2022年3月26日に、ラッピング列車「森の京都QRトレイン」を利用した臨時団体列車ツアーが開催されました。
「森の京都QRトレイン」は2021年3月12日に登場したラッピング列車。
今回のツアーは森の京都QRトレイン初の団体臨時列車としての運行です。珍しい「団体」の行先表示が見られることもあり、出発駅のひとつである京都駅にはツアー参加者だけでなく鉄道ファンの姿も見られました。



京都から園部、胡麻、そして初運行の区間へ
森の京都QRトレインはまず大阪駅を出発し、京都駅の0番線に入線。方向転換して山陰線に入り、福知山駅を目指します。
京都駅を出て約20分、列車は山間部に入っていきます。この日はあいにくの雨まじりの天気でしたが、京都の山々の様子をしばらく楽しみました。
車内では平安女学院大学の学生の方々が参加者に沿線の案内をしたり、観光パンフレットを配ったりしていました。ツアーの参加者は57名。親子連れのほか、女性グループや鉄道ファンらしい方の姿も見られます。車窓を見たりおしゃべりをしたりして、思い思いに鉄道の旅を楽しんでいるのが印象的でした。



途中の駅で何回か時間調整のための停車をしたあと、森の京都QRトレインはいよいよJR胡麻駅から先へと進んでいきます。

223系で車内販売も 和知駅・綾部駅のおもてなし
京都駅を出発して約1時間50分、列車はJR和知(わち)駅に到着しました。京都府京丹波町和知地区は伝統芸能が盛んなことで知られています。和知駅ではそんな和知に伝わる和知太鼓と和知人形浄瑠璃でのおもてなしがありました。
和知太鼓は、大江山の鬼退治に向う頼光の武運を祈り打ち鳴らした太鼓が発祥と言われています。頼光は平安時代中期の人物なので、1000年以上この地に伝わってきた太鼓です。

江戸時代末期、農閑期の人形遊びが発展して生まれたと言われる和知人形浄瑠璃。一般的な人形浄瑠璃は3人で1体の人形を操りますが、和知人形浄瑠璃は1人で1体の人形を操るという特徴があります。和知人形浄瑠璃会の方が、人形を手に操り方を説明してくれました。和知人形浄瑠璃は京丹波町の道の駅「和(なごみ)」に隣接した和知伝統芸能常設館で定期的に上演されているそうです。


和知駅では栗や松茸などの京丹波町の名産品をモチーフにしたキャラクター「味夢(あじむ)」くんも待っていました。さらに車内では和(なごみ)オリジナルの「なごみカレー」も販売され、多くの方がお土産に購入していました。


和知駅の次に停車したのは綾部駅です。
綾部には、綾部太鼓と呼ばれる太鼓が伝わっています。この太鼓の発祥は九鬼水軍の出陣太鼓。山の中の町・綾部に水軍由来の太鼓が伝わっているのは不思議なようにも思えますが、実は九鬼氏は綾部藩の藩主。九鬼氏はもともと伊勢の鳥羽藩藩主だったのですが、家督争いが起きた結果綾部に移封されました。そのため、この地に水軍由来の太鼓が伝わっているのです。

福知山で散策やお茶缶作り体験を楽しみ、復路へ
JR福知山駅に到着したのは12時13分。コンコースでは福知山観光協会のイメージキャラクター「光秀くん」や丹波福知山手づくり甲冑隊、福知山市長が参加者を出迎えます。さらに京都府立工業高校のマンボウ・ジャズ・バンドによる歓迎コンサートも開催され、ツアー参加者はもちろん、通りがかった方々も足を止めて演奏に聞き入っていました。


希望者には街歩きツアーなどのオプションが用意されていました。私が参加したのは、福知山で唯一のお茶屋さん「山城屋茶舗」で開催されたマイお茶缶作りプランです。
マイお茶缶作りプランの会場は、福知山で唯一のお茶屋、山城屋茶舗です。福知山から歩いて約8分、福知山城に向かう途中にあるお店には、すでに材料が用意されていました。
「見本缶」と呼ばれる小ぶりなサイズのお茶缶に和紙を貼り付け、自分オリジナルのお茶缶を作ります。貼り付ける和紙は数種類あり、自分で好きなものを選ぶことができました。選んだのは、森の京都QRトレインと色違いの柄の和紙です。
お店の方の説明を受けながら型紙に合わせて和紙を切り、障子のりで缶に貼り付けていきます。こう書くと簡単そうに聞こえますが、アルミの缶に貼った和紙はズレやすく、思った以上に集中力が必要です。


マイお茶缶作りは山城屋茶舗で誰でも体験することができます(要予約)。森の京都QRトレイン柄のお茶缶が欲しい方はいかがでしょうか。
復路は福知山駅から京都駅まで2時間半あまりの行程です。

車内では参加者がアンケートに答えたりうつらうつら眠ったりなど、リラックスして過ごしていました。森の京都QRトレインを満喫し、森の京都の魅力に触れた1日になりました。
記事:鶴原早恵子(写真は全て筆者撮影)