は常に語られてきた。

『打球感をデザインする』──テクニファイバーというブランドの本質に迫る


■“球の重さ”をつくるブランド


テクニファイバーのラケットを試打したプレーヤーがよく口にする言葉が、「深く伸びる」「押せる」。ここで言う「押せる」とはパワーの暴発ではなく、インパクトに負けずエネルギーを乗せられるということだ。

・衝突でフレームが歪まない
・面が安定してボールを捉える
・球離れが速すぎず、必要な時間だけ乗る

この3点が重なって、いわゆる“球の重さ”を作り出している。


ダニール・メドベージェフは2016年、当時世界ランク300位台の時にテクニファイバーと契約。その後、2021年の全米オープンでグランドスラムを制覇し翌年に世界ランク1位へと上り詰めた。メジャータイトルを獲得する過程でT-FIGHTを使い続けたという事実こそが、このラケットへの「高い信頼性、一貫性、そして直線的で攻撃的なテニスに必要な精度」を証明している。メドベージェフのように、精度と安定性を極限まで追求するトッププレーヤーにとって、テクニファイバーの「芯」の明確さと「ブレない直進力」は、勝利のための絶対条件と言えるだろう。

『打球感をデザインする』──テクニファイバーというブランドの本質に迫る


“芯を感じる剛性感”と“ブレない直進力”、それこそがテクニファイバーの神髄。しなりで飛ばすブランドではなく、しっかり振れるプレーヤーが“自分のスイングを正確に結果に変えられる”タイプのメーカーだ。いわば「プレーヤーのためのラケット」と呼ぶべき設計思想が、そこにある。

ストリングメーカー発祥のフィーリング主義、変形しないフレーム構造、直線的な球質。テクニファイバーは、“球がどう出るか”ではなく、“打球感がどう伝わるか”を中心にラケットを設計しているブランドだと言える。

このブランドの哲学を押さえたうえで、次回以降に、「T-FIGHT」「TF40 v3」「TEMPO」「TF-X1 v2」の4シリーズを徹底比較しながら、その設計思想がどのようにモデルへ落とし込まれているかを見ていく。

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