試合に出なくても意味がある――再定義したチームでの役割


デビスカップの日本代表メンバーに名を連ねた錦織圭(ユニクロ/世界ランク289位)が、自身の立ち位置と代表合流に至る複雑な胸中を明かした。かつて世界の第一線で戦い続けてきたエースが、負傷とパフォーマンスの低下に直面する中で抱く苦悩を語った。


錦織は今回の出場要請に対し、「むちゃくちゃ悩むところではあった」と率直に語った。その最大の要因は、自身のプレーレベルに対する危機感だ。昨年の開幕戦でツアー準優勝という結果を残したが、その後は背中や肩などの負傷に見舞われた。この1年間、自身が求めるハイレベルなテニスを維持できていないという自覚がある。

若手が台頭し、次世代への移行が進むチームにおいて、今の自分が加わることが「正解なのか、合っていないのかわからない」と、自問自答を繰り返していたことを示唆した。

現状、錦織は必ずしもシングルスの主力として出場する立場ではない。しかし、彼は「試合に出なくても、選手たちが頑張っている雰囲気を味わうだけでも意味がある」と、チームの一員としての役割を再定義している。実際、サポートメンバーとしてチームに帯同し、練習をともにした19歳の本田尚也にアドバイスを送る場面も見られた。

錦織がチームに合流する意義は、西岡良仁(ミキハウス/同131位)の言葉が裏付けている。西岡は、錦織が持つ「誰も知り得ない経験値」を若い選手たちが吸収する必要性を強調した。たとえコート外であっても、錦織の存在がチームに巨大なエネルギーをもたらすと確信している。

コンディションについて、錦織は「そこまでは悪くない」と述べ、2日目の出場に向けて準備を進める姿勢を見せた。
しかし、あくまで個人ではなく「チームの勝利」を最優先する考えだ。

エースとして君臨してきたこれまでのデビスカップとは異なり、自身のコンディションと役割を俯瞰で見つめる現在の錦織。その言葉からは、一人のプレーヤーとしての苦悩と、日本テニス界の未来を支えようとするベテランとしての責任感が混在しているのかもしれない。
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